目次

  1. 総合評価落札方式とは
  2. なぜ賃上げ企業を優遇?
  3. 総合評価落札方式での加点、いつから?
  4. 総合評価落札方式で、どれぐらい加点?
  5. 対象となる企業
  6. 加点の流れ
  7. 賃上げ計画の表明書のテンプレート
  8. 賃上げ水準に達しなかった場合

 国土交通省などによると、総合評価落札方式とは、公共工事や物品・サービスの契約で、以前のように価格のみで落札者を決めるやり方とは異なり、「価格」と「価格以外の要素」を総合的に評価する方法です。

 たとえば、道路工事の場合、価格以外に評価されるポイントとして、維持管理費を含むライフサイクルコスト、耐久性、美観、周囲の環境への配慮、リサイクル、安全対策などが挙げられます。

 このほか、政府が推し進めたい制度を活用することも加点要素になります。たとえば、「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣の認定を受ける「くるみん認定」もその一つです。

 きっかけとなったのは、「分配」を政策に掲げる岸田文雄首相が立ち上げた「新しい資本主義実現会議」が2021年11月、賃上げを行う企業から優先的に調達するなどの見直しを検討するよう提言したことでした。

 2022年(令和4年)4月1日以降に契約を締結する、総合評価落札方式によるすべての政府調達が対象になります。ただし、通知がある前にすでに公告を行っているなど一部の調達等の事情のあるものは対象外になりますので、入札に参加するときに念のため確認するとよいでしょう。

 総合評価落札方式は事業ごとに様々な加点があります。賃上げによる加点は、加点の合計点の5~10%に反映される見込みです。

 国土交通省直轄工事における総合評価方式の適用ガイドラインにおける「施工能力評価型Ⅱ型」の例であれば、加算点が従来40点満点の場合、賃上げで3点(7%)となる見込みです。

評価項目 配点
企業の能力等 過去15年間の同種工事実績 8点
同じ工種区分の2年間の平均成績 8点
表彰(同じ工種区分の過去2年間の工事を対象) 4点
技術者の能力等 過去15年間の同種工事実績 8点
同じ工種区分の4年間の平均成績 8点
表彰(同じ工種区分の過去4年間の工事を対象) 4点
賃上げ 3点

 事業年度または暦年で従業員に賃上げを表明した企業が対象になります。ただし、大企業は賃上げ3%、中小企業などは1.5%以上である必要があります。

 入札時の総合評価で、賃上げによる加点を受けたい場合、入札時に、従業員の代表者と一緒に確認、署名した賃上げ計画表明の書類を提出する必要があります。

 落札できた場合、対象の事業年度または暦年の終了後に契約担当官などへ次の書類を提出する必要があります。

  • 年度単位による賃上げ表明……法人事業概況説明書、または税務申告の作成書類
  • 年単位による賃上げ表明……給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表

 賃上げ計画の表明書のテンプレートは、ものづくり補助金事業再構築補助金のポータルサイトで参考になるテンプレートが公開されています。こちらを参考にしながら今回の要件に合うように調整してください。

 賃上げを表明したにもかかわらず、目標が達成できなかった場合、1年間、国の総合評価落札方式の調達すべてで、大きな割合の減点がありますので注意してください。