目次

  1. 赤字続きの家業 仲の良かった父と対立
  2. 「明日から同じ売り上げの会社を作れますか?」
  3. がむしゃらに働き ふと「社長って何をするんだっけ?」
  4. 見えてきた強みと弱み
  5. 食品の製造業への進出を決めた理由
  6. M&Aを基本的におすすめしない理由
  7. シミュレーションを忠実に実行 想定外にも心づもりを
  8. 従業員との心合わせから
  9. お金だけじゃないM&A

 吉塚さんは大学卒業後、メーカーに入社。12年の半分ほどを海外駐在員として過ごしていました。吉塚さんは次男で、もともと家業を継ぐつもりはなかったといいます。しかし、マルヨシの決算書を見せてもらったときに初めて赤字続きになっていることを知り、駐在先のオランダ・アムステルダムから家業に戻ってきました。

 赤字でも継ぐ決心をした理由について、吉塚さんは次のように話します。

 「本能に近かったのかもしれません。ずっと父を尊敬していましたから。かっこいい存在であってほしいと思っていました。そんな父の会社がつぶれるところを見たくなかったんです」

 しかし、いざ父と一緒に仕事をしようとすると意見が合わず、毎日のように言い合いが続きました。イセエビに特化してきた保守的な父と、新しいことに挑戦して売り上げを回復させたい吉塚さん。父が腰痛で入院した2週間をねらって、あらたにアワビの取り扱いを始めるなど強引に取り扱う商品を広げました。

 吉塚さんが試行錯誤するなか、父が急逝します。吉塚さんが入社して6年が経った2012年のことでした。

 吉塚さんが会社の借入金を調べると、父が残した資産よりも多く、実家も担保に入っていることを知ります。

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