14年前の2008年7月11日、アメリカ・アップル製の携帯電話「iPhone 3G」が国内で発売されました。

この日の朝日新聞夕刊(東京本社版)の記事によると、国内で先行発売したソフトバンクモバイル表参道店(東京都渋谷区)前では、購入希望者の列が約1キロ、1500人を超えたといい、注目度の高さが伝わります。

「iPhone 3G」が先行発売されるソフトバンクモバイルの表参道店前に行列する人たち=2008年、朝日新聞社

今や私たちの暮らしにすっかり定着したiPhoneですが、何がそんなに優れていたのでしょうか。

まず、タッチパネル方式が当時はまだ珍しいものでした。

好きなアプリをダウンロードできるiOSの仕組みも目新しかったようです。

値引き後の実質負担額は2万3040円(8GB)と3万4560円(16GB)でした。

 

先ほどの記事では、携帯電話生産を手がける国内大手電機メーカー幹部の「日本では片手でキー操作できる携帯端末に慣れている」という声が紹介されています。

「ワンセグ」や「おサイフケータイ」の機能が入った「ガラケー」に慣れた日本人利用者は、iPhoneには流れない、との見立てでした。

近くiPhoneが日本でも発売されることを伝える2008年6月10日付朝日新聞夕刊(東京本社版)の記事

その後、iPhoneは世界の携帯電話市場における存在感を高めていきます。

とりわけ日本ではシェア5割と言われ、世界的に見ても高水準です。

 

日本でのシェアが高い理由は、ドコモなど3大キャリアが2~3年前の型落ちのiPhoneを0円や1円で売り、セットで通信契約を獲得する乗り換えキャンペーンを続けてきたため、と言われています。

しかし、こうした端末値引きの原資は高止まりしている通信料であり、頻繁に携帯を買い替える利用者ばかりが恩恵を受けているという批判もありました。

2019年10月の改正電気通信事業法の施行により、こうしたキャンペーンは禁じられました。

高機能化、高価格化する「iPhone XS」シリーズについて書いた2018年9月14日付朝日新聞朝刊(東京本社版)の記事

iPhone自体の高価格化も進みました。

2018年9月に発表された「XS Max(テンエス マックス)」は1099ドルと、「1000ドル超え」を達成。

アップルのiPhoneの売上は、2018年10~12月期から4四半期連続で前年同期比で減少するなど、消費者の高値疲れが指摘されました。

「12」シリーズは、最上位機種でも1099ドルと、「XS Max」から価格を据え置き。

価格帯を維持する努力がにじんでいる、という見方もあります。

 

乗り換えキャンペーンの禁止からもうすぐ3年になります。

日本でのiPhone人気はなお高いですが、シェアはどう変わっていくのでしょうか。

 

(朝日新聞社の経済メディア「bizble」で2021年7月11日に公開した記事を転載しました)