Web広告とは?種類やメリット・デメリット、運用方法を解説
Web広告は年々市場が拡大しており、現代においてなくてはならないマーケティングチャネルの一つです。その重要性やWeb広告の種類、メリット・デメリットや具体的な設計方法について、代理店としてWeb広告の運用や企業での内製化支援に多数携わってきた筆者が解説します。
Web広告は年々市場が拡大しており、現代においてなくてはならないマーケティングチャネルの一つです。その重要性やWeb広告の種類、メリット・デメリットや具体的な設計方法について、代理店としてWeb広告の運用や企業での内製化支援に多数携わってきた筆者が解説します。
目次
Web広告とは、インターネット(Web)上にあるメディア(媒体)に掲載される広告の総称です。
Web広告、インターネット広告、ネット広告、デジタル広告、オンライン広告など様々な呼称がありますが、どれもほぼ同じです。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌に代表される従来のオフライン広告(マス広告)の対比として、インターネットを介した広告全般が該当します。
代表的なものとして、Webサイトの一部にバナー画像のように表示されるディスプレイ広告や、GoogleやYahoo!などの検索エンジンで検索したときに表示されるリスティング(検索連動型)広告、TwitterやFacebook、Instagramなどで表示されるSNS広告、YouTubeなどで表示される動画広告などがあります。
従来の大量生産、大量消費時代は消費者の行動も予測しやすいものでしたが、現在は個人の行動や趣味嗜好も多様化しています。
皆が同じものを一緒に楽しむ時代ではないため、ユーザーの属性や興味関心を絞り狙ったユーザーにリーチしやすいWeb広告は、マーケティングやコスト面で非常に重要性が増しています。
Web広告の市場規模はコロナ禍でも縮小することはなく年々拡大しており、2020年度は2.1兆円、さらに今後もプラス成長を続ける見込みとされています。(参照:インターネット広告市場に関する調査を実施(2021年)│矢野総合研究所)
では、Web広告にはどんなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
メリット | デメリット |
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・少額からでも出稿可能 ・ターゲットとなるユーザーを絞って配信しやすい ・短期間で効果を得やすい ・分析しやすい ・広告内容の変更がしやすい |
・知識が必要 ・日々改善が必要 ・カテゴリーによっては高額になることもある |
Web広告は、広告のクリックや視聴単価が数十円からというものもあるので、広告予算に合わせて数万円からでも出稿することが可能です。
また、ユーザー属性(年齢、性別、地域、興味関心など)を細かく絞って配信でき、広告を届けたいユーザーに絞ってリーチできるメリットがあります。
入稿から広告掲載までも数日程度と早く、掲載されたあとはすぐにWebサイト上でのユーザー行動などが計測できるので、データも分析の材料も豊富です。広告内容を変更する場合も反映までが早いので、改善しやすいことも特徴です。
しかし、Web広告は媒体ごとに入稿の方法や規定、傾向などが異なるため、運用の知識が必要になってきます。また、本質を捉えた改善をするには、製品やサービス、市場を理解した上でデータを分析する必要があるので、Webマーケティング全般の知識も求められます。
また、競合も改善を進めていますので、日々の改善が必要です。
主なWeb広告と特徴について紹介します。
リスティング広告はGoogleやYahoo!などの検索エンジンで検索したときに、検索結果の上部や下部などの位置にテキストで表示される広告です。
検索キーワードに対して出稿を行うので、ユーザーの中で製品やサービス、企業名、悩みや欲しいものなどがはっきりしている場合が多く、コンバージョン(製品購入やサービス申し込み、資料請求など)につながりやすいのが特徴です。
出稿するときはGoogle広告、Yahoo!広告などからアカウントを作成し、検索キーワードや広告文を設定します。
広告名 | リスティング広告 |
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メリット | ・購買や申し込みにつながりやすい ・効果を得られるまでが早い ・少額から出稿できる |
デメリット | ・競合が多いジャンルでは単価が上がりやすい ・潜在層(自分の悩みや欲しいものがはっきりしていないユーザー)や低関心者層にはリーチしにくい |
ターゲット層 | ・顕在層(今すぐ購入したい、申し込みたい、悩みや購入したいものがはっきりしているユーザー) |
課金方式 | ・クリック課金 |
費用相場 | ・数百円〜数千円(1クリックあたり) |
おすすめの企業 | ・Webサイトの目的が製品購入やサービス申し込みなどの企業 |
ディスプレイ広告は、Webサイトやアプリに設けられた広告枠に画像や動画などを表示する広告です。画像や動画をクリックすることで、指定しておいたリンク先のWebサイトに誘導できます。
ユーザー属性(年齢、性別、興味関心)など細かいターゲティングが可能で、興味を持って欲しいユーザーに向けて配信できるのが特徴です。製品やサービスなどの認知拡大、Webサイトや実店舗への集客が目的の場合に向いています。
基本的には配信先のメディアを見にきているユーザーに対して広告を表示するので、認知には繋がりますが、Webサイトに誘導したあとの離脱も多く、そこから工夫をしないと購入や申し込みにつながらないので注意が必要です。
また、1回あたりのクリック単価や視聴単価が数十円からと安いので、限られた広告予算の中でWebサイトへの来訪数をとにかく増やしたい場合にも検討したい広告です。
出稿するときは、Google広告、Yahoo!広告などからアカウントを作成し、ターゲットの属性や広告画像を設定します。
広告名 | ディスプレイ広告 |
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メリット | ・写真や動画で視覚的に訴求できる ・ユーザー属性(年齢、性別、興味関心など)にあわせて細かいターゲティングが可能 ・潜在層に向けて幅広く配信可能 ・単価が安いので集客数増加につながりやすい ・認知拡大を見込むことができる |
デメリット | ・購入や申し込みの意欲が高い層にアプローチするわけではないので離脱されやすい |
ターゲット層 | ・潜在層 |
課金方式 | ・クリック課金 ・インプレッション課金 |
費用相場 | ・数十円〜数百円(1クリックあたり) |
おすすめの企業 | ・製品やサービス、キャンペーンやフェアの認知拡大が目的の企業 ・Webサイト来訪や実店舗への来店など集客が目的の企業 |
リターゲティング広告は、過去にWebサイトを来訪したことのあるユーザーに対して、リスティング広告またはディスプレイ広告を表示します。Googleではリマーケティングと呼称していますが、内容は同じです。
一度自社のサービスや製品などに接触したユーザーに対して配信するので、製品やサービスに対して関心が強い、または調べて来訪まで至ったが購入や申し込みを諦めたようなユーザーが対象となるため、最終的な購入や申し込みにつながりやすいのが特徴です。
近年、プライバシー保護やセキュリティの観点からユーザー情報の特定に対して規制が厳しくなってきており、以前と比べてリターゲティングの精度やリターゲティング自体が難しくなってきているという影響はあります。
出稿するときは、Google広告、Yahoo!広告などからアカウントを作成し、キーワードやターゲットの属性、広告文や広告画像を設定します。
広告名 | リターゲティング広告 |
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メリット | ・最終的な購入や申し込みにつながりやすい ・強く認知してもらいやすい |
デメリット | ・追跡して表示するため不快感を与えることがある |
ターゲット層 | ・顕在層 |
課金方式 | ・クリック課金 ・インプレッション課金 |
費用相場 | ・数十円〜数百円(1クリックあたり) |
おすすめの企業 | ・Webサイトの目的が購入や申し込みなどの企業 |
SNS広告は、TwitterやFacebook、Instagram、LINE、TikTokなどのSNSに配信する広告です。
ユーザー自身が年齢、性別、地域などの情報を入力したり、いいねなどのリアクションを行ったりするため、ユーザー属性や興味関心に関する情報が集まりやすく、高精度なターゲティングが可能です。また、SNSごとに利用者層などの特徴が異なり相性もありますので、それらを活用した配信も可能です。
基本的には余暇時間にSNSを楽しんでいるユーザーに対して広告を表示するので、認知には繋がりやすいですが、そこから購買や申し込みをしてもらうには工夫が必要です。
出稿する際は、Twitter for Business(Twitter広告)、Meta for Business(Facebook広告)などからアカウントを作成し、ターゲットの属性や興味関心、広告文や広告画像を設定します。
広告名 | SNS広告 |
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メリット | ・ターゲティングの精度が高い ・広告としての違和感を与えにくい ・特定のターゲット層に相性が良い |
デメリット | ・適切なSNS選定が必要 ・購入や申し込みに繋げるには工夫が必要 |
ターゲット層 | ・低関心層 ・潜在層 |
課金方式 | ・クリック課金 ・配信数型課金 |
費用相場 | ・数万円〜数百万円 |
おすすめの企業 | ・認知拡大が目的の企業 ・ターゲットが明確な企業 |
動画広告は、動画で製品やサービスの訴求を行う広告です。Google広告(YouTube広告)やYahoo!広告、Twitter広告やFacebook広告、Instagram広告などのSNS広告で配信が可能です。
動画で訴求するので伝えられる情報量が多く、関心を引きやすいという特徴があります。
基本的にはYouTubeなどの動画を観にきている、またはSNSで楽しんでいるユーザーに対して割り込むような形で配信するので、過剰な演出を用いている場合やその製品やサービスに全く興味がない場合、ネガティブなイメージを与えることもあります。
出稿するときは、Google広告やFacebook広告などの各媒体からアカウントを作成し、ターゲット、動画を設定します。
広告名 | 動画広告 |
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メリット | ・伝えられる情報量が多い ・印象を与えやすい ・単価もそれほど高くない |
デメリット | ・制作費がかかる ・配信内容によっては不快感を与えることがある |
ターゲット層 | ・低関心層 ・潜在層 |
課金方式 | ・広告視聴単価型 |
費用相場 | ・数十円〜数百円(1再生あたり) |
おすすめの企業 | ・認知拡大が目的の企業 ・多くの人に興味関心を持って欲しい企業 ・製品やサービスをしっかり説明したい企業 |
記事広告はタイアップ広告とも呼ばれ、WebサイトにPR用の記事を掲載してもらう広告です。
記事の体裁なので、掲載先の媒体の顧客にしっかり読んでもらいやすい、広告らしさが薄れるため忌避されにくいという特徴があります。
また、掲載先媒体に対してロイヤルティ(忠誠心・愛着)の高いユーザー(リピーターやファンなどの読者)に届けることができるので、特定のターゲット層にリーチしやすく、掲載先媒体の信用力も有利に働きます。
一方、掲載や成果が得られるまでに時間とお金がかかるのがデメリットです。
出稿する際は、掲載したいメディアに直接出稿を依頼するか、広告代理店などを通じて行います。
広告名 | 記事広告・タイアップ広告 |
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メリット | ・媒体自体の信用力を使うことができる ・連携すれば媒体の制作力も使うことができる ・伝えられる情報量が多い ・しっかり読んでもらいやすい |
デメリット | ・記事制作や掲載までに時間がかかる ・効果が得られるまでに時間がかかる ・ある程度の予算が必要 |
ターゲット層 | ・低関心層 ・潜在層 |
課金方式 | ・インプレッション課金 |
費用相場 | ・数百万円 |
おすすめの企業 | ・認知拡大が目的の企業 ・多くの人に興味関心を持って欲しい企業 ・製品やサービスをしっかり説明したい企業 |
アフィリエイト広告は、WebサイトやSNSの運営者に宣伝してもらい、広告主が設定した成果(購入・資料請求・契約など)に至った場合に、報酬を支払う広告です。
成果が発生しないと広告費が発生しないので、費用対効果が高いのが特徴です。WebサイトやSNSの運営者がそれぞれ成果発生のために工夫してくれるので、売り上げ増加に繋がりやすいメリットもあります。その半面、過剰な方法で宣伝する運営者が少なからずいるためコントロールも重要です。
出稿する際は、直接運営者ではなく、ASP(アフィリエイト・サービス・プロバイダ)に出稿依頼をします。
広告名 | アフィリエイト広告 |
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メリット | ・成果が発生しやすく売上に直結しやすい ・費用対効果が高い |
デメリット | ・成果を得られるまで時間がかかる ・配信先の管理が重要 |
ターゲット層 | ・顕在層 ・低関心層 |
課金方式 | ・成果報酬型 |
費用相場 | ・数百円〜数万円(1コンバージョンあたり) |
おすすめの企業 | ・認知拡大が目的の企業 ・購入や申し込みが目的の企業 ・売り上げに直結する施策を実施したい企業 ・費用対効果が高い施策を実施したい企業 |
Web広告は出稿する前にしっかり設計しておくことが重要です。あらかじめどういった内容をどんなユーザーに届けたいかを決めておくことで、適切な広告を選んで出稿でき、運用中も良い改善施策ができます。決めておきたい内容とポイントをご紹介します。
広告予算は、Web広告を運用していく上で、事業を圧迫しないようにするために、最初に決めておかなければならない重要な項目です。広告予算の算出方法には、主に次の3パターンがあります。
成果(コンバージョン)1件あたりの広告費が決まれば、売り上げ目標に対して何件成果が必要か掛け算することで予算が決まります。
広告費=成果1件あたりの広告費(コンバージョン単価)×目標成果数 |
このとき、成果1件あたりの広告費(コンバージョン単価)は以下のように考えます。
成果1件あたりの広告費(コンバージョン単価)=販売価格−原価−確保したい利益 |
例えば、販売価格が5万円、原価が1万円、確保したい利益が5000円なら、5万-1万-5000=3.5万円です。
もし目標成果数が50件なら、予算は3.5万✕50=175万円となります。
クリック課金型の広告の場合、出稿したいキーワードやオーディエンス(ターゲットとなるユーザー層)などから、おおよそのクリック単価(広告1クリックあたりの価格)を想定することが可能です。
なお、キーワードについては、Google広告のキーワードプランナーなどのツールを利用するほか、過去の運用実績を見る方法があります。一般的には成果が発生しやすい(コンバージョン率が高くなりやすい)キーワードは、競合も多くなるためクリック単価は高くなりやすいです。
クリック単価が想定できれば、以下のように成果1件あたりの広告費(コンバージョン単価)が試算できます。
成果1件あたりの広告費(コンバージョン単価)=クリック単価÷コンバージョン率(Webサイト上で成果が発生する確率) |
コンバージョン率は、成果点、キーワード、広告(クリエイティブ)の内容、LP(ランディングページ)、製品やサービス内容や価格設定、競合などに左右されますので、それらを総合的に判断して見積もります。
成果1件あたりの広告費を算定したら、あとは先ほどと同じように、目標成果数をかければ予算が決定できます。
総売上から広告費にかける比率を決めて算出する考え方もあります。業界によって相場は異なりますが、総売上の5%〜15%を広告費とすることが一般的です。
広告費=売上×5%〜15% |
例えば、売上が1500万円なら、75万〜225万円が予算となります。
Webサイト上での購入、資料請求、お申し込み、お問い合わせ、Webサイトへの来訪などの成果を定めます。広告出稿の戦略が大きく変わってきますので、事前に明確にしておきましょう。
例えば、購入や資料請求が目的であれば、多少クリック単価は高くても、意欲の高いユーザーに出稿するほうが成果に繋がります。Webサイトへの来訪が目的であれば、極力クリック単価を抑えながら、ターゲットとなるユーザーに配信したほうが成果が見込めます。
このとき、先ほどの成果1件あたりいくら広告費をかけられるか(コンバージョン単価)、または広告費の何倍の売り上げ(ROAS・広告費用対効果)を目指すのか、など数値目標まで定められるとベストです。
広告を届けたいターゲット(年齢層、性別、興味関心など)も定めておきたい項目となります。例えば、20〜30代の女性で料理好き、といった形です。
対象ユーザーの解像度を上げ、「メーカー営業をしている年収270万円の27歳の女性で、よく使うSNSはInstagram、寝る前にYouTubeを観るのが楽しみ」など、ペルソナと呼ばれる理想の顧客像まで描くことができればさらに良いでしょう。
ターゲットやペルソナがはっきりしていれば、広告媒体やキーワード、オーディエンスの選定などがしやすくなります。
出稿する製品やサービス、または会社などの訴求点を具体的に絞ります。
訴求点は、ユーザーへのベネフィット(商品やサービスを通じて提供できる便益)や競合と比較し、自社のプロダクトが勝っている点(他社にはない機能や価格や専門性)などから考えます。4P分析や3C分析などのフレームワークも活用するとなお良いです。
訴求点がはっきりしていると、広告文や画像などのクリエイティブの制作が行いやすくなります。また、これらがしっかり反映されたクリエイティブであるほど、広告のパフォーマンスは良くなりやすいです。
Web広告は予算に応じて柔軟に出稿でき、届けたいターゲットに絞って配信することが可能です。さらに効果計測がしやすいので、貢献度もすぐにわかり、短期間での成果が見込めます。
媒体の選定や運用にはそれなりの知識が必要ですが、個人の行動や価値観が多様化した現代において、なくてはならないマーケティングチャネルの一つですので、広告代理店なども利用しながら、ぜひ活用を検討してください。
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