目次

  1. 工場内レイアウトを変更
  2. 「モジュール方式」を本格導入
  3. 消防車の技術をキッチンカーに
  4. 浚渫の専用装置開発を進める
  5. 「やればできる」という雰囲気に
  6. 創業100年へのビジョン

 吉谷機械製作所は、ポンプ車市場では全国シェアの1割を占めるほど高い技術力を持っています。しかし、経理畑の吉谷さんは業務に非効率性を感じても、エンジニアを説得できませんでした。そこで社長に就任した2019年、中小企業基盤整備機構の「ハンズオン支援」で自動車メーカー出身の専門家を招き、抜本的な効率化に取りかかります(前編参照)。

 ハンズオン支援では、現場と専門家が一丸となって改革を進めていきます。例えば「コストの削減」と「価値の最大化」といった両面から製造プロセスを改革するため、グループワークでバリューエンジニアリング(VE)に取り組みました。

消防車の設計についてグループワークで議論しました

 そうして実現した業務効率化の一つが、作業スペースのレイアウト変更でした。サイズが大きい消防車の仕掛かり品は、作業中の移動距離を最小限に抑えることが時間短縮のポイントになります。

 改革前の工場内は無駄な移動が生じるレイアウトでした。工程の順序が意識されず、工場内を右往左往しながら作業を進めている状態だったのです。

 そこで、以前はなんとなく決められていた工場内のレイアウトを、工程間の移動が最短になるよう合理的な計画にもとづいて工程順に再配置しました。変更後は順々に隣のスペースに移るだけで工程間の移動が済むようになり、1台を製造する際の平均移動距離が320メートルから36%減の204メートルに短縮されました。

レイアウト変更のイメージ図

 もう一つの改善策が生産方式の刷新です。改革前はポンプなど消火活動に必要な設備を、車の骨組み(シャシー)に直接取り付けていました。しかし、この方式は、シャシーが納入されなければ作業に着手できない点がネックでした。

(続きは会員登録で読めます)

ツギノジダイに会員登録をすると、記事全文をお読みいただけます。
おすすめ記事をまとめたメールマガジンも受信できます。