目次

  1. インタビュー調査とは
    1. インタビュー調査が適している場合とは
  2. インタビュー調査の種類とメリット・デメリット
    1. グループインタビュー
    2. デプスインタビュー
  3. インタビュー調査の手順とコツ
    1. インタビューの目的を明確にする
    2. 調査の大枠を決める
    3. 調査設計をする
    4. インタビューガイドを作成する
    5. 対象者をリクルートする
    6. 実際にインタビューをする
    7. 分析、レポートの作成
  4. インタビュー調査の事例
  5. インタビュー調査を利用して顧客の声をビジネスに活かそう

 インタビュー調査とは、対象者からインタビュアーが話を聞くことによって情報を集める調査手法のことを指します。主に対象者の行動実態、意識、その背後にある考え方や価値観を明らかにする目的で行われ、定性調査の一種です。

 アンケートなどの定量調査では一度に大人数に調査をし、実態や意識を数値で把握するのに対し、インタビューでは限られた人数を対象に、言葉によって実態や意識を掘り下げ、深く理解していきます。

 同時に、対象者が答えているときの表情やしぐさ、話し方を観察できます。そのことで、ターゲット顧客のイメージを膨らましたり、より深く生活者として理解したりできます。

 インタビュー中に商品やデザインなどを実際に見てもらいながら意見を聞くことで、対象者が答えているときの声のトーンから「驚きを与えられそうだ」「どうやら、わかりづらそうだ」などと理解することもできます。

 従来は、対面して行われることがほとんどでしたが、近年はオンラインでのインタビューも増加しています。

 インタビュー調査を企画する際に、アンケートなどの定量調査が適しているか、インタビューなどの定性調査をすべきなのかわからない、という相談をよく受けます。一概には言えませんが、次のような場合はインタビュー調査が適しているでしょう。

 ・購入検討プロセスや意思決定の過程など、順を追って理解したい
 ・ブランドにまつわるエピソードや、使う場面ごとの感情について詳しく知りたい
 ・なぜそのような行動をするか、どのようなきっかけでそう考えるようになったのかなど、行動や意識の背景を知りたい
 ・商品やアイディアを実際に見せたり、使ってもらったりして感想を聞きたい
 ・アンケート調査やデータで発見した傾向について、その背景や因果関係を理解したい

 上記のような内容は、数値やデータでは理解しづらいためインタビュー調査によって理解が進むと言えます。また、調査テーマに関する知見が少なく、アンケート調査をするにも適切な回答選択肢が作れないようなときにも、まずはインタビューをして概要をつかむこともあります。

 インタビュー調査の主な方法に、グループインタビュー(複数)とデプスインタビュー(1対1)があります。特徴や違いを下表にまとめました。

種類 グループインタビュー デプスインタビュー
実施方法 人数:3~7人程度
時間:2時間程度
人数:2人(1対1)
時間:60分~90分程度
メリット 同じ属性の人が集まって話すことで発言が広がり、事前に想定した以上の発見が得られることがある。 ・パーソナルなことや深層心理に迫る話もしやすい
・カスタマージャーニーなど、込み入ったプロセスをじっくり聞きやすい
デメリット 他の対象者の意見や反応の影響を受けやすい 時間がかかる

 他にも、ペアインタビューや、家族インタビューと言われるものもありますが、ほとんどの場合は上記の2つで実施されています。

 続いて、グループインタビューとデプスインタビューについて詳しく解説します。

 グループインタビューとは、複数の同質の対象者に対して一度にインタビューをする方法です。例えば、「〇〇の製品を1年以上使っている人」「週に3回以上はスポーツをする40代以上の男性」などの条件でグループが作られます。

 グループインタビューは、司会者を中心に、グループで1つの話題について話す形式で進められます。グループに共通する実態や意識、あるいは新しいアイディアなどへの反応を見ることが目的です。

 グループインタビューでは、他の対象者の話が刺激となって話が膨らみ、思いがけない本音が聞けたり、背景情報が引き出されたりすることもあります。これを「グループ・ダイナミクス」と呼びます。

 一方で、他の対象者の意見に影響を受けたり、1人だけ意見が違う場合に言いづらくなったりしてしまう面がデメリットです。

 しかし実際のところ、私たちの生活も周りの意見の影響を受けて気持ちが動いていくことはよくあるので、その状況を再現しているのがグループインタビューであるとも言えます。

 グループインタビューの具体的な活用例としては、主に新製品のアイディアやコンセプトが受け入れられそうかを検証したり、あるいは今使っている商品やサービスについて不満点を明らかにして改善点を見つけたりといった目的で行われています。

 デプスインタビューとは、インタビュアーと対象者が1対1で行うインタビューのことです。一人ひとりのプロセスを丁寧に知りたい場合や、パーソナルなことを踏み込んで聞きたい、価値観を深く掘り下げたいという目的で行われます。

 例えば、車や家など大きな買い物をした人が、どういうプロセスで購買に至ったのかについて、時系列で詳しく知りたい場合などは、それぞれの対象者によって事情が違うためデプスインタビューが適しています。

 いつ、どこで情報を得て、そのときどんな気持ちになったか、誰に相談して、どんな反応があって、そのときに買いたい気持ちはどうなっていったか、など丁寧に掘り下げていけるからです。

 また他の対象者がいないため、健康上の深い悩みを聞いたり、将来の憧れや理想といったパーソナルなことも語りやすくなったりするメリットがあります。

 一方で、インタビュアーと1対1で話すので、対象者が緊張してしまいがちなどのデメリットもあります。インタビュー時には、リラックスした環境を作り出すことが大事でしょう。

 また、専門家へのインタビューも原則、デプスインタビューで行われます。専門家同士で意見が異なる場合に、それぞれの意見を詳しく聞くためには個別にインタビューをしたほうがよいからです。

 ここでは、インタビュー調査の手順とコツを紹介します。

インタビュー調査の手順
インタビュー調査の手順(デザイン:吉澤風香)

 最初に目的を明確にすることは、インタビュー調査で極めて大事なパートです。漠然とお客さんの話を聞いてみたい、ということでは事業の意思決定に使える情報が引き出せない、またインタビューが終わってから「あれも聞いておけばよかった」などの失敗につながる可能性もあります。

 ビジネスにおいて成果の出るインタビュー調査を目指す場合、結果を何に活用するかを意識して、目的を具体的にすることが重要です。

 「〇〇を理解する」というだけでなく、「〇〇を理解することで、次期商品の△△についてブラッシュアップすべき点を洗い出す」というように、活用先まではっきりさせます。

目的を明確にする際のコツ
目的を明確にしたら関係者で事前に共有しておくことが重要になるので、文章にして記録に残しましょう。できればディスカッションをして目的を合意させると、調査後の意思決定がスムーズになります。

 次に、調査の大枠を決めます。目的に合わせて、次のような内容を決定します。

調査種類 調査スケジュール(準備~実施~分析) インタビューの実施方法(対面またはオンライン)
グループインタビュー、またはデプスインタビューのどちらかを決める。

調査結果をもとに意思決定をする日程に間に合うように、スケジュールを組む。

対象者をリクルートするのには一般的には2週間ほどかかる。実施に数日間、分析に数日~1週間と考えると、全体で合わせて1カ月程はかかると見込んだほうがよい。

対面だと、対象者の雰囲気や人となりがわかりやすいメリットがある。また、商品に触ってもらったり、お店を模した棚を見てもらったりなどして意見を聞ける。

 オンラインは、対象者がどこからでも参加できるため、難しい条件の人でも集めやすいメリットがある。また、家などからリラックスをして回答できるので、本音を聞きやすい傾向もある。

 インタビュー調査の大枠が決まったら、詳細な調査設計をしていきます。インタビュー調査の設計ポイントは、大きく分けて「誰に聞くか」と「何を聞くか」です。

①「誰に聞くか」=対象者条件を決める

 定性調査で最も大事なポイントと言ってもよいでしょう。インタビューの結果は、発言された言葉だけを分析するのではなく、「どのような立場や属性の人が、何を言ったか」がとても重要だからです。

 例えば、ひとくちに「商品Aのユーザー」と言っても、ずっと使い続けているロイヤルユーザーの意見を聞くのか、新しいユーザーに聞くのかで発見できることは随分違ってきます。

 商品の新しい仕様が使いやすいかどうかを確認したいとき、一般にロイヤルユーザーであれば、できるだけ今までと同じ操作手順で使えることが望まれる一方、新しいユーザーであれば、少ない手順で使えることが重視されるなど、意見が異なります。

 この部分をいい加減に設計してしまうと、本来の目的を達成しない意見を参考にして意思決定をしてしまうことにつながってしまいます。

 対象者の条件は、調査によって達成しようとしている目的に合わせて、属性、ユーザーの性質、普段の行動や意識などをしっかり考えたうえで、設定することが大事です。

対象者条件を決めるコツ
意見が異なることが想定される対象者は、グループインタビューではグループを分けて話を聞くようにします。そのうえで、どのグループの意見を最も重視して意思決定をするかを、事前に合意しておきましょう。

②「何を聞くか」=聴取内容を決める

 調査目的である意思決定に至るために、何を明らかにすべきかを箇条書きにしていきます。

 例えば、次のようになるべく具体的に書いていきます。

 【例:新商品のパッケージデザイン案についての印象】
 ・商品特徴が伝わったか
 ・新しい印象を受けたか
 ・デザインの全体的な好み
 ・色あいから受ける印象
 ・ブランドらしさがあるか

聴取内容を考えるコツ
このときに大事なのは、あらかじめ「仮説」を考えることです。上記の例であれば、新しいデザインが狙っていることを達成するには、どのような懸念があるかを想定し、それを確認できる調査内容を考えていきます。

 質問したい内容と、それにかける時間を記した台本を用意します。インタビューフローとも呼ばれます。

 インタビューの冒頭には、調査の目的やインタビューにあたってのお願いを伝える時間を設けます。そのあとは対象者の自己紹介や、一般的なことを聞くパートを設けましょう。

 このパートは対象者との信頼関係を築くために重要な役割を果たすので、時間が足りないからと言って削らないようにしてください。

 続いて本題に入ります。調査時間内に終わるよう、聞きたいことに優先順位をつけることが大事です。内容をつめ込みすぎると重要なことを深掘りできなくなり、せっかくインタビューをやったのに、表面的なことだけしかわからずに終わってしまいます。

 聞きたいことはパートに分けて、できるだけ具体的に書いておきます。実際に始まったら、後戻りはできないので、聞き逃すことのないようにしっかり記載しておきます。

 インタビューで聞く順番は、必ずしも聞きたい優先順位のとおりではありません。先に聞いた質問は、後から聞く質問に影響を与える(聴取順バイアスと呼ぶ)ので、できるだけそれを避けることも考える必要があります。

 最後に、クロージングです。インタビューのお礼を述べるとともに、「何か言い足りないことはありますか?」と聞いてみるのがおすすめです。最後にポロリと本音が出ることもよくあります。

 また、この時間をあらかじめ5分程度は取っておくことで、インタビューが多少押しても時間切れにならずに済みます。

インタビューガイド作成のコツ
各パートで、対象者の意識をどう深掘りしたいかも併せて書いておくとよいでしょう。例えば、「特にそう感じるタイミングは?」「デザインのどの部分からそう感じたか?」など、対象者の発言に応じてさらに聞くべきことをメモしておきます。

 対象者のリクルートは調査会社への依頼や、自社のモニターや自分の知り合いの中から見つけることもできます。

 リクルートする際には、設計時に決めた条件に合う人を見つけて日程の調整をします。内容を録音・記録することの許可も併せて必要です。対象者の条件に適しているかを照らし合わせるための質問票(スクリーニング票と呼ぶ)を用意すると、漏れなく条件に合う人を選出できます。

 対象者条件が狭く、あまりいないタイプの人をリクルートしたい場合は、調査会社に依頼すれば、Webアンケートや、専門の調査員による機縁法(友人や知人などの紹介によって選ぶ方法)を使って探し出してくれます。その場合のリクルート期間は少なくとも2週間ほどを見ておきましょう。

対象者リクルートのコツ
自社のモニターや知り合いにインタビューをする場合、対象者に調査主体が明らかになります。そうすると「悪いことを言いづらい」と考える人もいるかもしれません。それも考慮しつつ、目的に合わせて対象者をリクルートする方法を考えます。

 インタビュー調査は、自ら聞く、または専門のインタビュアーに頼むこともできます。特にグループインタビューの場合は、複数の人から話を引き出しつつ、時間内に終えることが必要になるので、自信のない場合は調査会社やフリーランスの専門家に依頼するとよいでしょう。

 対象者がリラックスして本音を語ってくれることが大事なので、話しやすい雰囲気作りを心がけましょう。服装は華美なものや堅苦しいスーツなどは避け、少しカジュアルで親近感がわくようなものを選びます。

 インタビュー中に簡単なメモを取ることは問題ありませんが、それに集中してしまうと会話のリズムが崩れてしまいます。記録は、書記や録音を頼りにして、インタビュー中は会話に集中できるほうがよいでしょう。

 インタビュー調査は会話なので、事実関係を把握するだけでなく、どうしてそう考えるかなどを柔軟に確認することができます。「どの部分からそう感じたのでしょう?」などと投げかけ、具体的に明らかにしていきます。

 しかし、理由や背景を知ろうとするあまり、「どうしてそうするのですか?」「なぜですか?」と聞きすぎると、対象者がまるで責められているような印象になって萎縮してしまうこともあります。

 「それをやるのは、何のためですか?」「やらないとどうなるのでしょう?」などとやわらかい言い方に変えて聞いていきましょう。

 インタビュー調査では、聞き手が回答を誘導しないように注意します。例えば、対象者が「かわいいデザインですね」といったときに「ですよねー!」と返すと、かわいいと言われたいんだな、という印象を与えてその後の会話が誘導されていきます。

 あくまでインタビュアーは、フラットな立場でいることが非常に重要です。

インタビューでの会話のコツ
誘導せず、やわらかく会話をつなげていくテクニックに、相手の言った語尾や単語を短く繰り返す、という方法があります。例えば「好みじゃなかったので別の商品に変えました」「好みじゃなかった?」「ええ、私には甘味が強すぎたんです」といった具合です。
また相手が少し考えているときは、無理に話を振らずに思い切ってしばらく無言で待つのも効果的です。

 インタビューが終わったら、対象者の発言を分析し、レポートを作成します。インタビューはあらかじめ録音から発言録を書き起こしておきます。この工程は、インタビュー中に書記担当が記録していれば、時間を短縮できます。

 インタビューのレポートでは、調査で明らかにしたいテーマに沿って発言を分類、構造化します。そのうえで、調査目的に沿って結論をまとめあげます。どのような人が、どう発言をしたか、という点も明らかになるようにまとめていきます。

 特定の少数の人を集めて聞いているので、数字でまとめることにあまり意味はありません。定性調査だからこそ聞き出せた意識や背景を、ロジカルに構造化することを心がけます。

 定性調査のレポートの書き方は難しいので、下記にあくまで一例ですが、悪い例と良い例を挙げました。

 ・悪い例

テーマ「ジョギングをする際の悩み」
〇〇の悩み:7人 ✕✕✕の悩み:5人 ◇◇の悩み:2人

 このようなまとめ方は定量調査であればよいですが、少ない人数のインタビューでは偶然そのような偏りが生まれただけかもしれません。

 ・良い例

インタビュー調査のレポートの良い例・筆者作成
インタビュー調査のレポートの良い例・筆者作成

 このように構造化できれば、ターゲットが有効な解決策を見出せていない深刻な悩みを特定し、その原因となっていることをビジネスがどのように解決するかを検討できます。

 個別のテーマの分析・構造化ができたら、それをもとに調査目的に照らし合わせて結論を端的に書きます。事実の羅列ではなく、ビジネスとして優先的に何に取り組むべきかの提案を含めると良いレポートになります。

分析・レポーティングのコツ
慣れないうちは、発言を構造化するのは難しいかもしれません。その場合、インタビューの前に、レポートを使うときのことを考えながら、まとめ方をあらかじめ決めておくことをおすすめします。まとめる枠だけでも先に作っておくと、終わってからスムーズに作業を進められるでしょう。

 最後に、インタビュー調査の事例を紹介します。

 ある携帯電話事業者では、競合他社と比べて顧客満足度が低いことが課題となっていました。改善のため、まずは定量調査やデータ分析をベースにお客さんをグルーピングして、それぞれの層で特にどのようなことが主に不満となっているのかを分析しました。

 そのうえで、不満の原因や背景、その不満が顧客体験にどのような影響を及ぼすのか、そして不満を解消する改善方法を探るためにグループインタビューをしました。

 会社は不満の原因に対しては仮説を持っていました。しかし、グループインタビューを行って顧客の声を聞いたことで、気付いていなかった要因も明らかになり、また複数の要因が関連し合うことで不満を拡大させていることもわかりました。

 結果をもとに、料金プランや店舗でのサービスを見直して、満足度の向上につなげました。

 インタビュー調査では、データからは見えにくい、ものごとの因果関係や顧客の気持ちを理解できます。上手に活用できれば、顧客の声を迅速に事業に活かせて、新しいビジネスチャンスにつながるでしょう。

 慣れるまで少しコツが必要ですが、この記事で紹介した手順やポイントを参考にしてみてください。