ロジカルシンキング(論理的思考)とは?できる人の特徴や鍛え方を解説
物事を考えるうえで、論理的な道筋が成り立っていないと矛盾が生じるものです。そこで活用して欲しい考え方が「ロジカルシンキング(論理的思考)」です。会議の専門家が話し合いや仕事を進めるうえで、周りを納得させるために必要となるロジカルシンキングの活用方法と鍛え方についてご紹介します。
物事を考えるうえで、論理的な道筋が成り立っていないと矛盾が生じるものです。そこで活用して欲しい考え方が「ロジカルシンキング(論理的思考)」です。会議の専門家が話し合いや仕事を進めるうえで、周りを納得させるために必要となるロジカルシンキングの活用方法と鍛え方についてご紹介します。
目次
ビジネスでもよく耳にするようになったロジカルシンキング(論理的思考)。しかし、その意味を理解せずに使っている人も多いのではないでしょうか?
そこで、ロジカルシンキングの意味や、ほかの思考方法との違いを解説します。
ロジカルシンキングの「ロジカル」(logical)とは、「論理的な」という意味です。これは、物事の「原因」と「結果」が法則や理屈に合っているということを示しています。
つまり、ロジカルシンキングとは、理屈のない突飛な考え方ではなく、矛盾のない筋道を成り立たせて結論を導く考え方のことです。
例えば、15時に待ち合わせをしたとしましょう。
間に合うためには、家を〇分前に出ればよい。だから家を出る〇分前に準備を始めよう。そのためには、今の仕事を〇時に終わらせよう。
こう考えると、筋道に矛盾なく行動できます。これが「論理的に考える」ということです。このように、一つの事象に対して縦に深掘りをしていく「垂直思考」がロジカルシンキングの基本になっています。
ロジカルシンキングと比較されて、よく活用されるものに「クリティカルシンキング」や「ラテラルシンキング」と呼ばれる思考方法があります。これらの思考方法について解説していきましょう。
思考法 | 活用シーン | |
---|---|---|
ロジカルシンキング (論理的思考) |
「原因」と「結果」に対して、矛盾なく筋道を立てて結論を導く思考法 | 問題解決策を検討するときなど |
クリティカルシンキング (批判的思考) |
「仮説」を立てて、それが正しいかを論理的に検証して結論を導く思考法 | 答えが正しいかどうか検証しながら見極めたいときなど |
ラテラルシンキング (水平思考) |
「前提」を疑い、それを取り払って自由な発想で可能性を広げていく思考法 | 新たな発想を見つけたいときなど |
ロジカルシンキングとクリティカルシンキングは、因果関係を導くための「前提」を基に深堀りする「垂直思考」が特徴です。
対して、ラテラルシンキングは「前提」を疑い、可能性を広げる「水平思考」である点が大きな違いです。
クリティカルシンキングは、基本的にロジカルシンキングと似た思考法です。それぞれ、物事を「前提」を基に論理的に深掘りをしていきますが、大きな違いは「前提を疑うか疑わないか」という点にあります。
クリティカルシンキングは、問いに対しての解答や解決策を「仮説」として考え、「本当にそうなのか?」と疑い、仮説が成り立つかを検証していきます。そのため、仮説に対しての矛盾点を見つけやすく、リスクを回避できます。
ビジネスシーンでは、今まで常識と思っていた課題解決に対して、新しい視点や解決策を導くためにクリティカルシンキングを活用するといいでしょう。
ラテラルシンキングは、固定観念や既成概念の枠にとらわれず、物事を水平的(ラテラル:lateral)に見る観点から物事を考える思考法です。
そのためには「前提」を疑い、それを取り払って自由な発想で可能性を広げていくことが必要とされます。ビジネスシーンでは、革新的な新商品の開発や、前例のない解決策の導入、新しい働き方などを生み出すときに活用します。
ロジカルシンキングは、前提や情報に対して深く縦に掘り下げて考えていきますが、ラテラルシンキングは常識にとらわれず、水平方向に展開して多くのアイデアを創出する点が大きな違いです。
ロジカルシンキングを活用するメリットを、有効な場面とあわせて3つご紹介します。
ロジカルシンキングを活用することで、情報に対する「分析力が向上」します。情報のなかの事実はなにか、さらにその事実はどこから出てきたことかを客観的に見る視点が養われます。
ロジカルシンキングで培った分析力は、商品などのテストデータを分析して、不適切な数値の原因を探るときなどに活用できます。
メリットの2つ目は、「結果」に対して、なにが「原因」なのかを導く道筋を考える思考力が高まり、「問題解決力」が高まります。
このとき、「原因」をさらに1つの結果とすることで、より深い「原因」を探れるため、真の原因を導けます。原因を新たな結果とし、深掘りしていくことで、根本原因に対しての解決策を見出せるのです。
トラブルが発生した際など、問題の根本原因を見つけたいときに有効です。
論理的思考を身につけることで、自分の考えや意見を正しく人に伝えることができ、説得力が向上します。論理的に説明できるようになることで矛盾を感じなくなり、聞いている人の納得感を高められるからです。
会議や交渉など、相手を納得させるような場面で活用できます。
ロジカルシンキングでは、結論を論理的に導く方法が大きなポイントになります。代表的な手法として「演繹法」「帰納法」「弁証法」があります。それぞれの特徴をご紹介しましょう。
「AはBである」(前提)、「BはCである」(観察事項)、「だからAはCである」(結論)というように2つの情報を関連付けて、そこから結論を必然的に導き出す思考法です。「三段論法」とも言われています。
例えば、次のような考え方になります。
注意点として、前提は一般論やルールを用いますが、前提が誤っていると正しい結論には導けません。
帰納法は、観察されるいくつかの共通点に注目して、そこからルールや結論を導き出す思考方法です。ただし、結論は1つとは限らず、結論を導き出すためには知識や想像力が必要となります。
例えば、次のような考え方になります。
このとき、結論に反する観察事項が1つでもあれば、その結論は間違っていることになります。
弁証法とは、「対立」もしくは「矛盾する」2つの事柄を合わせることで、より高い次元の結論へと導く思考方法です。これは2つの対立する意見に対して、どちらも切り捨てることなく、双方を総括する考え方を導くときに活用されます。
具体的には、次のような考え方です。
注目すべき点は、A案もB案も妥協をしていないところです。弁証法を利用する際は、お互いの主張を切り捨てず、より高いレベルで結論を導き出すことが大切になります。
ロジカルシンキングは、物事を頭の中だけで考えると上手く活用できないため、フレームワークを使い論理的に物事を考えてみましょう。ロジカルシンキングで、よく活用されるフレームワークを3つご紹介します。
ロジックツリーとは、テーマとなる課題や問題、物事を下の図のようにツリー状にして分解していくものです。このとき、上位と下位には必ず論理的なつながりが存在します。
なお、ロジックツリーは、使う目的によって3種類に分けられます。
考えている物事の要素を表に示して、要素ごとに分類する方法です。分類することで、意見やデータなどがどの分類に属しているかを明確にできます。
マトリクスには、大きく分けて「2軸型」「表型」の2タイプがあります。
縦と横、2本の線で交差させて、4つの象限でパターン分けを行います。参考として、行動の優先度を考える場合の2軸型を示しています。4つの象限に整理することで、手を付ける順番が明確になります。
要素となる情報が2つ以上になった場合や、情報を比較するときなどに使います。例として、以下に商品購入の際の比較表を示しています(カッコ内は順位。合計点数の少ないものが最優先となる)。表のように情報を点数化して評価をすると、論理的に優先順位を捉えられます。
価格 | 品質 | メンテナンス性 | バリエーション | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|
A社 | 2万円(1) | 並(3) | 良くない(3) | 5種類(1) | 8 |
B社 | 4万円(3) | 非常に良い(1) | 良い(2) | 1種類(3) | 9 |
C社 | 3.5万円(2) | 良い(2) | 非常に良い(1) | 3種類(2) | 7 |
ピラミッドストラクチャーは、ロジックツリーと似た見た目ですが使い道が異なります。
ピラミッドの頂点に、話の論点となる「メインメッセージ」を置き、下の段には正しい理由「キーメッセージ」=「根拠」を並べていきます。複数の「根拠」から「結論」を導くため、帰納法を活用して考えます。
複数の根拠を用いることで、結論のメインメッセージが論理的に正しいのかを説明できる点が大きな特徴です。
ロジカルシンキングを鍛えるには、論理的に物事を考える「習慣」が重要です。論理的思考ができる人の特徴と鍛え方を3つ紹介します。
ロジカルシンキングで大事な点は、「事実を明確にする」ことです。そのため、あいまいな言葉ではなく思ったことや感じたことを言語化し、「なぜそうなのか?」という事実を突き止めるようにしてみましょう。
例えば、
このように、自分があいまいに思っていることを言語化し、その根拠を探ることで論理的な考え方を養うことができます。
問題が発生したときに「なぜ?」を繰り返すことで、根本的な問題を突き止められます。この方法を「なぜなぜ分析」といいます。
このときのコツは、「なぜ?」を自責で考えることです。それによって、自分たちができる改善点を見つけることができます。
これをロジックツリーの「Whyツリー」にまとめることで、一時的な思いつきや感情論ではなく、論理的に原因を見つけられるようになります。
ディベートは、物事を論理的に、かつ瞬時に組み立てる思考能力を高めるのに役立ちます。ディベートとは、論題に対して意見が反対の立場に分かれて、論理的な主張や証拠を用いて討論する手法です。
ディベートで重要なのは、論理的な根拠に基づいて自分の立場の主張をし、いかにして第三者を納得させるかが大きなポイントになります。正論側は、ピラミッドストラクチャーを活用し、複数の「根拠」から「結論」を導くといいでしょう。
また、反論側は相手の言葉の矛盾点を突くことで、その主張を崩していきます。そのためには、瞬時に論理的に考えた質問や、反論を述べることが重要です。
ロジカルシンキングは論理的に物事を考えていくため、常に正しい答えを導くことができるように見えますが、万能な思考法ではありません。
そこで、ロジカルシンキングを活用する際は、次の3つに注意しましょう。
ロジカルシンキングは、与えられた情報を縦に深掘りしていく思考方法です。そのため、ほかの視点を考えにくくなるという欠点があります。
例えば、既存商品の改善をするときには有効ですが、全く違う新しいものを生み出す場合には不向きです。新しいものを生み出したい場合は、ラテラルシンキングを活用するといいでしょう。
ロジカルシンキングは、与えられた情報を論理的に展開していきます。そのため、与えられた情報が間違っていた場合、正しい結論を導くことはできません。
もし、与えられた前提となる情報が間違っているかもしれない、ということを考慮したい場合は、クリティカルシンキングを活用するといいでしょう。
論理的に説明し、結論が成立しても、論理と結論だけでは相手が納得しない場面があります。なぜなら、人には感情や思い、直感といった数値化できないものがあるからです。
論理的に理詰めで説明をされると「頭の固い人」や「気持ちが理解できない人」というように見られるかもしれません。そのため、コミュニケーションを取る際は相手の気持ちをくみ取ることを優先し、論理だけで言い分を主張しないように気をつけましょう。
ロジカルシンキングを活用し、上手に相手と渡り合うことで、より良い関係性を導いていけます。
ロジカルシンキングは、自分の思いや考えが本当に正しいものなのかを、論理的に確認できます。セールス担当やメンバーを率いるリーダーにぜひ身につけてもらいたい思考方法で、上手く活用すれば、自分の考えを納得してもらうための交渉術として効果的です。
ただし、ロジカルシンキングを活用する際は、一方的にこちらの言い分で相手を負かすのではなく、お互いの主張をきちんと理解しましょう。すると、より高次の答えを論理的に導き出し、Win-Winの関係を作りあげていけるでしょう。
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