目次

  1. コーヒー生豆を自家焙煎 純喫茶は新宿の隆盛とともに 
  2. 逆境の喫茶店 打開策はドリップバッグコーヒー
  3. 不安と恐怖と重圧……コロナ禍の飲食店経営の実情
  4. コロナ禍で売り上げを伸長した理由「軸をぶらさない」
  5. 事業再構築補助金で焙煎事業の拡大へ

 但馬屋珈琲店は、コーヒー生豆を自家焙煎し、ネルドリップで1杯ずつ時間をかけて淹れた1杯830円以上のコーヒーで知られています。

 提供するのはひとりひとり異なる1客数万円の高級カップ&ソーサー。コスパ(コストパフォーマンス)・タイパ(タイムパフォーマンス)時代を逆行するかのようなサービスを続けてきました。

但馬屋珈琲店を経営するイナバ商事3代目代表の倉田光敏さん(同店提供)

 店を経営するイナバ商事3代目代表の倉田光敏さんは歴史を振り返ります。

 「祖父が経営していた喫茶店を、1987年に現在の高級路線に方向転換したのは父です。美術品や骨董品の造詣が深く、アーティストとの交流もありましたので、そこからインスピレーションを得たのかもしれません。当時、1客1客デザインが異なるカップを100客もそろえているお店は少なかったと聞いています」

但馬屋珈琲店のコーヒーカップ&ソーサー(同店提供)

 それが支持されて、現在、但馬屋系列店は、本店を含めて新宿に2店、吉祥寺に1店、池袋に1店を運営しています。

 「私たちは新宿の隆盛とともに歩んできました。祖父も父も町内会の行事に積極的に参加し、新宿の街を心から愛している。『新宿には文化が薫り、憩いの場である喫茶店が必要』 という思いもあったんでしょうね」

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