復興米の活用先を募集【能登半島地震】中橋商事の倉庫で500t被災
能登半島地震で被災した能登の新米数百トンを「復興米」と位置づけ、米卸売業「中橋商事」(石川県宝達志水町)が活用先を募集しています。能登地方では、水田の地割れや用水路が破損する被害が出ており、2024年産への影響はまだ見通せない状況ですが、中橋商事副社長の中橋枝里子さんは「農家のみなさんが作った米を無駄にせず、食べていただいたみなさんのおいしかったという声を農家さんに届けたい」と話しています。
能登半島地震で被災した能登の新米数百トンを「復興米」と位置づけ、米卸売業「中橋商事」(石川県宝達志水町)が活用先を募集しています。能登地方では、水田の地割れや用水路が破損する被害が出ており、2024年産への影響はまだ見通せない状況ですが、中橋商事副社長の中橋枝里子さんは「農家のみなさんが作った米を無駄にせず、食べていただいたみなさんのおいしかったという声を農家さんに届けたい」と話しています。
中橋商事は1949年に石川県羽咋市で米穀店を開いたのが始まりで、石川、富山、福井の北陸3県の米を扱う「饗のこめ」ブランドで知られた企業です。
そんな中橋商事も2024年1月1日の能登半島地震に見舞われます。従業員の家族や親類に影響が出ているなか、1月4日から営業を再開。他県の協力会社や同業者から届いた水やおかゆなどの支援物資を避難所に届けるといった活動を続けています。
石川県は米づくりが盛んな地域で、輪島市白米町にある棚田「白米千枚田」は国指定文化財名勝に指定され、観光スポットとしても人気があります。
今回の能登半島地震では、こうした水田に大きな被害が出ています。
中橋さんが、水田を見て回ると、地震の影響で隆起したり、地割れができていたり、用水路が破損していたり、納屋が壊れてしまっていたりと様々な被害が出ていました。
被害の大きさに落ち込んでしまう農家も少なくありません。しかし「(米づくりを)やるよ、今年はどれぐらい作ればいい?」と例年5月ごろから始まる田植えに向けて、意欲を見せる農家にも出会いました。
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そんな姿を見て、中橋さんも「能登のお米がおいしかった、また食べたいという声を農家さんに伝えたい」と決意を新たにしています。
中橋商事の被害も小さくありません。米や契約農家の農機具を保管していた複数の倉庫が被災。倉庫の一つは擁壁が沈んでしまい、解体せざるを得なくなりました。
総量で500t超の玄米入りのフレコンバッグも相次いで倒れ、石川県産のコシヒカリ、ゆめみづほ、つきあかり、ひゃくまん穀など一部の銘柄は混じってしまい、小売店での販売が難しくなってしました。
中橋さんは「農家のみなさんが作った米を無駄にしないよう余震の続くなか、ヘルメットをかぶり、慎重に倉庫から運び出しました」と話します。
衛生状態に問題ないものを再選別し、精米すると、200~300tほどは食べられる見込みであるため、今回の地震により行き場を失った新米を『復興米』として提供することにしました。
復興米は、個人向けとしてふるさと納税の返礼品として登録されており、たとえば、楽天ふるさと納税のサイトでは、応援メッセージが寄せられています。
自社の食堂で活用するため、まとめて購入を検討したいという法人からの問い合わせもあるため、中橋さんは中橋商事の復興米特設サイトから購入できるようにしました(物流や震災被害の状況により発送までに時間がかかる場合があります)。
今回の地震で被害を受けた水田も多く、2024年はどれだけ作付け、そして収穫できるかどうか、見通しも立っていません。また、能登地方でも農家の高齢化は課題となっており、今回の地震で離農が一層進んでしまう懸念もあります。
そんななかでも、中橋さんは「能登のお米はうまみが凝縮されておいしいのです。そんな能登のお米をこれからも農家さんに作っていただけるよう、みなさんの応援の声を届けたいと考えています」と話しています。
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