目次

  1. 「トラック野郎」にあこがれドライバーに
  2. 「このままだと大赤字」大口取引から撤退
  3. 下がり続けていた運賃
  4. 米国企業とのやりとりで深まった問題意識
  5. 安全にはお金がかかる

 横浜市出身で、子供のころからトラックが好きだったという田中さん。菅原文太さん主演の映画「トラック野郎」にあこがれ、大学を中退後にトラックドライバーとなります。いくつかの運送会社での勤務後に独立し、2007年にアイ・ティー物流を立ち上げました。

 現在のアイ・ティー物流は従業員26人、4トントラックなど32台を抱えます。海外からの輸入貨物を主に扱い、大井ふ頭に届く電子部品などを関東一円の工場に運んできました。

 田中さんは2023年3月、創業以来荷物を運び続けてきた、ある大手企業との取引を終わらせました。

 「とにかく、運賃値上げの交渉に全然応じてくれない。そのまま続ければ大赤字となるのは目に見えていました」

アイ・ティー物流の社屋
アイ・ティー物流の社屋

 この荷主の仕事は1件あたりの輸送距離が比較的短く、運賃も少なかったため、利益を確保するためには他の運送業務と組み合わせる必要がありました。しかし2024年4月からは、トラック運転手らの時間外労働に年960時間の上限が適用され、1日あたりの拘束時間も最大15時間となります(いわゆる物流の2024年問題)。これまでと同様に1日に2件の依頼をこなそうとすると、1日あたりの拘束時間が上限を超過する可能性が出てきたのです。規制に違反せず、赤字が出ないよう大口荷主の仕事を続けるためには、運賃をあげてもらうしかありませんでした。

 田中さんはこうした事情を荷主に説明し、「運賃が損益分岐点を超えられるようにしてください」と運賃アップを訴えました。しかし「アイ・ティー物流さんは、損益分岐点が高すぎます」と取り合ってもらえず。多い時で会社の売り上げの1割ほどを占めていたこの荷主との取引を、打ち切ることにしました。幸い、他の取引での売り上げ増もあり、大きなダメージにはならなかったといいます。

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