目次

  1. 「粉体のコンビニ」として成長
  2. 会議で出た数式が分からず
  3. 「砕いてみた」動画を発信
  4. インスタ発信が中途採用に
  5. カフェを探す感覚で機械を
  6. 社員主導で進める技術継承
  7. 経営者イベントのパイプ役に
  8. 社長就任で社員に語った決意

 京成電鉄四ツ木駅から10分ほど歩くと、薄い緑色が目印の槇野産業の社屋が目に入ります。工場内では、従業員が黙々と作業に汗を流していました。

 槇野産業のキャッチコピーの一つが「粉体業界のコンビニエンスストア」です。食品から工業製品まであらゆる物を粉にするため、「問い合わせは毎日届いても、原料は全て違うので営業社員も面白がっています」と槇野さんは言います。

槇野産業は住宅街にある町工場です

 槇野鉄工所として創業した同社は、マキノ式粉砕機という独自製品を開発。戦後の食糧難ではパンの原料として、アワやヒエなどを粉砕する機械を作り、食品に強い粉砕機メーカーとして名を広めました。

槇野産業は槇野鉄工所として創業。1943年に現社名になりました(同社提供)

 同社の粉砕機は回転板とスクリーンと呼ばれる部品を、用途に合わせてカスタマイズし、様々な粒度に対応できるのが強みです。「零コンマ数ミリから1センチくらいのものまで扱えます」

 食品だと、パンに使う米粉、こしょうを砕いたスパイス、ユニークなところでは、そうめんを作る際の切れ端を砕いて再利用するニーズにも応えています。

 SDGs(持続可能な開発目標)を受けた粉砕機の発注も増えています。バイオマス発電所の原料の木粉、液晶金属を取り出すために用いるパソコン基盤の粉体、竹プラスチックの原料などにも用途が広がり、土壌改良の肥料に使うウニの殻を砕く機械も求められました。

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