目次

  1. 3店舗閉鎖後の売上は前年同期比106.9%
  2. 店舗閉鎖、本店がきっかけだった
  3. 売上拡大路線から利益重視へ
  4. 中小企業の差別化路線は「人間による接客」

 オーダースーツブランド「銀座英國屋」を展開する英國屋は1940年創業。東京・銀座や大阪などに店舗を展開し、ここ数年の年間売上高は14億~16億円です。

 2023年、店舗が入っている建物の建て直しなどのタイミングで東京・赤坂、奈良、名古屋にある3店舗を閉鎖することを決めました。

 小林さんは「売上は多少下がると覚悟していました」といいますが、2023年11月~2024年1月の売上高は、新規顧客も増えて前年同期と比べて106.9%となりました。コロナ前の水準と比べても105%の伸び率です。

 既存顧客だけ集計しても前年同期と比べて99.1%と、ほとんど離脱がなかったといいます。一方で、3店舗分の家賃・共益費で月300万円ほどの支出を減らせたこともあり、利益率は前年よりも2倍近く改善しました。

高級オーダースーツブランド「銀座英國屋」の小林英毅社長

 「フルオーダースーツは、それぞれの体型に合わせた型紙から一から作るため、そのフィット感を体験された方はなかなか離脱しないという商品の特徴があります。また、近くの店舗が閉鎖となっても、仕事で立ち寄った東京や大阪の店舗で注文いただいているようです」

 閉店したところは、少人数で運営しており、拠点のある東京や大阪からサポートしづらい店舗もありました。そこで、スタッフの一部は、残る店舗に移ってもらうことで、スタッフを増員でき、手厚い接客ができるようになったほか、土日に休みやすくなり、勤務シフトも組みやすくなるという効果もあったといいます。

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