目次

  1. 落ち込んでいた年商を回復
  2. 皮革生産の4割を占める国際基準
  3. 手探りで見直した生産体制
  4. 検査体制を整えて規制に対応
  5. 進取の気性でゴールドを取得
  6. 有名ブランドの工場視察が相次ぐ
  7. 金融マンから転身して職人に
  8. サステイナブルなビジネスを求めて

 「かつては週1回のペースで上京していましたが、苦労してアポイントをとってもその先に進みません。『環境で飯は食えん』といわれたこともありました。それが先方から『会いたい』と連絡が入るようになったのです。感無量ですね」

 LWG取得を決意した16年の年商は、おりからの不況により中嶋さんが入社した11年の7ガケに落ち込んでいました。しかし、地道な活動が実を結び、現在の年商は入社時のそれに追いつく勢いです。

 取引先は250社から300社に拡大。あらたに顧客リストに名を連ねたのは大手スポーツメーカーや世界的なファッションブランド、老舗のフットウェアメーカーです。

世界最先端の環境基準を満たしたレザー(繁栄皮革工業所提供)

 16年、イタリアで年に2回開催される世界最大の皮革製品見本市「リネアペッレ」を訪れた中嶋さんは、いつもと様子が違うことに気づきました。どのブースもことごとく見慣れぬマークを掲げていたのです。LWGの認証マークでした。

 LWGとは、05年にナイキが音頭をとって発足した、ファッションブランド、タンナー(製革業者)、薬剤メーカーからなる国際環境基準監査団体のこと。正式名称をレザー・ワーキング・グループといいます。

 時あたかも有害物質の取り扱いや発展途上国での未成年者の就業が問題になり始めたころ。アディダス、クラークス、ティンバーランドも創設メンバーに名を連ねたLWGは破竹の勢いで会員数を増やします。参加企業は2千社を超え、全世界の皮革生産におけるLWGのシェアは40%を突破しました。

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