目次

  1. 「長男の責任感」で事業承継
  2. 待ち受けていた経営者保証
  3. 「銀行マンと仲良くしよう」
  4. 信用調査会社にも情報開示
  5. コロナ融資の借り換えで経営者保証を解除
  6. 借入へのイメージ変わった

 タック電子は、電子回路の設計やプリント基板の組み立てなどODM(Original Design Manufacturer)を主な事業とする社員9人の名古屋にある会社です。自社製品として、ビジネスホテルでルームキーを差し込むと照明がつく機器も開発しています。

タック電子製で開発している、カードキーでホテル客室の電源・客室リネン清掃管理のシステム

 家業を離れて半導体商社に勤めていた髙田さんのもとに2017年末、実家から電話がかかってきました。タック電子の創業者である父の様子がおかしいという家族からの相談でした。病院での診断は「認知症」でした。

 会社の番頭役から「代表に就いてくれないか」と相談されたとき、心のなかでは迷っていました。ただ、タック電子を継ぎたいという手を挙げる人はおらず、「最後は長男の責任感で決断しました」。

 神奈川県で購入していたマンションを手放し、名古屋市へ。タック電子に入社したものの、父は認知症により感情をコントロールしづらくなっていました。何度も「クビだ」と怒られながらも、入社から1年半後に事業承継をしました。

 2019年6月、代表取締役に就任した髙田さんを待ち受けていたのが、事業者が金融機関から融資を受けるときに、経営者個人が連帯保証人となる「経営者保証」の引き継ぎでした。

 借入金数百万に加え、当座貸越は限度額近くまで借りており、運転資金が足りなくなると、父が会社に個人貸付をしていたことがわかりました。

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