「ゆうパック廃止」懸念を日本郵便が否定 運送事業許可取り消し問題で
杉本崇
(最終更新:)
日本郵便の輸送ネットワークの全体像とトラックを使用した業務範囲(日本郵便のプレスリリースから https://www.post.japanpost.jp/notification/pressrelease/2025/00_honsha/0617_02.html)
日本郵便の一般貨物自動車運送事業で、点呼の未実施や不実記載が多数の営業所で確認されたため、国土交通省は全国の郵便局のトラックやワンボックス車約2500台の運送事業許可を取り消す方針です。これを受けて出ている「郵便物が配送できない」、「ゆうパック廃止を検討している」という懸念について、日本郵便は2025年6月、否定するコメントを発表しました。トラックでの業務を他の運送会社に委託することを基本に、それが難しい場合は軽四輪を使用することで、行政処分後も郵便・物流サービスを維持すると説明しています。
ゆうパックとは
日本郵便の公式サイトによると、ゆうパックは、ゆうパックは、サイズ3辺合計170cm以下、重さ25kgまでの荷物を日本全国へ配達するサービスです。郵便局や一部のコンビニから発送できます。
日本郵便の運送事業許可取り消しの経緯
日本郵便のニュースリリースによると、運送事業許可取り消し問題は、近畿支社管内の小野郵便局(東条旧集配センター)で、法令で定められた点呼業務を実施しないまま配達業務をしたことが発覚したことがきっかけです。
その後、全国の郵便局3188ヵ所を調査した結果、多数の営業所で点呼が適正に実施されていなかったことが発覚。国交省は日本郵便の一般貨物自動車運送事業の許可を取り消す方針で、約2500台あるトラックやバンが5年間、使えなくなる見込みとなっています。
日本郵政「サービスを引き続き提供」
運送事業許可取り消し方針について、国交省の公式サイトによると、中野洋昌大臣は6月6日の記者会見で、物流に対する影響については日本郵便において現在、精査中だと聞いているとしたうえで「大事なことはやはり安全確保に万全を期すべく、体制を再構築していただいた上で、この物流サービスの提供に支障が生じないように、全力を尽くしていただくことが必要なのではないか」とコメントしています。
一方、日本郵便は、一部報道やSNS上で「郵便物が配送できない」、「弊社がゆうパック廃止を検討している」などの情報があるとして、これらの懸念を否定するコメントを発表しました。
「郵便物および荷物(ゆうパックなど)のサービスは、引き続き提供してまいります。そして、ご利用いただいているお客さまにご迷惑をおかけすることのないようあらゆる手段を講じ、お預かりした大切な郵便物や荷物をしっかりとお届けしてまいります」と説明しています。
行政処分執行後の郵便・物流サービスの提供の具体的な方法
日本郵便は6月17日、国交省に対し行政処分を受け入れる旨を報告しました。そのなかで、行政処分執行後は、全国の約 330 局の郵便局で使用している約2500台の 1㌧以上の車両は使用できなくなりますが、他の運送会社へ委託を行うことを基本に、それが難しい場合は日本郵便が保有する約3.2万台軽四車両などを使用することで、配送を維持する方針を明らかにしました。
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この記事を書いた人
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杉本崇
ツギノジダイ編集長
1980年、大阪府東大阪市生まれ。2004年朝日新聞社に記者として入社。医療や災害、科学技術・AI、環境分野、エネルギーを中心に取材。町工場の工場長を父に持ち、ライフワークとして数々の中小企業も取材を続けてきた。
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