目次

  1. 不動産業から養鶏場に婿入り
  2. 「汚すぎた」鶏舎を改善
  3. 飛び込み営業で飲食店を開拓
  4. 経営方針の違いで義父と大げんか
  5. 有名料理店とコラボした親子丼
  6. 地元店とコラボしたプリンも
  7. 原材料高でも衰えぬ商品開発
  8. 「Totto Farm」に込めた思い

 伊藤養鶏場は伊藤さんの妻の祖父が50年以上前、数十羽の鶏を飼い始めて創業しました。義父の代で規模を拡大しますが、全国的な卵余りで縮小。それまでの鶏をすべてやめ、新しく改良されたウコッケイの品種「東京うこっけい」の飼育に切り替えました。

 現在、東京うこっけいと赤玉鶏卵を産む「もみじ」という鶏を約5700羽飼育し、ウコッケイの卵2種類、鶏の卵1種類、そして加工食品用にウコッケイのオスの肉を生産しています。卵は黄身がぷっくりして色が濃く、味も濃厚なのが特徴です。

東京うこっけいから生まれた卵の黄身はぷっくりしています(伊藤養鶏場提供)
東京うこっけいから生まれた卵の黄身はぷっくりしています(伊藤養鶏場提供)

 伊藤さんは「成長に合わせ、エサの配合を変えています」。ベースとなるエサにはパプリカやマリーゴールドの花弁の粉末などを配合し、濃い黄身の色を出しています。「極烏プレミアム」という卵を産むウコッケイのエサには、味にコクを出すため魚粉や海藻を混ぜています。ごまもエサに入れることでぷっくりとした卵になり、栄養価も高まるそうです。

 商品は百貨店や、イタリア料理の名店「アルヴェアーレ」(東京・麻布十番)をはじめとする有名料理店に卸しています。従業員は10人(パートを含む)です。

 伊藤さんは母の実家が農家でしたが、「まさか自分がやるとは思いませんでした」。高校卒業後、住宅設備会社などを経て不動産業に就き、東京都東大和市を中心に営業しました。やりがいを感じ、独立することが目標になりました。

東京うこっけいから生まれた卵
東京うこっけいから生まれた卵

 そのころ、同僚が義父と懇意になったことから今の妻を紹介され、交際に発展。長男を授かり結婚の許しを得るためあいさつに行くと、義父から「婿に入って養鶏場を継いでほしい」と言われました。

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