目次

  1. 入社直後に抱いた課題
  2. 思いを後押しした先輩社員
  3. 経営に踏み込むデザイン
  4. 全スタッフにリブランディングを説明
  5. 「一貫生産体制」を前面に
  6. コンセプトの前にテーマを
  7. 「ミートピア」をコンセプトに
  8. ロゴや着ぐるみで見せた統一感
  9. 初期段階からスタッフを巻き込む
  10. ブランド推進室を創設した理由
  11. 商品拡大戦略を見直し
  12. 「数十年単位の我慢比べ」で
  13. 印象的だった「黒子力」

西澤明洋さん

エイトブランディングデザイン代表

1976年、滋賀県生まれ。大手電機メーカーのインハウスデザイナーから独立。「ブランディングデザインで日本を元気にする」というコンセプトのもと、企業のブランド、商品、店舗開発など幅広いデザインを手がけている。「フォーカスRPCD®」という独自手法でリサーチからプランニング、コンセプト開発まで一貫性のあるブランディングデザインを強みとする。主な仕事にクラフトビール「COEDO」、抹茶カフェ「nana’s green tea」、スキンケア「ユースキン」、ヤマサ醤油「まる生ぽん酢」、ブランド買取「なんぼや」、手織りじゅうたん「山形緞通」など。著書に「ブランディングデザインの教科書」(パイ インターナショナル)などがあり、特集雑誌「デザインノート『西澤明洋の成功するブランディングデザイン』」(誠文堂新光社)も発刊した。

 1946年に創業したサイボクは、豚の飼育から加工品の製造、販売まで手がける一貫体制が旗印です。代表銘柄「ゴールデンポーク」のハム・ソーセージなどが評価され、欧州の国際食品品質コンテストで1045個の金メダルに輝きました。本社敷地に「豚のテーマパーク」を構え、東京ドーム2個分の敷地で豚肉のレストランや直営店、天然温泉施設などを運営しています。

サイボクは豚の飼育から手がけています

 笹﨑さんは創業者笹﨑龍雄氏の孫にあたり、2011年にサイボクに入社しました。製造現場や直営店での販売などを経験する中で、入社2年後くらいからパッケージやラベルに課題を感じるようになりました。

 「既存の商品やデザインに問題はなかった」とした上で「装いであるラベルやパッケージデザインに統一感や品質感がないことが課題でした。ブランドとしての統一感を出し、商品の品質に見合ったパッケージにすることで、もっとお客様に喜んでもらえるのではと考えました」と言います。

 勉強を重ねる過程で、経営という文脈でデザインを捉えるブランディングの必要性に気づいたといいます。

 「各事業部がそれぞれ独自に商品に最適なパッケージやラベルをデザインしていて、属人化が起きていました。それはルールを作っていなかった経営側の責任です。パッケージのデザイン変更という部分最適の単一施策ではく、全体を俯瞰し、整合性を持った全体最適のデザイン変更が必要だと考えました。そしてデザインにおける経営指針の必要性も浮かび上がってきたのです」

「豚のテーマパーク」の飲食スペースには行列ができていました(編集部撮影)

 しかし、当時社長だった父の静雄さん(現会長)からは「第三者のデザイナーにできるのか」と反対されました。

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