目次

  1. 面接(選考)辞退のメールが届いたときの対応
    1. 「返信しない」のはNG
    2. 1営業日中に返信する
    3. メールでの連絡にはメールで返信
  2. 面接(選考)辞退のメールに返信するときのポイント
    1. 丁寧な言葉使いで対応する
    2. 内容は簡潔・明瞭にまとめる
    3. 辞退理由を確認したいときは工夫をする
  3. 【例文】面接(選考)辞退のメールへの返信
    1. 【ケース1】承知した旨を簡潔に伝えたいとき
    2. 【ケース2】承知した旨を伝え、理由を聞きたいとき
    3. 【ケース3】面接(選考)の辞退を引き留めたいとき
  4. 面接(選考)辞退に関するよくある疑問
    1. 面接(選考)を辞退される理由は?
    2. 面接(選考)辞退を防ぐためにできることは?
    3. 内定辞退の連絡がメールで届いたらどうする?
  5. 面接(選考)辞退メールへの返信が「最後の印象」を決める

 採用選考では、新卒・中途採用を問わず複数の選考ステップがあるのが一般的です。その選考ステップの途中で、応募の意志がなくなったり、企業の提示する選考日時での調整ができなかったりして選考を辞退する場合、多くの応募者がメールで連絡します。 

 選考辞退になったからといって、コミュニケーションをおろそかにしてよいわけではありません。将来的に顧客や取引先として関係が生まれたり、再び転職で応募に繋がったりといった可能性はもちろん、その印象が第三者に伝わることは十分に起り得ます。

 選考辞退のメールが届いたときこそ、企業として誠実な対応を心がけましょう。

 「辞退をしたいということは、むしろ返信をしない方が相手にとって気が楽でいいのでは?」と考える人もいるかもしれません。実際、「返信は不要」と考える辞退者もいます。

 しかし「申し出を受けた」という確認の通知は、その後のトラブルを防ぐためにも重要です。相手方が送信先を間違えていたり、やはり気が変わって応募したいと思っていたりと、行き違いが発生する可能性もあるからです。

 また、辞退であっても応募者として尊重し、丁寧な対応をすることは企業に対する好印象に繋がります。必ず連絡を受けた旨を返信しましょう。

 毎日多くの選考希望者とのやり取りがある繁忙期は特に、これ以上選考に進まない辞退者への対応はつい後回しにしてしまいたくなります。

 しかし「連絡を受けた」というメールの返信は、日程調整などとは違い、時間が必要な作業ではありません。相手に「きちんとメールが送られているか?」と不安にさせないためにも、速やかに返信をしましょう。

 目安として1営業日中には返信できるよう、例文を用意しておくことをおすすめします。

 「なぜ辞退することにしたのか直接話を聞きたいから、電話で連絡をしたい」「応募書類の返却ついでに、全ての選考が終わってから書類で返信予定」といった対応をされているパターンもあるかもしれません。

 しかし「メールでの辞退連絡にはメールで返信する」が基本です。相手から電話で連絡が来た場合で責任者が不在だったというケースなら、何か直接伝えたいことがある可能性があるため、折り返し電話をするのもよいでしょう。相手からきた連絡方法と同じ方法で返すと、相手の意図に沿った対応に近づきやすくなります。

 選考辞退のメールに返信する文面を作成するとき、どのようなポイントを押さえたらよいのか確認しましょう。

面接(選考)辞退のメールに返信するときのポイント
・丁寧な言葉使いで対応する
・内容は簡潔・明瞭にまとめる
・辞退理由を確認したいときは工夫をする

 「色々考えましたがやっぱり辞退させてください」など、応募者からのメールが比較的ラフな文面であったとしても、返信は企業のビジネスメールとして相応しい丁寧な言葉使いで対応しましょう。

 思いがけない辞退があると「自社のこれまでの応募ステップに何か問題があったのか」など、気になることも出てくるため、遠回しにそれを確認しようと言葉を重ねたくなります。

 しかし、意図の伝わりにくい表現は避けましょう。辞退の申し出を受け付けたこと、確認したいことがあれば理由を簡潔に、ハッキリとわかりやすく記載してください。

 辞退理由を確認することは、採用戦略を立てる上で非常に参考になることがあります。しかし、当然のことながら「本当の理由」を素直に伝えてもらえるとは限りません。

 ・相手が答えやすいように、ある程度辞退理由の候補を想定し尋ねる
 ・何のために辞退理由を確認するか伝える

 といった工夫が必要です。

 また、あくまでも「協力してもらえるのであれば」という姿勢で確認しましょう。回答を強制するような文言にならないよう注意してください。

 辞退メールへの返信について、3つのパターンで具体的な文例を紹介します。新卒・中途向けそれぞれのケースと組み合わせて参考にしてください。

件名:【選考辞退のご連絡を承りました】
〇〇大学 佐藤 花子さま

お世話になっております。
先日は説明会へのご参加、誠にありがとうございました。

選考は辞退されるとのご連絡を承りました。
説明会時にご持参いただきましたエントリーシートは、責任をもってこちらで廃棄させていただきます。
ご了承ください。

末筆ながら、佐藤 花子さまの今後のご活躍をお祈り申し上げます。

(署名)
件名:【選考辞退のご連絡について】
〇〇大学 鈴木 太郎さま

平素よりお世話になっております。
昨日、選考を辞退する旨のご連絡を承りました。ご丁寧なご連絡を頂き、誠にありがとうございます。

当日ご持参いただきました応募書類について、責任をもって弊社で処分させていただきます。返送をご希望の場合は本日より1週間以内にお申し出くださいませ。期日以降は処分いたします。

なお、誠に勝手ではございますが、弊社の今後の採用活動の参考にさせていただくべく、今回辞退を希望される理由について、簡単にご返信をお願いできますでしょうか。

特に、ホームページや求人サイトに記載していた職務内容や条件と実際に面談を受けたときの情報に乖離があったなどの問題や、面接時に弊社の課題に気付かれたようなことがございましたら、忌憚のないご意見を承れましたら幸いです。

お忙しいなか、不躾なお願いをしまして大変申し訳ございません。
もちろん、こちらのお願いは強制的なものでは一切ございませんので、難しい場合はご放念ください。

末筆ではございますが、鈴木 太郎さまの健康とご活躍を心よりお祈り申し上げます。

(署名)
件名:【選考辞退のご連絡について】
〇〇大学 鈴木 太郎さま

平素よりお世話になっております。
ご案内しました面接日のご連絡について、選考を辞退する旨のご連絡を承りました。
お忙しいなか、丁寧なご連絡を頂きありがとうございます。

〇〇さまの応募書類からご経歴、実績、業界知識まで社内で非常に評価が高いことが伝わり、お会いできることを面接官一同大変楽しみにしておりました。

もしも今回のご辞退の理由が「現在の業務が忙しく近日中に面接の対応が難しい」といったものや、体調など一次的に転職活動を休止せざるを得ないといったものでありましたら、私どもとしては柔軟にスケジュールを変更させていただきたく存じます。

また、職務内容や勤務地のことなど、気になることがありましたらぜひお気軽にお問合せ下さい。

ご検討いただける可能性がございましたら、こちらのメールに返信いただくか、下記署名の人事部採用担当 田中 直通番号までお気軽にお問合せ下さい。

ご検討、重ねてよろしくお願い申し上げます。

(署名)

 面接辞退に関して、人事採用担当者からよく挙がる疑問点について解説します。

 そもそもなぜ選考途中の辞退が発生するのか?その防止策は?内定辞退のメール連絡にはどのように対処すべきか?など、対応を考えるうえで知っておきたいポイントです。

 応募者が選考途中で辞退してしまうのにはどのような理由があるのか想定し、辞退を防ぐために対処することも重要です。

 代表的な辞退理由に、以下のようなケースがあります。

面接(選考)を辞退される理由
・仕事内容や待遇面でより魅力を感じていた他社で内定した
・やりたいことや魅力に感じる条件が変わった
・就職活動/転職活動そのものをやめた
・説明会や面接など、選考プロセスでの会社の対応に問題があった
・体調不良や個人的な用事と重なってしまった

 全ての応募者の辞退理由を正確に把握することは難しいですが、辞退理由に偏りがある場合、その原因について根本的な対処が必要かもしれません。

 辞退理由の把握は、辞退防止の第一歩です。他社への内定による辞退が多い場合、どのような会社と並行して受験する方が多いのかを知ることで、応募者にとって自社の魅力となっているポイントは何か、共通点とともに、比較して自社のマイナスポイントを見つけやすくなります。

 例えば、特定の面接官に集中して辞退が多い場合、その面接官に必要なトレーニングを実施するといった対策が必要かもしれません。

 一方、選考フローの発表が遅い、日程や時間の選択肢がないといった場合、他社がどのように選考を進めているか情報収集し、選考を受けやすい環境を作る必要があるでしょう。

 全体として必要なことは、応募者との適切なコミュニケーションです。信頼を得るための礼儀正しい対応・情報開示が全てのステップで行われているか、常に他社の採用の動きと比較しながらチェックすることが大切です。

 応募者は複数の選考を同時に受け、選考を受けながら各社の志望順位を見極めていきます。残念ながら最終的に「内定」まで進んだにも関わらず、辞退に至るケースもあるでしょう。

 基本的には、面接(選考)辞退も内定辞退も同様に、素早く・丁寧な対応を行うのがポイントです。メールで連絡が来たら、1営業日中に返信するようにしましょう。

 辞退の連絡を受けた場合、辞退理由を確認できるとベストです。辞退者は自分の結論に不安を感じていたり、選択するうえで重要なこと(勤務地や職種選択、福利厚生など)を誤認していたりするケースもあるためです。相手に寄り添って辞退理由を丁寧に確認することで、自社のPRの在り方について見直せるきっかけになるかもしれません。

 いずれにせよ、自社と接点があった辞退者とは最後まで良好な関係性を維持するのが基本姿勢です。

 面接(選考)辞退の連絡メールへの返信は、その応募者と企業との最後の接点です。つまり、その返信から受ける印象がその企業の「最後の印象」を左右するということになります。

 コミュニケーションの仕方によっては、辞退するはずだった応募者と再度面接の機会を持つこともありえます。

 自社に良い人材を迎え入れるための大切なコミュニケーションの機会ととらえ、スピーディーに対応できるよう返信文面を予め準備しておきましょう。