目次

  1. 地域観光魅力向上事業とは
    1. 補助額・補助率
    2. 公募期間いつからいつまで?
  2. 地域観光魅力向上事業の2つの類型:販売型と新創出型
    1. 販売型
    2. 新創出型
  3. 補助対象経費と対象外経費
  4. 審査の観点と留意点
    1. 持続可能な観光地域づくりへの寄与
    2. 独自性・新規性
    3. 具体性・計画性
    4. 実施体制・持続性
    5. 収益性
  5. 留意点

 インバウンドの三大都市圏への需要の偏在が深刻化するなか、観光庁は地方誘客促進を進めようとしています。

 こうしたなか、地域観光魅力向上事業は、地域資源を活用した収益性の高い、独自性・新規性のある観光コンテンツの開発を支援します。適切な販路開拓や情報発信も総合的に支援し、中長期にわたって販売可能なビジネスモデルづくりをサポートします。

 経費には、①事業費(補助対象経費)、②補助対象外経費と、①と②を合わせた③費用総額があり、①事業費の額に応じて補助額が決定します。事業形態は、間接補助事業です。

 400万円まで定額補助で、400万円超になると補助率が1/2で、補助上限額は1250万円、最低事業費は600万円となります。

 たとえば、事業費が600万円の場合、400万円+(600万円―400万円)÷2=500万円が補助額です。事業費が2100万円の場合、400万円+(2100万円―400万円)÷2=1250万円が補助額です。

 補助対象事業者の要件は、地方公共団体、観光地域づくり法人(DMO)、観光協会、民間企業等であることであり、地域の関係者と連携することが求められています。

 公募は2025年3月3日~4月18日正午(締切厳守)です。その後のスケジュールは以下の通りです。

2025年5月下旬:採択通知
2025年6月10日まで:事業計画書及び交付申請書提出
2025年6月下旬~7月目途:交付決定
交付決定後~2026年2月28日:事業実施期間(事務局による伴走支援)
2026年2月28日まで:完了実績報告及び精算書類提出

 地域観光魅力向上事業には、「販売型」と「新創出型」の2つの類型があります。

 まず、2つの類型に共通する要件として、地域で事業者が連携して、地域に根差し、継続的に実施するツアー・体験等の観光コンテンツを造成する取組であり、かつ地域の産業連携を通じて観光消費拡大を図る取組であることを求めています。

 また、観光コンテンツの販売及び継続的な提供を前提としています。このほか、事業実施期間内に、観光コンテンツについて、観光コンテンツタリフまたはOTA向け掲載情報票を作成し、提出することも求めています。

 そのうえで個別の要件があります。

 販売型は、事業実施期間内に、造成した観光コンテンツを販売することを目的にした取り組みです。

 事業実施期間内に、造成した観光コンテンツを販売することを必須とし、販売経路に乗せ、観光客がコンテンツを購入できる状態とすることや、販売実績報告書を作成することが必要です。

 SNSなどを活用して積極的に情報発信をし、販路を構築することも求めています。

 事業実施期間内に、新たな観光コンテンツ造成および販路構築を行い、事業終了後速やかに販売開始することを目的にした取り組み(事業実施期間内に販売することも可能)です。

 補助金を有効活用するために、補助対象となる経費と対象外となる経費をしっかり確認しましょう。補助対象経費のうち、観光資源を活用した観光コンテンツの造成に係る経費はたとえば、次の通りです。

  • 観光コンテンツ、旅行商品、名産品等の企画開発
  • ワークショップ、協議会等の開催
  • 専門家からの意見聴取
  • ガイドの育成、観光イベントの実施
  • 観光戦略の策定
  • 地域事業者等に対するセミナーの開催
  • 造成した観光コンテンツに関するモニターツアーの開催
  • 効果測定に必要な調査

 経費額割合要件は、販売型に制約はありませんが、新創出型は事業費の50%以上である必要があります。

 このほか、備品の購入・設備の導入に係る経費については、観光コンテンツの造成等に必要となる備品の購入や設備の導入(真に必要不可欠なものに限る)に関するものです。

 販路基盤整備・プロモーションに係る経費としては以下のものが挙げられます。

  • 造成した観光コンテンツを販売するために必要となる写真、動画、ホームページ等、対外的な情報発信のための素材やツールの作成
  • 造成した観光コンテンツの販路拡大を目的とした販路基盤整備・プロモーションに係る経費
  • 造成した観光コンテンツに関するファムトリップやインフルエンサーの招聘
  • 外部商談会への参加に係る旅費

 一方の補助対象外経費は以下のものが含まれます。

  • 本事業に直接関係のない経費
  • 交付決定前に発生した経費
  • 完了実績報告書の提出以降に支払いが行われる経費
  • 新たな観光コンテンツの造成を伴わないイベント開催に要する運営経費
  • 事業者における経常的な経費(運営に係る人件費及び旅費、事務所等に係る家賃、保証金、敷金、仲介手数料、光熱水費及び通信料等)
  • 補助対象事業者における常勤職員の賃金・通勤費等人件費
  • 旅行者が受益する、景品の購入や割引に係る経費
  • 実施主体の会食費、弁当代等の飲食費
  • 本事業における資金調達に必要となった利子
  • モニターツアー参加者の実施場所への旅費

 採択されるためには、以下の5つの観点を意識して申請書類を作成しましょう。

 地域の関係者を巻き込み、観光地域づくりに貢献するものであること。

 地域独自の自然、歴史・文化、暮らし等の要素を踏まえた独自性のある観光コンテンツであること。これまで活用できていなかった観光資源を新規に活用、または既存の観光資源に新たな価値を付加すること。

 事業の目標や達成方法、事業費の内訳等が具体的に定められており、観光コンテンツの内容および造成・販売の計画が十分な具体性と計画性を有していること。

 地域に根差した事業者等による事業運営に必要な体制が構築されていること。造成した観光コンテンツを販売する事業者が明らかになっていること。

 販売価格、コスト管理、販路等が具体的に計画されており、継続的な運営が可能となる十分な収益性が期待できること。

 地方部(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県を除く地域)の案件を80%以上となるよう優先採択することになっています。

 また、2025年大阪・関西万博に来場する観光客向けのコンテンツ販売事業は、採択時点でその趣旨を考慮し、採択後、速やかに交付決定するとしています。

 費用積算書の作成は、各経費につき原則として2者以上からの見積もりが必要です。