目次

  1. 父が広めた棺の価値
  2. 開発営業で学んだ「BtoBtoC」
  3. 「おやじの思いが共栄の理念」
  4. 「プロダクトアウト」を貫く理由
  5. 異業種のカタログから学ぶ
  6. 恩人の葬儀が「ものづくりの原点」
  7. 「カープ棺」の着想は10年前から

 共栄は1970年、材木業を営んでいた栗原さんの祖父・悦四郎さんが創業しました。棺のラインアップは約100種類で、年間で約10万基を製造しています。日本だけでなく、中国、ベトナム、インドネシアにも製造拠点があり、業界では有数の規模といいます。

 広島県内などで材料を集めて工場で棺を組み立て、全国の葬儀社に卸しています。共栄がある地域はタンスの製造が盛んで良質な木材も多く、材木業をルーツにしているため、職人による優れた加工技術も強みとなっています。

 葬儀に使われるのはシンプルな木棺や布棺が一般的で、共栄もこれらの注文が8割を占めます。共栄の特徴は残り2割の独自性の強い商品です。

共栄のレクサス
共栄のレクサス

 例えば、「レクサス」という棺は流線形で、後の「カープ棺」の原型となっています。カプセル状の棺「エリーゼ」は、ふたが半分ほど開けられる仕様で、故人の姿を見えやすくなり、しっかりとお別れを告げられる形になっています。

エリーゼはふたを半分ずらすことで、故人の姿が見えやすくなる作りです

 こうしたデザインや材質に凝った棺に力を入れ始めたのは、父で2代目の正樹さんの代からでした。

 「今でこそ米国発のエンバーミング(遺体に防腐処理をして修復や化粧をする技術)が広まっていますが、父は30年以上前からそれに着目して棺を作ってきました。業界内ではパイオニア的存在だったと思います」

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