目次

  1. 体験価値を軸としたブランディング
  2. ワークショップでファン創出を狙う
  3. お菓子作りのような難しさと楽しさ
  4. ワークショップを担う人材
  5. 「ライフスタイルブランドに育てたい」

 スパークレールは2013年、水井さんの母である洋子さんが、趣味だった石けん作りをきっかけに創業しました。2023年に経営を引き継いだ水井さんは、自社の石けんのターゲット層を広げるため、新ブランド「mue(ミュウ)」を立ち上げます(前編参照)。

 「30~40代の人に愛される石けん」を考える際、水井さんは、市場で埋もれてしまうことをもっとも心配したといいます。最近では、LUSHやSABONなどグローバル企業がコールドプロセス製法の石けんに力を入れており、製法の個性だけでは差別化が容易ではないからです。そこで考えたのは、体験価値を軸としたブランディングでした。

 「体験価値を作るうえで、ターゲットの気持ちを考えることが大切です。私はターゲットとちょうど同世代。ターゲットの気持ちに刺さる体験価値を考えるにはもってこいでした」

 ミュウは、「わたしを脱いで、素肌にもどる。」というキャッチコピーを掲げています。石けんによって、ありのままの自分になるため気持ちを切り替えるといった体験価値を狙っています。

 「30〜40代は、社会的な役割の多様化にともなって気疲れしがちな世代です。部下であると同時に管理職を担う年齢でもあり、結婚しているなら配偶者のパートナーである一方、子どもがいれば親でもあります。このような役割の多様化がもたらす気疲れをリセットする瞬間のひとつが、洗顔のタイミングだと考えました。特に女性の方は、洗顔時にメイクを落とすので気持ちが切り替わることの体験価値がわかりやすいでしょう」

 現在、ミュウの主力ラインである『BARSOAP』は、「newme(新しい自分)」「focus(集中)」「release(解放)」「signpost(道標)」「battery(電池)」といった5つの商品を販売しています。それぞれが体験価値を意識した商品名です。洗浄力や保湿力など機能性の重点が商品ごとに異なるほか、見た目や香りもそれぞれの体験価値に合わせています。

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