事業継続力強化計画のメリットとは 税制優遇や補助金審査に有利
台風や地震など自然災害が増えており、日本全体のサプライチェーンにも大きな影響が出ることが増えていますが、備えは十分でしょうか?中小企業が防災・減災対策をまとめ、経済産業大臣が認定する「事業継続力強化計画」という制度があります。認定を受けると資金調達など様々なメリットがあります。
台風や地震など自然災害が増えており、日本全体のサプライチェーンにも大きな影響が出ることが増えていますが、備えは十分でしょうか?中小企業が防災・減災対策をまとめ、経済産業大臣が認定する「事業継続力強化計画」という制度があります。認定を受けると資金調達など様々なメリットがあります。
目次
事業継続力強化計画とは、中小企業が自社の災害リスクを認識し、防災・減災対策をするための第一歩となる計画のことです。経済産業大臣がこの計画を認定します。中小企業庁の手引き(PDF形式、1.71MB)が70ページ超ありますので、これをもとに概要を説明します。
「中小企業の事業活動の継続に資するための中小企業等経営強化法等の一部を改正する法律(中小企業強靱化法)」が施行され、この制度がつくられました。計画に書く項目は次の通りです。
事業継続力強化計画は、単独の企業で申請する類型のほか、複数の企業が連携して計画・申請する「連携事業継続力強化計画」もあります。
認定を受けた中小企業は、防災・減災設備に対する税制優遇、低利融資、補助金の優先採択など、さまざまな支援を受けることができます。具体的には次の通りです。
たとえば、ものづくり補助金の申請をする場合は、審査をする上で加点されます。
認定計画に従って取得した一定の設備等について、取得価額の20%の特別償却を受けることができます。事業継続力強化計画の認定を受けた後に、対象設備を取得する必要があります。
日本政策金融公庫の低利融資、信用保証の別枠など、計画の取組に関する資金調達について支援を受けることができます。
認定を受けられる中小企業の規模は、中小企業等経営強化法に定められており、以下の通りです。
計画には、災害時の取り組みとして、従業員の避難・被害状況把握の体制整備、社内体制の設定などの初動対策や、人員、設備、資金繰り、情報保全などで必要な対策の検討、従業員への訓練による計画実効性の確保などを盛り込むことになります。
申請書は、5つのステップを踏んで作りましょう。
まず「何のためにこの取組を行うのか」を明らかにすることから始まります。目的については、自社の事業継続力を強化することで、サプライチェーンや地域経済全体に与える影響の軽減に役立てる点を踏まえて記載する必要があります。
ハザードマップ などを活用しながら、まずは事業所・工場などが立地している地域の災害リスクを調べてください。そのうえで「ヒト(人員)」「モノ(建物・設備・インフラ)」「カネ(リスクファイナンス)」「情報」の4つの切り口から自社にどのような影響があるかを考えましょう。
初動対応として、次の取り組みが求められます。
上記で調べた「ヒト(人員)」「モノ(建物・設備・インフラ)」「カネ(リスクファイナンス)」「情報」への対応を考えます。たとえば、社員の多能工化を進める、設備の耐震化、保険の加入、バックアップデータの取得などが考えられます。
事業継続力強化のためには、平時からの備えが大切です。平時からの取り組みを考えるときには次のことに注意してください。
申請に必要な書類は、次の4つです。
申請書は、中小企業のサイトで入手できます。このサイトに提出先も書かれています。このなかから、事業継続力強化計画をつくった企業の主たる事務所の所在地を管轄する経済産業局に提出してください。
認定までには、標準でおよそ45日かかります。ただし、書類に不備があると、手続時間が長期化する場合があります。様々な優遇措置に影響する場合もあるので、余裕をもった申請をしましょう。
中小企業庁は「事業継続力強化計画」の認定を受けた事業者を公表しています。詳しくはサイトを確認してください。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大など、予測できない事態はたびたび起こります。自然災害もその一つです。事業継続力強化計画を策定することで、いざという時の心づもりに役立ちます。
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