BCP(事業継続計画)とは 策定が難しい中小企業には事業継続力強化計画
BCP(事業継続計画)とは、災害など緊急時の被害を最小限に抑え、事業を途切れずに継続する、または早く復旧するための準備に役立つしくみです。この記事では計画づくりに必要なことや手順、メリットについてもまとめました。BCPのほかにも、その簡易版である事業継続力強化計画についてもわかりやすく紹介します。
BCP(事業継続計画)とは、災害など緊急時の被害を最小限に抑え、事業を途切れずに継続する、または早く復旧するための準備に役立つしくみです。この記事では計画づくりに必要なことや手順、メリットについてもまとめました。BCPのほかにも、その簡易版である事業継続力強化計画についてもわかりやすく紹介します。
目次
BCPとは、事業継続計画を意味する“Business Continuity Plan”の頭文字をとった略語です。
簡単にいうと、自然災害、大火災、サイバー攻撃、新型コロナウイルスなどの緊急事態に、被害を最小限に抑え、中核事業の継続や早期復旧のためにあらかじめ立てておく計画のことです。
BCPでやるべきことは大きく分けて次の5つです。
中小企業庁によると、緊急事態に対し、有効な手を打つことがきでなければ、特に中小企業は、経営基盤の脆弱なため、廃業に追い込まれるおそれがあると指摘しています。
緊急時に倒産や事業縮小を余儀なくされないよう、平時からBCPを準備しておくことが大切です。
BCPを作ることのメリットは端的に言うと「緊急事態への対応力の向上」です。中小企業庁によると、対応力の向上により次のような副次的な効果も期待できます。
中小企業庁作成の「中小企業BCP策定運用指針」 (PDF形式:1660KB)によると、BCPをつくる手順は次の6つです。
各項目で具体的に取り組むべきことは、記事「中小企業のBCP策定、老舗料亭が準備した6ステップ」を参考にしてください。
中小企業でのBCPの課題は策定率の低さにあります。帝国データバンクが2021年5月、全国の中小企業に調査したところ、回答が得られた1万1242社のうち、事業継続計画(BCP)を「策定している」と回答した企業の割合は17.6%でした。
この調査は6回目で、年々緩やかに上昇し過去最高となったものの、未だ低水準にとどまっています。
企業からは下記のような声が出ているといいます。
「中小企業の場合は資金調達を含めて対応は非常に難しい」(光学機械・写真機械器具卸売、東京都)
「BCPの必要性は理解しているが、従業員があまり多くない企業でどのレベルのBCPが必要なのか分からない」(施設野菜作農業、岐阜県)
「必要なのは十分承知している。目の前の仕事に追われるなか、有事の発生率を考えるとどうしても先送りにしてしまう」(印刷、大阪府)
事業継続計画(BCP)に対する企業の意識調査(2021年)
BCPのハードルが高い場合、まず事業継続力強化計画から取りかかるのはどうでしょうか。
事業継続力強化計画とは、中小企業が自社の災害リスクを認識し、防災・減災対策をするための第一歩となる計画のことです。経済産業大臣がこの計画を認定します。
中小企業庁の経営安定対策室の担当者は「BCPは災害時でも事業を継続するために大切な計画ですが、ハードルが高く、なかなか普及しませんでした。事業継続力強化計画は、BCPの簡易版という位置づけで2019年に新設された制度です」と説明します。
あらゆるトラブルに対応できる綿密さよりも、リスクの確認や手順づくりなどが求められます。
中小企業庁の公式サイトによると、具体的には、計画に次のような内容を盛り込むことが求められます。
事業継続力強化計画の認定を受けるメリットとしては、災害時の対応力が高まること以外にも次の4つが挙げられます。
中小企業庁は、事業継続力強化計画の策定支援のために、専門家の派遣やセミナーなどを計画しています。2021年7月4日時点では詳しいスケジュールは公表されていませんが、今後、中小企業庁の公式サイトでチェックしてください。
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