目次

  1. BCPとは
    1. BCPでやるべきこと
    2. BCPが必要な理由
    3. BCPのメリット
    4. BCP策定の手順
  2. 中小企業のBCPの課題は策定率の低さ
    1. BCPの策定率が低い理由
  3. BCPが難しければ、まず事業継続力強化計画
    1. 事業継続力強化計画とBCPの違い
    2. 事業継続力強化計画のメリット
  4. 事業継続力強化計画の策定支援

 BCPとは、事業継続計画を意味する“Business Continuity Plan”の頭文字をとった略語です。

 簡単にいうと、自然災害、大火災、サイバー攻撃、新型コロナウイルスなどの緊急事態に、被害を最小限に抑え、中核事業の継続や早期復旧のためにあらかじめ立てておく計画のことです。

中小企業BCP策定運用指針第2版から引用

 BCPでやるべきことは大きく分けて次の5つです。

  1. 優先して継続・復旧すべき中核事業を特定する
  2. 緊急時における中核事業の目標復旧時間を定めておく
  3. 緊急時に提供できるサービスのレベルについて顧客と協議しておく
  4. 事業拠点や生産設備、仕入品調達等の代替策を用意しておく
  5. 全従業員と事業継続についてコニュニケーションを図っておく

 中小企業庁によると、緊急事態に対し、有効な手を打つことがきでなければ、特に中小企業は、経営基盤の脆弱なため、廃業に追い込まれるおそれがあると指摘しています。

 緊急時に倒産や事業縮小を余儀なくされないよう、平時からBCPを準備しておくことが大切です。

 BCPを作ることのメリットは端的に言うと「緊急事態への対応力の向上」です。中小企業庁によると、対応力の向上により次のような副次的な効果も期待できます。

  • 顧客からの信用の維持につながる
  • 融資や保険の優遇を受けられる場合がある
  • 取引先や市場関係者から高い評価を受けられる
  • 経営管理の再確認につながる

 中小企業庁作成の「中小企業BCP策定運用指針」 (PDF形式:1660KB)によると、BCPをつくる手順は次の6つです。

  1. 基本方針の策定
  2. 重要商品の検討
  3. 被害の想定
  4. 重要商品提供に向けた対策
  5. 緊急時の体制の整備
  6. BCPの運用

 各項目で具体的に取り組むべきことは、記事「中小企業のBCP策定、老舗料亭が準備した6ステップ」を参考にしてください。

 中小企業でのBCPの課題は策定率の低さにあります。帝国データバンクが2021年5月、全国の中小企業に調査したところ、回答が得られた1万1242社のうち、事業継続計画(BCP)を「策定している」と回答した企業の割合は17.6%でした。

 この調査は6回目で、年々緩やかに上昇し過去最高となったものの、未だ低水準にとどまっています。

 企業からは下記のような声が出ているといいます。

「中小企業の場合は資金調達を含めて対応は非常に難しい」(光学機械・写真機械器具卸売、東京都)

「BCPの必要性は理解しているが、従業員があまり多くない企業でどのレベルのBCPが必要なのか分からない」(施設野菜作農業、岐阜県)

「必要なのは十分承知している。目の前の仕事に追われるなか、有事の発生率を考えるとどうしても先送りにしてしまう」(印刷、大阪府)

事業継続計画(BCP)に対する企業の意識調査(2021年)

 BCPのハードルが高い場合、まず事業継続力強化計画から取りかかるのはどうでしょうか。

 事業継続力強化計画とは、中小企業が自社の災害リスクを認識し、防災・減災対策をするための第一歩となる計画のことです。経済産業大臣がこの計画を認定します。

 中小企業庁の経営安定対策室の担当者は「BCPは災害時でも事業を継続するために大切な計画ですが、ハードルが高く、なかなか普及しませんでした。事業継続力強化計画は、BCPの簡易版という位置づけで2019年に新設された制度です」と説明します。

 あらゆるトラブルに対応できる綿密さよりも、リスクの確認や手順づくりなどが求められます。

 中小企業庁の公式サイトによると、具体的には、計画に次のような内容を盛り込むことが求められます。

  • ハザードマップ等を活用した自然災害リスクの確認方法
  • 安否確認や避難の実施方法など、発災時の初動対応の手順
  • 人員確保、建物・設備の保護、資金繰り対策、情報保護に向けた具体的な事前対策
  • 訓練の実施や計画の見直しなど、事業継続力強化の実行性を確保するための取組

 事業継続力強化計画の認定を受けるメリットとしては、災害時の対応力が高まること以外にも次の4つが挙げられます。

  1. 低利融資、信用保証枠の拡大等の金融支援
  2. 防災・減災設備に対する税制措置
  3. 補助金(ものづくり補助金等)の優先採択
  4. 連携企業や地方自治体等からの支援措置

 中小企業庁は、事業継続力強化計画の策定支援のために、専門家の派遣やセミナーなどを計画しています。2021年7月4日時点では詳しいスケジュールは公表されていませんが、今後、中小企業庁の公式サイトでチェックしてください。