目次

  1. 「自分に自信がない」を変えたベンチャー起業経験
  2. 「私しかいない」経営難の家業の副社長に
  3. 利益が少ない物流業界ならではの課題に向き合う
  4. 「自分の家族が入社したいと思える会社にしたい」
  5. 「上司に従うだけではワクワク感は生まれない」 
  6. 社員の4分の1が女性 「眠っている才能を開花させる」 
  7. 苦難を乗り越えて得た「お金では買えない価値」とは

 まるだい運輸倉庫は、1958年創業。小田原市、足柄上郡に10拠点を持ち、従業員数は260人です。創業者である奥山武さんを祖父に持つ秋元さんの子ども時代は、授業中に隠れて本を読むような「物静かでちょっと変わった子だった」といいます。

まるだい運輸倉庫の小田原事業所

 祖父はいつも秋元さんに「うちは運送屋だから『うん、そうか』と人の話をしっかりと聞くことが大事だよ」と話してくれました。この教えは、のちに後継者となる秋元さんの「人に寄り添い、傾聴する」という経営者としての姿勢に受け継がれているといいます。

 大学卒業後は、都内のゲーム会社に入社。「当時はコネもお金もない。自分に自信がなかった」と振り返ります。そんな秋元さんの支えとなったのが恩師の言葉でした。「笑顔でコツコツやり続けていれば良いことあるよ」。この言葉を大切に心の中で繰り返してきました。

ベンチャー時代の秋元さん

 すると、24歳のときに転機が訪れます。社内起業のチャンスを得たのです。秋葉原でメイドスタッフを配置して、親会社のゲームソフトのPRをするという事業です。この企画は当たり、大盛況となりました。

 「それまでは自分には仕事のセンスがないと思い込んでいました。しかし、一人ではできないことも、周りの協力が得られれば実現できるという成功体験を通して、自分自身が大きく変わりました」

 30歳のときに、叔母(現会長の奥山恵子さん)から「会社を手伝ってほしい」と連絡がありました。当時の心境を秋元さんは次のように語ります。

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