目次

  1. 避難弱者が出やすい建物から依頼
  2. 清掃業だけで食べていけるか
  3. リスティング広告で依頼増
  4. 3S断行で高めた「気づき力」
  5. 月1回の「みらい検討会」
  6. 利益の3分の1を「決算賞与」に
  7. サービスの幅を広げて値上げ
  8. 採用は新卒をメインに
  9. 業界の立ち位置を上げたい

 テックビルケアは消防法に基づき、建物内の消火器、火災報知機、スプリンクラーといった消防機器の点検、避難経路も含めた消防計画の確認などを手がけています。取引先は福祉施設や病院、宿泊施設など500~600社です。茶橋さんは「不特定多数が出入りし、有事があった時に避難弱者が出やすい建物からの依頼が多いです」と話します。

 法律で決められた消防点検の項目は、火災報知機が作動するかどうかといったハード面や、避難経路がきちんと確保されているかというソフト面まで含まれ、同社では問題点をまとめて、所轄の消防署に出すリポートも書いています。

 「法律で決められた点検なので、サービス内容で差別化するのが難しい業界です。お客様に寄り添った丁寧な説明、ベストソリューションの提案、火災報知機の誤作動への対応といったアフターメンテナンスの充実を打ち出しています」

消火ポンプの点検作業
消火ポンプの点検作業(テックビルケア提供)

 同社は1979年、茶橋さんの父・和夫さんが創業し、近畿クリーナーという名前で清掃業を手がけていました。茶橋さんが2007年に入社してから、消防設備点検の割合を増やして主力事業に育て、2009年に社名もテックビルケアに変更しました。社員数は20人で、直近の売上高は4億8千万円、経常利益は4千万円となっています。

 清掃業は夜間や休日など人がいない時間の作業が中心です。茶橋さんが子どものころ、忙しく働く父と遊んだ記憶はありません。電気工学を学んだ大学時代、父が消防点検の事業に乗り出し、茶橋さんもアルバイトとして手伝いました。

 「当時は従業員が100人以上いましたが、清掃業は労働集約型で利益が少ない割に人の手配やクレーム対応などが多くて大変でした。このまま清掃業だけで食べていくのは難しいという意識が芽生えました」

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