目次

  1. 評価制度は社員の道しるべ
  2. 「30人の壁」にぶちあたる理由
  3. 評価制度作成の具体的な手順
  4. 家族的結び付きを断ち切る覚悟
  5. 評価制度で成長した飲食チェーン
  6. 後から社員に感謝される経営者に

 評価制度は、社員がどこに向かえばいいかを示す道しるべです。評価制度があいまいで、何をしたら評価してもらえるか分からないという状態は「とりあえずその辺を走っておけ」と言われるのと同じです。

 そうなると、社員は迷いながら日々の業務に向かわねばならず、集中力が上がりません。会社にとっても社員が最大限のパフォーマンスを発揮できない状況は避けたいところでしょう。評価制度が一切ない会社は珍しいですが、経営者が主観で全て決めてしまう会社は数多くあります。

 特に「社員は家族だ」という主義の経営者は、「家族である社員をよく分かっているから正確な評価は容易だ」、または「自分でなければ正しいジャッジは下せない」と考えがちです。評価制度の必要性を感じられず、いつまでたっても鉛筆をなめて評価を決める体制から抜け出せないのです。

 評価制度の整備を検討したことがある経営者でも、実際に着手するまでには時間がかかります。評価制度の構築は簡単ではないので、つい後回しにしてしまい、「何となくあった方がいいのは分かるが、面倒だし自分が見れば問題ない」という結論に着地してしまう経営者が多いのです。人は変化を嫌いますし、経営者にとって自分で何もかも決められる状態は心地がよいですから。

 しかし、社員を家族のように扱う経営者でも、評価制度の構築に向けて重い腰を上げるタイミングが二つあります。

 一つは代替わりのタイミングです。経営者が引退を意識し、明確な評価制度を残してバトンタッチしたいと考えたり、後継者が「先代と同じやり方は難しい」という判断の下で評価制度を構築しようとしたりします。筆者自身、近いうちに後を継ぐ予定の現社長の息子という立場の方から、頻繁に相談を受ける機会があります。例えば、次のような内容です。

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