目次

  1. 心理的に安全でない組織とは
  2. フラット型組織の問題点
  3. 心理的安全性を高めるポイント
    1. 人を責めるなルールを責めろ
    2. 組織内の役割と責任を明確化
    3. トラブルを報告する文化に
  4. 心理的安全性がなかった介護施設の改革
  5. 心理的安全性はあくまで手段

 心理的安全性(Psychological Safety)は、自らの意見や疑問を率直に表明できること、失敗やミスを報告しても非難されないことなど、組織内で安心して行動できる状態を指します。ハーバード・ビジネススクールのエイミー・エドモンドソン教授が1999年に提唱しました。その後、グーグルが2012年~2015年にかけて実施した「プロジェクト・アリストテレス」という調査で、パフォーマンスの高いチームの共通点として心理的安全性の重要性を提示しています。

 以来、心理的安全性は日本でも注目を集めました。心理的安全性の高い組織を築く目的は、組織内の情報流通不全の解消です。ただし、何もかも言い合える状態が理想ではありません。この点は後述します。

 エドモンドソン教授がこの概念を提唱した1990年代の米国では、医療や航空分野での事故が相次いでいました。教授は調査の中で、事故の原因は「現場の声が上層部に届かない」、「問題提起がしづらい」といった状態が生まれているためだと指摘しています。

 日本でも同様の問題は顕在化しています。近年、自動車業界で多数の不正や不祥事が明るみになりました。その中の1社で、排気ガス試験の不正をしていたメーカーを調査した第三者委員会の報告書を読むと、現場の社員が上司に繰り返し「問題がある」と報告していたにもかかわらず、上層部は一向に対処せず、次第に部下側は報告をあきらめてしまっていたと記されています。

 なお、上司側は第三者委員会に対し、「現場からは問題の報告はなかった」と証言していました。つまり、問題だと認識していなかったのです。「言っても無駄」、「発言すると評価に悪影響が出るかもしれない」という空気が蔓延している状態は、まさに心理的に安全でない組織です。

 近年はVUCA時代と呼ばれ、ビジネス環境が極めて早いスピードで変化しています。従来のように、一部の経営層だけで意思決定するトップダウン型では、現場の変化に対応する難易度が上がっていると言えるかもしれません。そう考えると、心理的安全性の高い組織は全員が自由に発言できるフラット型の組織であると思い込みたくなります。

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