目次

  1. 岡山県精神科医療センター ランサムウェア被害の概要
    1. 2024年5月13日
    2. 2024年5月19日
    3. 2024年5月20日
    4. 2024年5月21日
  2. ランサムウェア被害範囲と影響
  3. ランサムウェア被害の原因分析
  4. 岡山県精神科医療センターの再発防止策
  5. 病院の事例から学ぶランサムウェア対策の教訓
    1. VPN装置の脆弱性対策
    2. ID・パスワードの高度化
    3. 管理者権限の限定的付与
    4. 水平展開の防止
    5. 個人情報漏洩防止のための暗号化
    6. 事業継続維持のためのバックアップ

 岡山県精神科医療センターのランサムウェア事案調査報告書に記載された内容をもとに解説します。

 2024年5月19日(日)16時ごろ、病院の本院と東古松サンクト診療所で、電子カルテが使用できなくなりました。

 病院のシステム担当者とベンダーが復旧作業にあたるも、仮想基盤の重篤な障害により復旧は困難を極め、翌朝6時15分ごろ、バックアップファイルから不審な拡張子のファイルを発見、ランサムウェアに感染しプログラム及びデータが暗号化されていることが分かりました。

 理事長は「実は前年の暮れ頃から5月にかけての間に数回、ADサーバーの不調が発生したことがありました。いずれもサーバーの再起動により速やかに復旧できたこともあり、当時は外部からの攻撃を感知するような兆候も見てとれませんでした。当時、執拗に調査を依頼しておけば良かったのではないかという反省に加えて、何度かの軽微な不調と復旧が繰り返されたことから、オオカミ少年に慣れた村人のような正常性バイアスを持ってしまったことも悔やまれます」と述べています。

 時系列は以下の通りです。

Active Directoryサーバーへの初期侵入。これ以降18日まで連日、断続的にネットワークスキャン、AD構成情報の窃取、共有フォルダーのデーター窃取、バックアップデーターの探索を実施。

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