データ囲い込みは独占禁止法違反と公取委 MCデータプラスは反論
ユーザーのデータを他社に流出させないよう制限し、他社の労務安全サービスへの切り替えを阻害した「デジタルデータ囲い込み」について、公正取引委員会は2024年12月24日、MCデータプラスに対し、独占禁止法の規定にもとづき排除措置命令を出したと発表しました。これに対し、MCデータプラスは見解の相違があるとして、東京地方裁判所へ命令の取消訴訟の提起と執行停止を申し立てました。
ユーザーのデータを他社に流出させないよう制限し、他社の労務安全サービスへの切り替えを阻害した「デジタルデータ囲い込み」について、公正取引委員会は2024年12月24日、MCデータプラスに対し、独占禁止法の規定にもとづき排除措置命令を出したと発表しました。これに対し、MCデータプラスは見解の相違があるとして、東京地方裁判所へ命令の取消訴訟の提起と執行停止を申し立てました。
MCデータプラス(東京都渋谷区)の公式サイトによると、MCデータプラスは三菱商事の子会社で、建設業向けのクラウドサービス事業を展開しており、「建設サイト・シリーズ」という建設業向けクラウドサービスを提供しており、主なサービスとして、労務安全サービス「グリーンサイト」があります。
公正取引委員会の公式サイトによると、MCデータプラスが自社の労務安全サービスの優位性を保つために、ユーザーが他社の労務安全サービスへの切り替えを困難にしていると指摘しています。
具体的には、「グリーンサイト」のユーザーが他社の労務安全サービスに切り替える際に作業員情報をデータで直接出力できないようにしていると指摘。
他社の労務安全サービスに移行可能な形式で、作業員情報の提供を要請するユーザーがいましたが、MCデータプラスは、遅くとも2020年ごろから、グリーンサイトのユーザーに対し、ユーザー自らが登録した作業員情報であるにもかかわらず個人情報の保護を理由にするなどして、合理的な理由なく作業員情報の提供を拒んでいるといいます。
さらに競争事業者による移行記事の公開をやめさせるために、サービス利用約款を改定して、グリーンサイトから出力した帳票などを他社に提供する行為を一律に禁止しました。また、作業員情報を共同利用の目的の範囲外で加工、複写又は複製することを一律に禁止するなどしました。
公正取引委員会は、MCデータプラスに対し、「作業員情報を提供するよう要請を受けた場合に、合理的な理由なく、ユーザー自らが登録した当該作業員情報を、ユーザーが求める形式でユーザーに提供することに応じない行為を取りやめなければならない」などとして排除措置命令を出しました。
これに対し、MCデータプラスは公式サイトで「排除措置命令に対する取消訴訟の提起及び執行停止の申立て」について発表しました。
「公取委と当社の間で、本命令の事実認定及び法令の解釈に関し見解の相違が生じていることから、当社は本日、東京地方裁判所へ本命令について取消訴訟の提起及び執行停止の申立てを行いました。今後、取消訴訟及び執行停止の各手続において当社の考え方を丁寧に説明し、司法の公正な判断を求めてまいります」とコメントしています。
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