自動配送ロボット、配送能力を向上へ 経産省がロードマップ公表

物流業界における人手不足や、高齢化に伴う買い物困難者の増加といった社会問題の解決策として、自動配送ロボットが注目されています。日本国内でも社会実装に向けて法改正や実証実験が進むなか、経済産業省は、より配送能力の高い中型・中速といった自動配送ロボットの実用化に向けたロードマップを公表し、その実現を後押しする姿勢を明確にしました。
物流業界における人手不足や、高齢化に伴う買い物困難者の増加といった社会問題の解決策として、自動配送ロボットが注目されています。日本国内でも社会実装に向けて法改正や実証実験が進むなか、経済産業省は、より配送能力の高い中型・中速といった自動配送ロボットの実用化に向けたロードマップを公表し、その実現を後押しする姿勢を明確にしました。
経産省の公式サイトによると、自動配送ロボットとは、物流拠点や小売店舗などの様々な荷物や商品を配送するロボットです。
EC市場の拡大などにより宅配需要が急増する中、物流分野における人手不足や買い物弱者対策などの課題解決のため、早期の社会実装が期待されています。
道路交通法の改正により、2023年4月から公道を走行することができるようになりました。全国の複数地域で実証実験が進められています。
ただし、道交法で認められているのは、最高速度が時速6km、車体の大きさは現行の電動車椅子程度の大きさです。一方、海外ではすでに、中速・中型、中速・小型などの「より配送能力の高い自動配送ロボット」の実証実験・サービス提供が行われており、ルール整備も進んでいるといいます。
物流業界では、深刻な人手不足が課題となっています。2027年には約24万人のドライバーが不足し、2030年には物流需要の約34%に対応できなくなるという試算もあるなかで、経産省のワーキンググループは配送能力の向上について議論してきました。
経済産業省がとりまとめたロードマップは、これらの社会課題を解決するために、より配送能力の高い自動配送ロボットの社会実装を目指すものです。
「より配送能力の高い自動配送ロボット」とは、産業界の求める性能をもとにすると、「2.5m×1.3m×2.0m以下」の中型は想定する最大積載量は少なくとも145kgとし、「1.2m × 0.7m × 1.2m以下」の小型は想定する最大積載量は少なくとも85kgとし、最高速度はいずれも時速20kmの性能を想定しています。
とりまとめるときには、「より配送能力の高い自動配送ロボット」について、有識者と事業者の意見から次のような意見があったといいます。
「より配送能力の高い自動配送ロボット」のユースケースとして、個人宅等への配送、移動販売、B2B搬送の、主に3つを取り上げました。
低速・小型ロボットよりも、速度と大きさが増すことにより、最大積載量や稼働率の向上、1件あたりの配送時間の短縮につながります。そのため、宅配便などの多頻度小口配送、無人移動店舗としての商品販売、クイックコマースの配送地域拡大など活躍の幅が広がる可能性があります。
期待されるユースケースを実現するため、公道を走行する際のロボットの仕様と運用の仮説を、産業界のニーズとして取りまとめました。例えば、中速・中型ロボットは、軽自動車より小型の機体が、最高速度時速20kmで、道路の左側に寄って通行する、という仮説を立てています。
ロードマップでは、早期の社会実装を目指して、直近3年間を「集中的な実証実験期間」と定めた上で、関係者間における知見共有や、目指すべき姿の精緻化を経て、関係省庁等との具体的な協議を行うことを示しています。
自動配送ロボットの社会実装には、多くの課題があります。たとえば、貨物の積卸し・停車場所です。
荷物の積載・受取は、物理的に公道上で実施せざるを得ない場合もあります。ロボットが、道路交通法で自動車や原動機付自転車に区分される場合、5分を超える貨物の積卸しのための継続的な停止は「駐車」となり、駐車違反に問われる場合があります。
そこで、ロボット配送という特性を考慮しながら、5分以内の積載・受取が可能なサービス設計・検証を進めるとともに、よりスムーズで安全な積載・受取のための停車場所について、中長期的な検討を進める必要があるとワーキンググループは指摘しています。
そのほか、ワーキンググループでは、今後検討が必要な論点が出ています。
これらの課題に対応するため、ロードマップでは、市場へ参入しようとする各事業者が、短期的に実証実験を積み重ねることにより、データやサービスモデルを、早期に示すことが重要であると指摘しています。
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