目次

  1. ライフスタイルに合わせて変化してきた谷川木工芸
  2. 両親の反対を押し切り 介護職から家業へ
  3. 「見て覚えろ」が分からず試行錯誤
  4. 電子レンジで温められる弁当箱を開発しヒット
  5. OEMとオリジナルブランドの両立が大切
  6. 丸い木桶だけを作ることに心を決める
  7. 事業承継で固まった覚悟

 谷川木工芸は1955年に創業しました。祖父がすし桶製造所として立ち上げたのが始まりです。

 父である谷川雅則さんが2代目になると、すし桶にこだわらず、現代のライフスタイルに合わせて風呂桶や椅子、おひつなどの日用品から、道の駅しおのえの足湯、神社仏閣に納める担い桶まで幅広く製作するようになりました。3代目の谷川清さんが電子レンジで温められる木桶の弁当箱「讃岐弁よしの」を開発し、これがヒット。

電子レンジで温められる木桶の弁当箱「讃岐弁よしの」。電子レンジ対応を可能にしたシリコンは見えないように作られています
電子レンジで温められる木桶の弁当箱「讃岐弁よしの」。電子レンジ対応を可能にしたシリコンは見えないように作られています

 以降はソファや照明など木桶の技術を中心としたものづくりをしています。売上の2割は自社ブランドで、OEMが8割を占め、現在の年商は3000万円程です。清さんの父と母のほか、パート従業員が3人います。

 清さんは子どものころ、両親から「木桶では食べていけないので継ぐな」と兄とともに聞かされていました。祖父の時代はすし桶の製造で潤い、10人近い働き手がいましたが、バブル後の景気悪化にともない香川県内に10数軒あった讃岐桶樽の事業者は次々と廃業していくことになりました。

 一番の打撃は取引していたメインバンクの倒産でした。雅則さんは経営を耐え忍びながら2018年には香川県の伝統工芸士に認定され職人としての地位を着実に確立。しかし、経営面は厳しい状況が続いていました。

 清さんは美容専門学校を卒業した後、美容院で勤めましたが1年で挫折。その後、介護施設で10年勤めました。目指していた管理職を経験した後、キャリアに天井を感じたと言います。

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