畳縁の認知度はほぼゼロ

 「畳縁」は畳の製造には欠かせない素材です。畳の摩耗を防ぐだけでなく、畳を敷き詰める際にできやすい隙間を引き締める役割もあります。髙田織物は、明治初期に創業し、老舗メーカーとしての地位を築きました。

 しかし、畳縁の認知度は高いとは言えませんでした。髙田さんが東京の大学を卒業する際「お前、畳屋になるのか」と同級生に聞かれました。「畳屋じゃなくて、畳縁を作っているメーカーの後を継ぐんだ」と話したところ「そんな会社があるのか」と言われたそうです。

 「それがすごく悔しかった。畳のことはみんな知っていても『畳縁』は知られていない。この現状を変えなければと思いました」

髙田織物が製造している畳縁

 ところが、故郷に戻っても状況は同じでした。「倉敷市の児島地域は、全国の畳縁の8割を生産する一大産地です。それなのに、地域の人の認知度はほぼゼロでした。岡山は学生服やデニムの生産が盛んということは知っていても、『畳縁も作っていたの?』と言う人が多かったんです」。そして、父親が経営する髙田織物に入社した髙田さんの奮闘が始まりました。

専務就任で意識が変わった

 現場の仕事を経て、30歳で専務に就任しました。その時、父から「お前が39歳になるときにバトンタッチをする」と言われ、意識が変わりました。 自分が社長を継ぐときまでに、不安要素はすべて解消しようと決めたといいます。

 「事業承継の時期を決めたことで、社長はこう判断したけれど自分だったらどうするだろうと、常にシミュレーションするようになりました。意見を言うともちろんぶつかるときがあります。でも、私には『思い』はあっても経験が足りない。社長の経験値に最大限の敬意を払いながら、変えられるところから変えていきました」

(続きは会員登録で読めます)

ツギノジダイに会員登録をすると、記事全文をお読みいただけます。
おすすめ記事をまとめたメールマガジンも受信できます。