目次

  1. OEM製造の工場から新ブランド
  2. 大量生産しないのがブランド方針
  3. 接客では解決できない壁
  4. 廃棄処分が「常識」だった自分を恥じる
  5. 抜け出せぬ「大量廃棄」を変えたい
  6. 国産素材を使う理由

 靴の3大生産地の一つ、大阪市浪速区にある「インターナショナルシューズ」は女性用の高級パンプスなどを長年OEMで作ってきました。社内一貫生産による品質の高さ、小ロット生産も可能な小回りの利く生産体制が強みです。


 その工場で、3代目の上田誠一郎さん(32)が2020年3月に「brightway」というユニセックススニーカーブランドを立ち上げました。シンプルなデザインですが、細部に高級婦人靴を作ってきた技術を生かしています。たとえば、履き口の部分の縫い目の見えない特殊な縫製は、ハイヒールパンプスなどで使用される技法です。踵の芯材は現在、ラグジュアリーブランドの一部でしか採用されていない本革を使用しており、履けば履くほど足になじみ靴ズレが起きにくいという特徴があります。

brightwayのレディーススニーカー

 靴は、メンズとレディースで作り方が異なります。木型設計からパターン設計、使用する素材から機械にまで違いがあり、両方を手がける工場はほとんどありません。さらに生産効率を上げるため、外注、分業が進んでいます。そんななか、インターナショナルシューズは自社工場で、靴を一貫生産できる技術があったため、新たな商品を設計、製造することができました。

 Makuakeでメンズのプロジェクトを3月に始め、8月から始めた2回目のプロジェクトでは、レディースも追加しました。販売価格は税込みで2万8600円ですが、プロジェクト中は15~20%オフで購入できます。すでに目標額を大幅に上回る金額が集まりました。

上田さんは、新ブランドのbrightwayを立ち上げるにあたり、次の行動指針を定めました。

  • トレンド商品は作らない
  • カラー展開をしない
  • モデル数を増やさない
  • 大量生産を行わない
  • 国産素材をできる限り使う
  • 工賃やパーツ代金を通常のOEMより多く支払う

 こうした指針は、家業に戻って工場で靴づくりの現場で味わった苦い思いが原点にあります。

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