製造業に必須の「工程管理表」を解説 作り方のコツ・役立つツール4選
効率的で安全なモノづくりに欠かせないのが工程管理表。いまだに手書きで工程管理表をつくり、使用している会社が少なくありません。一方で、最近はオンラインで工程管理表を簡単に作れるツールが多く提供されています。本記事は、製造業に携わる人を対象に、工程管理の基本と作成のポイント、おすすめの工程管理表作成ツールなどをご紹介します。
効率的で安全なモノづくりに欠かせないのが工程管理表。いまだに手書きで工程管理表をつくり、使用している会社が少なくありません。一方で、最近はオンラインで工程管理表を簡単に作れるツールが多く提供されています。本記事は、製造業に携わる人を対象に、工程管理の基本と作成のポイント、おすすめの工程管理表作成ツールなどをご紹介します。
目次
モノづくりは通常、複数の工程で構成されています。
その一連の工程を管理するのが工程管理です。工程は英語でプロセス(Process)と言い、特に製造業の工程管理はManufacturing Process Management (MPM)と呼ばれ、製造業においては非常に重要な概念です。
工程管理は通常、どのようにモノづくりを行うかという製造工程計画(Production Process Planning)づくりからスタートします。
製造工程計画では、製品を製造するための素材や部品、作業員の数や作業内容などが具体的に検討・決定されます。製造工程計画を検証し、現実的に実現可能な計画に落とし込んだものが工程管理です。
工程管理は、いつまでに何を誰がどれだけつくるかという、モノづくりのスケジュールリングという側面も有します。
各工程(プロセス)におけるスケジュールをまとめたものであり、特にスケールが大きいモノづくりの場合、全体のスケジュールを左右する重要なファクターになります。
そうしたモノづくりの工程管理を、表に落とし込んだのが工程管理表です。
工程管理表は、モノづくりの世界では古くから紙に手書きで記されたものが使われてきましたが、現在はExcelのファイルやGoogleのスプレッドシート、または専用のオンライン工程管理ツールなどのデジタルのツールが広く使われています。
工程管理表は、一般的にはガントチャートの形式で記されます。
ガントチャート(Gantt Chart)とは、各工程の内容とスケジュールを横棒のバーで記した表です。一般的には縦軸に具体的な各工程の内容が記され、横軸にそれらのスケジュールがバーで記されます。
また、それぞれの工程を誰が担当するのかといった情報や、各工程における検査や承認といった中間手続きの情報なども盛り込まれます。
ガントチャートは、20世紀初めにアメリカ人のメカニカルエンジニアで技術コンサルタントのヘンリー・ローレンス・ガントが発案し、主に工場などの製造現場で使われてきました。
その後、ガントチャートは製造業以外の建設業などでも使われ始め、日本を含む世界中に広く普及。今日、ソフトウェアや各種のシステム開発、医療やコンサルティングの現場、各種のプロジェクト管理などでも使われています。
ところで、モノづくりにおいてはなぜ工程管理表が重要なのでしょうか。
答えは、工程管理表のないモノづくりとは、設計図なしに家を建てるようなものだからです。あるいは、フライトプランなしに夜間飛行を行うようなものだと言ってもいいかも知れません。
まず、工程管理表を共有することで、モノづくりのプロセス全体を全社で共有できるようになります。それにより、スケジュールを最適化し、スケジュールの遅延を防止できます。
また、各工程を工程管理表で可視化することで、手順や人員配置などの最適化が可能に。さらには、各工程と全行程の客観的な数値管理も行えるようになります。
例えば、私の顧問先で麺類の製造を行っているある食品メーカーでは、それまで社長の経験で工程管理をしていたのを改め、新たに工程管理表を導入しました。
その結果、原料在庫の適正化が進み、廃棄などの食材ロスの大幅な削減と製造時間の短縮というメリットが得られました。
工程管理表の活用は、ひいては生産性を向上させ、納期の順守につながります。また、作業効率が高まることで製品の品質が向上し、結果的に顧客満足度も向上するでしょう。さらには、在庫や仕入れの最適化なども期待できます。
工程管理表は、製造業者にとってなくてはならない必須のものなのです。
では、工程管理表作成のポイントは何でしょうか。
第一のポイントは、各工程をできるだけ正確に区分することです。
工程が重なる際は分けるなどして、実際の工程を明確にする必要があります。また、検査や承認などの中間作業が入る際は、そうしたプロセスが記されている必要があります。
第二のポイントは、誰が見てもわかりやすく作ることです。
特に実際の作業担当者が見てもわからないような専門用語を使ったり、難解な表現がされたりといったことがないようにする必要があります。
第三のポイントは、可能な限りオンラインで工程管理表を作成し、関係者全員で共有することです。
特に、各工程で修正や変更が多く発生する現場においては、紙などによる工程管理表ではアップデートが困難です。オンラインで工程管理表を共有することでアップデートが可能になり、関係者間での共有も確実になります。
第四のポイントは、工程管理表の管理者をアサイン(任命・指定)することです。
特にオンラインで工程管理表を作成・共有する場合、全体を管理する管理者をアサインし、アップデートなどの権限を与えることが必要です。
筆者おすすめの工程管理表作成ツール・アプリを紹介します。
「ものレボ」が開発・提供している製造管理システムです。特に少量多品種のモノづくりの現場を対象に、工程管理システムなどを包括的に提供しています。
クラウドベースで提供されているため、比較的低コストでの導入が可能です。生産計画と実績データを参照し、工程ごとの不良率や稼働率などの把握もできます。
導入支援プログラムを提供するなど、充実したサポートも魅力的です。
世界中で2万社以上が利用しているオンラインプロジェクトマネジメントツールです。デル・コンピューターなどの大手メーカーに加え、GoogleなどのIT企業でも利用されています。
ガントチャート作成ツール、カンバン表示システム、カレンダー機能などが標準で利用でき、SalesForce、Slack、GitHubなどの外部ツールとの提携も可能です。
製造工程管理に加え、マーケティングキャンペーン管理、イベント管理、ソーシャルメディア管理などの機能も提供されています。
ヘルプセンターなど、サポートも充実しています。
「GEN」が開発・提供しているクラウド業務管理システムです。製造工程管理に加え、販売管理、在庫管理、プロジェクト管理などの機能も提供されています。
メーカーや食品製造業者を含む7つの産業セクターに特化したシステムをクラウドベースで提供しています。
特に製造業向けシステムは、工程フローチャート機能に加え、トークボードなどのコミュニケーションツールも利用可能です。
「ルミックス・インターナショナル」が開発している工程管理表作成ツールです。15年の実績を持ち、中小企業から大企業まで、多くの企業に利用されています。
とりあえず手軽に工程管理表を作成したいといったケースにうってつけです。社内ネットワークで共有も可能なので、グループウェアのような使い方もできます。
これまで工程管理表を作成したことがない、または工程管理表を手書きで作成してきたという会社におすすめです。
工程管理はモノづくりの基本であり、工程管理表はそれを具体的に表した設計図です。工程管理表を上手に活用し、日々のモノづくり向上に生かしてください。
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