顧客満足度を上げるには?効果的な施策5つと手順を事例とともに解説
今や、顧客満足を高めるための企業活動が当たり前になりつつあります。WebメディアやSNSにより顧客が商品やサービスに関する情報接触が非常に多くなり、顧客にとって選ぶ失敗をあらかじめつぶすことができる点は大きいでしょう。そこで、今回は顧客満足度を向上させる方法やポイントを解説します。
今や、顧客満足を高めるための企業活動が当たり前になりつつあります。WebメディアやSNSにより顧客が商品やサービスに関する情報接触が非常に多くなり、顧客にとって選ぶ失敗をあらかじめつぶすことができる点は大きいでしょう。そこで、今回は顧客満足度を向上させる方法やポイントを解説します。
目次
顧客満足度は、顧客が商品やサービスを購入したり体験する前に抱く事前期待と事後結果との差を表したものです。
顧客満足度を上げることは、事業のマーケティング活動そのものを意味すると考えます。なぜなら、顧客満足度の向上には、次のようなメリットがあるからです。
ただし、顧客の期待というのは常に移ろいやすく、すべての顧客で平準化することが困難です。
これまでは満足だった商品やサービスも他社比較によって顧客の期待値が上がり、満足度にマイナス影響を受けることは日常茶飯事です。
そのため、顧客心理を捉えながら常に顧客の満足度を定量化し、伸ばすことができれば、顧客満足度向上の施策は成功と言えるでしょう。
では、具体的にどんな方法があるでしょうか。ここでは、筆者の経験を踏まえ、効果的だと考えられる5つの方法をご紹介します。
まずは、各方法のメリット・デメリットをまとめた表を掲載します。
方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
顧客を広告塔にした推奨拡大 | 企業発信よりも客観性や信憑性が生まれ信用度が高まる | 共感を得られにくい |
返金保証という損失回避のセーフティネット | 購入ハードルが下がり、サービスに満足しなかった場合でも顧客に不満が溜まらない | 返金による費用負担が生じる |
事前期待をコントロールするための商品のマイナス情報開示 | 顧客が適正に評価することができ、事後評価に対するギャップが生まれにくい | ウィークポイントが表面化することで競合優位性に欠けるリスクが生じる |
顧客不満を先回りするカスタマーサクセス | 顧客への即対応が満足度を維持・向上することができる(不満の解消スピードが上がる) | フォロー体制によって企業側のコスト負担が大きくなる |
定期的な期待感醸成のための商品リニューアルアピール | 競合との差別化が図れる 顧客にとって、今後も良いものを作る安心感が生まれる |
リニューアルの内容や頻度によって企業側のコスト負担が大きい |
それぞれの具体的なやり方の手順やコツを以下でご紹介しますので、参考にしていただければ幸いです。
顧客を広告塔にした推奨拡大とは、例えば、Webサイトの口コミやユーザー体験談などがあげられます。
消費財メーカーや化粧品の通信販売事業などに幅広く用いられ、成果を上げている手法です。
企業発信よりも客観性や信憑性が生まれやすい反面、選ぶ顧客によっては共感を得られにくく、思ったよりも成果につながらない可能性があり、注意する必要があります。
この方法を行う際には、既存顧客の中から協力者を募り、個別にインタビューや顧客アンケートで情報を収集します。
協力者は長く利用している、もしくは多くリピートしている顧客を選ぶのがおすすめです。
インタビューの場合、実際のインタビュー動画を撮影するなど顧客自身の発信として活用すると良いでしょう。顧客アンケートでは満足度を定量的に図り、Webサイトや広告などで活用します。
損失回避とは、同じ額を得たときの喜びよりも、同じ額を失ったときの苦しみのほうが大きいため、人は「得る」よりも「損失しない」ほうを高く評価する、ということを示した行動経済学の言葉です。
このような心理を鑑み、たとえば返金保証など「あなたは損をしませんよ」ということが伝わるセーフティネットを設ければ、顧客が不満に至りにくくなるでしょう。
返金保証は、特に、高級サービスなど顧客にとって費用負担が大きい場合や通信販売のように実際に手に取ってみないと分からない場合などの事業特性には効用のある手段です。
なお、返金保証のルールについては、顧客に誤解がない形で顧客とのトラブル発展にならないように、景品表示法の法令順守に十分留意する必要があります。
顧客満足度は、商品やサービスへの事前期待が大きく関わりますが、ウィークポイントを知っておくと、その事前期待をコントロールすることが可能です。
そのため、商品やサービスのマイナス情報の開示は、顧客満足度向上の有効な手段となり得ます。
特に不動産事業や高級商材の販売などでは、顧客との商談早期段階でこれらの情報を効果的に開示することで、契約率を上げている成功事例があります。
一方、ウィークポイントが表面化することで競合優位性に欠けるリスクが生じるため、一定のルールにもとづいて行うのがセオリーです。
実施する際は、まず商品の容量、サイズ・個数や価格など顧客から自社商品やサービスに対する要望を収集します。
顧客アンケートで、利用するにあたって”我慢”や”妥協”していることをヒアリングすると良いでしょう。
それによってわかった商品やサービスのウィークポイントを、特徴と合わせてWebサイトやカタログ、チラシなどの広告や営業のセールスシーンなどに活用します。
カスタマーサクセスは、どの商品やサービスにも応用できる、顧客満足度を上げる確実な手段の1つです。
売って終わりではなく、売った商品をどのように使ってもらうかという顧客体験まで考えることで、顧客がつまづくポイントが見えてきます。それをスピーディーにフォローすることで、顧客満足度の維持・向上が期待できます。
たとえば、メルカリが提供する配送サービスも、「伝票を書く手間」や「住所を教えたくない」といった顧客心理を起点に考案されたものです。
カスタマーサクセスを形成するには、顧客が購入した自社商品やサービスに対する疑問や不安・不満を予め用意し、それをフォローする、というイメージを持つといいでしょう。
例えば「靴」を購入した顧客は、せっかく買ったのにその靴に合う服装がわからない、汚れてしまって履けなくなった……といったシチュエーションに陥るかもしれません。
そこで、事前にその靴に合うコーディネーションを紹介したり、正しいメンテナンスの手入れ方法を案内したりする、といった具合です。
ただし、フォローを手厚くすればするほどコスト負担も増えていくため、顧客が本当に望んでいることを、アンケートやSNSなどから拾い集め、精査するのも重要になります。
成分や原材料などの質を上げたり見直しを行ったりした際に行われる手法です。
リニューアルに関する特徴やメリットを、Webサイトや自社アカウントのSNSやカタログ、チラシなどでアピールするのが一般的となっています。
商品のリニューアルアピールは、競合と差別化が図れるだけでなく、今後も良いものを作る会社だという安心感を顧客に与えます。
一方、リニューアルの内容や頻度によって、企業側のコスト負担が大きくなるため、バランスを考えて取り組むのがポイントとなるでしょう。
なお、アピールには、リニューアルに至った背景や顧客の声を反映したことを訴求するのも有効です。リニューアルしたことだけでなく、改善の姿勢を顧客にアピールできることこそ顧客満足度に繋がるからです。
顧客満足度を上げるための大まかな流れをご説明します。これらの流れに沿って具体的な施策を講じることで、客観性をもって取り組むことができます。
現状把握においては、定量と定性のアプローチがあります。定量では顧客満足度のアンケートを取るのが最も有効です。
自社商品やサービスを一度でも利用したことがある顧客を対象に行います。数多くのサンプルを集めるために、協力特典を用意して、定期的に何回も実施していくことをおすすめします。
定性では顧客の直接インタビューによる満足度や課題の把握です。今ではオンライン上でのやり取りが一般化しましたので気軽に行うことができます。一人の顧客に対して30分程度のインタビューを実施し、アンケートでは聞けない顧客心理や期待を掘り下げることが可能です。
次に、目標を設定します。顧客満足度の向上そのものが目標項目ですが、それらに付随する詳細な項目についても「5段階評価」における目標数値を定めると良いでしょう。
実際の5段階評価は、顧客の評価を基準にするのが現実的です。例えば「商品提供スピード」に対して、「大変満足の場合は5段階評価の5、概ね満足は4、可もなく不可もないは3、やや不満は2、大変不満は1」といった形です。
このとき、調査会社に委託して自社だけでなく他社サービスとの顧客満足度の比較を行い、客観的な数値目標を取り入れるのもおすすめです。
アンケート結果と目標に基づいて改善すべき点を洗い出し、優先度の高い施策を選択すると良いでしょう。
ただしアンケート結果に「価格が高い」という声が寄せられるケースでは注意が必要です。
単に価格を下げるということでは、顧客満足度に繋がりません。その声に関連する顧客の期待ギャップを探すことが重要となります。
例えば「容量を大きく、もしくは小さくする代わりに単価を安くみせる」という工夫を施すことで新たな訴求を生み出すことができます。
顧客の声をそのまま反映するのではなく、その裏にある心理を読み解くことが重要です。
半年~1年に一度程度の頻度でアンケートを実施し、効果を検証すると良いでしょう。その際、新たに取り組んだ施策についても項目に追加して評価をヒアリングすると、顧客の需要をはかることができるのでおすすめします。
また、効果測定するにあたっては、主観的になりやすいため、より効果の有用性を的確に捉えたい場合は調査会社にアンケート項目や実査を依頼する方法もあります。
これまでの活動を通して得られた顧客の声や施策課題を棚卸し、課題優先度の高い施策を講じていきます。
実行することで顧客からの何らかの反応を得られますが、すぐに効果が出るとは限りませんので、継続的に実施することが重要です。
顧客の事前期待と事後結果のギャップが顧客満足度であると冒頭でお伝えしましたが、実際のところ顧客が明確に ”何に期待” を抱いているかは顧客本人も分かっていないケースが大半です。
顧客である時点で、購入する商品やサービスにおいて自身が分かっている範囲においては期待値を理解しているでしょうが、それ以外は不明確です。
そのため、記事で紹介した方法は、顧客の満足度を上げるための効果的なメソッドの一部に過ぎません。
重要なのは、顧客心理を掴み、ちょっとした工夫を実行することで、その企業に対する顧客からの見え方が大きく変わることです。
こうした「ちょっとした工夫」を施すことができる企業こそが顧客満足度を上げ、永続的に成長できる企業に他なりません。
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