目次

  1. フロンティア補助金とは
    1. 補助対象の取り組み例
  2. 補助金額と補助率
    1. 補助上限400万円の場合の追加的要件(コロナ回復枠)
    2. 補助上限500万円の場合の追加的要件
  3. 補助対象者と補助内容
  4. 2020年度の採択件数と事例
  5. 公募開始いつから? スケジュールを公表

 フロンティア補助金の正式名称は「新市場開拓⽀援事業費補助⾦」と言います。酒類事業者が対象で、新しい市場(フロンティア)を開拓するなどの取り組みに対して行われます。

 令和5(2023)年度予算で6億円の事業費が予定されています。

 事業者を管轄する国税庁は具体的な取り組みの例として、以下の四つを挙げています。

  1. 商品の差別化による新たなニーズの獲得
  2. 販売手法の多様化による新たなニーズの獲得
  3. ICT技術を活用した、製造・流通の高度化・効率化
  4. 新型コロナウイルス感染症拡大の影響により顕在化した課題への対応

 原則として、酒類以外の商品開発を目的とする事業は補助外になります。

 まず、共通の要件として、3~5年の事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加させる事業計画をつくる必要があります。給与支給総額の増加目標が達成できない場合、補助金の返還を求められることがあるので注意してください。

 給与支給総額とは、全従業員(非常勤含む)と役員に支払った給与など(給与、賃金、賞与、役員報酬等は含み、福利厚生費、法定福利費や退職金は除く)のことを指します。

 補助上限は、以下の2つのパターンがあります。いずれも補助の下限は50万円です。

 次の2つのうち、いずれか一つを満たし、かつ、補助上限400万円を希望する場合

  1. 直近2期の決算期において連続して売上が減少していること
  2. 2020 年4月以降の連続する6ヵ月間のうち、任意の3ヵ月の合計売上高または合計課税移出数量が、コロナ以前(2019 年または2020 年1~3月)の同3ヵ月の合計売上高または合計課税移出数量と比較して減少していること

 3~5年の事業計画期間において、売上額または付加価値額(営業利益、人件費、減価償却費を足したもの)を年率平均3%以上増加させる事業計画を作っていること。

 補助対象者は、酒類の製造、卸売り、小売りに関わる事業者または酒類事業者を一者以上含むグループと定められています。

 補助の対象となる経費の例として、国税庁は以下を挙げています。補助対象となる経費は、交付決定を受けた日以降に発注を行い、補助事業期間内に支払を完了したものに限りますので注意してください。

  1. 機械装置・システム構築費
  2. 施設整備費
  3. 借損料
  4. 設計・デザイン費
  5. 原材料等費
  6. マーケティング調査費
  7. 通信運搬費
  8. 会議費
  9. 産業財産権等取得等費
  10. 雑役務費
  11. 謝金
  12. 旅費
  13. 広報費
  14. 委託費

 フロンティア補助金は、令和2(2020)年度の第3次補正予算でも実施されました。3期にわたる公募があり、第1期91件(採択率35%)、第2期33件(同26%)、第3期32件(同44%)が採択されました。

 国税庁の発表資料をもとに、実際に採択された補助事業の一例を挙げます。

  • 新しい国内外熟成酒マーケットの開拓に向けた、保存性に優れた清酒の新規醸造工程の開発(新政酒造)
  • 氷見市の特産品を使用した瓶詰めのクラフトビールの製造販売(ブルーミン)
  • IoT活用によるモロミ発酵過程の管理システムの自動化・効率化(渡辺酒造店)
  • 家飲み需要拡大に伴う商品の品質管理設備の導入(寿虎屋酒造)
  • 専用アプリで角打ちイベントの感染リスクを軽減(東京酒販協同組合連合会)

 国税庁の公式サイトで公表された公募スケジュールは以下の通りです。

  • 公募開始:2023年1月16日
  • 第一次締切:2月28日(最終締切は4月28日)
  • 採択者決定:4月上旬
  • 事業開始:4月下旬ごろ
  • 事業期限:2024年2月29日