社内報とは 社内報の目的・メリット・社員に読まれる作成ポイントを紹介
社内報とは、社内動向を発信し、社員間コミュニケーションを促す方法の一つです。社員のエンゲージメントを高める可能性がありますが「社員から読まれる社内報」にするにはコツが必要です。ある企業の社内報立ち上げに関わり、現在も複数のオウンドメディアや社内広報に携わる編集者が紹介します。
社内報とは、社内動向を発信し、社員間コミュニケーションを促す方法の一つです。社員のエンゲージメントを高める可能性がありますが「社員から読まれる社内報」にするにはコツが必要です。ある企業の社内報立ち上げに関わり、現在も複数のオウンドメディアや社内広報に携わる編集者が紹介します。
社内報とは会社の情報や理念、社員紹介などを発信する広報メディアです。
紙媒体での発行が主流でしたが、近年はアプリやサイトといったWeb媒体での発信を選ぶ企業も増えています。
リモートワークの広がりで会社への帰属意識が薄れていると感じている経営者の方は、導入を検討されているのではないでしょうか。
社員が正しく会社の理念や事業内容を認識できるコンテンツ作りが重要です。こうしたコンテンツを通じて会社への帰属意識が向上されると、以下のような効果を上げることもできます。
社内報の目的を明確化すると、良質なコンテンツ作りにつながります。ここからは大きく3つの目的についてご紹介します。
一つ目の目的は、経営理念やビジョンの共有です。経営方針やビジョンは市況により微調整することがあります。入社から時間が経過すると、社員のビジョンや経営理念への認識が曖昧になることも懸念されます。
社内報を使って、定期的に経営層からメッセージを出したり経営方針を公開したりするといいでしょう。社内のメンバーが一丸となって経営方針に向かって業務を行う雰囲気を醸成できます。
社内で行ったイベントや、社内部活動、社内MVPを積極的に発信することで社内コミュニケーションのきっかけを作れます。社員間の会話を促進することでチームワークの向上にもつながるでしょう。
コンテンツをきっかけに、新しいコミュニティや企画が立ち上がることもあります。筆者はある企業の社内報で、部活動の紹介記事を作ったことで、部活のイベント情報を共有してもらい、さらにレポート記事を作成したことがあります。このように、コンテンツから新しいコンテンツ企画が得られることもあります。
新商材の情報や関連知識、ナレッジを共有することで自社商材の理解につながります。例えば、筆者はある企業の社内報に携わった際、その企業の顧客にインタビューし、第三者の目線から商材の理解を深めるコンテンツを作りました。
人事異動や組織紹介を行うことで相互理解が深まり、コミュニケーションの創出も期待できます。
目的の番外編として、社内報の情報をあえて公開し、人材採用やブランディングに活かすという方法を紹介します。
社外秘の情報は当然社内のみの公開ツールを検討すべきですが、社内報は企業理解が深まるコンテンツが多く、人材採用にも活用しやすいです。
特にベンチャー企業では社員・経営層に関わらず自らSNSで拡散し、自社のファンを増やし採用につなげるケースが増えています。
リソースが少ない中でも社内報をやっていきたい企業におすすめの方法です。
では、実際にどのようなステップで運用を開始すれば、上記で紹介したような目的を果たせるのでしょうか?社内報の立ち上げから作成、運用までを7つのステップで紹介します。
まずは社内報をなぜ行うのか、その目標を達成するためにはどんなゴールを設定するのかを検討します。
難しく考えず、社内報を取り入れる理由がそのまま定性的なゴールにつながります。先述の社内報の目的に当てはめて考えてみるのもおすすめです。
ゴールは定性面だけではなく、定量面でも設定できるほうが望ましいですが、広報活動の効果を定量化するのは難しいですよね。そこでおすすめしたいのが、定期的なアンケートの実施です。詳しくはステップ⑦でご紹介します。
この後の媒体・メンバーの選定やコンテンツの企画にも影響する要素なので、ゴールは必ず設定し、関係者と共有しましょう。
ゴールを見定めたら、どんな媒体で社内報を発信するか考えましょう。
紙媒体とWeb媒体の2つに分かれますが、もしどちらにするか迷ったら、以下のメリットとデメリットを参考に判断してみてはいかがでしょうか。
<社内報・媒体別のメリットデメリット> | 紙媒体 | Web |
---|---|---|
メリット | ・家族や内定者など、社員以外の人にも見せやすい ・物として残るので表彰効果がある ・PCを使わない業務の社員でも読みやすい ・デザインの変化が出しやすい |
・データの収集が可能で、PDCAを回しやすい ・即時性があり、タイムリーな話題を発信できる ・社内共有がしやすい |
デメリット | ・印刷してしまうので修正がきかない ・印刷費がかかる ・配布にコストがかかる ・情報伝達が遅い |
・紙よりも短い期間で発信し続ける必要がある ・Webサイト/アプリを維持するコストが必要 ・デザインがワンパターンになりやすい ・Webデザイナーやエンジニアに依頼が必要なケースがある |
社員のほとんどがパソコンを使った業務をする企業ではWebを採用しやすいです。そうではない場合は紙媒体や、Webアプリでの導入を検討しています。
社内報での発信内容を採用活動等に利用したいというニーズがある企業は、コンテンツを社外へ公開しやすいWebを選択することが多いです。
ここで、Web社内報ツールのおすすめを3つ紹介します。
国内最大規模の社内報コンクール「社内報アワード」を運営する社内報専門企業「ウィズワークス」が提供しているのが「社内報アプリ」です。
400社以上の社内報制作を支援してきたノウハウを活かして必要な機能を網羅しつつ、使いやすいアプリを実現しています。
ツール名 | 社内報アプリ |
---|---|
提供会社 | ウィズワークス株式会社 |
特徴 | ・社内報で使いやすい20以上の記事テンプレート ・Web知識のない社員でも使いやすい画面 ・管理画面に閲覧数などのランキング機能 ・社員アンケート機能 |
活用時の注意点 | 初期費用と月額費用がそれぞれかかるので、コストが大きくなる可能性がある |
おすすめの企業 | ・セキュリティの厳しい企業(担当者がセキュリティレベルに応じた構築・運用コンサルティングをしてくれる) ・初めて社内報を運用する企業 |
費用 | 初期費用+月額費用、応相談(導入規模により変動) |
公式URL | https://shanaiho-app.jp/ |
2021年10月現在、3万7000社以上の企業が採用活動に活用しているWantedlyが提供する社内報ツールがStoryです。利用企業は600社を超えています。
記事投稿方法がWantedlyの求人と似ているので、社内報運用のために新たに更新方法を覚える必要がほとんどありません。
ツール名 | Story |
---|---|
提供会社 | ウォンテッドリー株式会社 |
特徴 | ・記事投稿方法が直観的で簡単 ・動画や画像も埋め込み可能 ・メールやSlackと共有して即時の社内共有ができる |
活用時の注意点 | ・Wantedlyの有料プランに入っていないと活用できない ・Wantedlyの有料プランのグレードによって無料登録社員数が変動する(100~400名の間) |
おすすめの企業 | ・Wantedlyを有料プランで活用中の企業 ・採用媒体と一緒に社内報も運用したい企業 |
費用 | 無料(Wantedlyの有料プラン契約企業の場合) |
公式URL | https://www.wantedly.com/about/engagement/stories |
noteは2014年にサービスローンチしたメディアプラットフォームで、日本経済新聞やNHKなど大手報道機関もメディアの一つとして活用中です。近年、noteを社内報兼社外広報施策として活用する企業が増加しています。
サービスサイトによると、note全体の流入のうち約40%が検索サイト経由、約30%がSNSからと公表しています。
検索でnoteの記事に流入し、SNSで拡散することでさらに流入が増える流れだと推測できます。
ツール名 | note・note pro(有料プラン) |
---|---|
提供会社 | note株式会社 |
特徴 | ・無料でも活用できる ・検索流入とSNSの拡散が多いメディア ・「#オープン社内報」というハッシュタグで発信している企業が多数 |
活用時の注意点 | ・独自ドメインでの運用や分析機能の強化をしたいときは有料のnote proにする必要がある |
おすすめの企業 | ・SNSに社内で力を入れている企業 ・社内報のコンテンツを社外広報や採用広報にも展開したい企業 |
費用 | noteは無料 法人向け有料プランのnote proは要問い合わせ |
公式URL | https://pro.lp-note.com/ |
媒体を決定したら、社内報の制作メンバーを検討しましょう。社内報は社内広報活動の1つですから、広報担当者に任せようとする企業が多いです。
ただし、社内報は企画・取材・執筆・編集・定期的な発信など、意外と工数がかかります。現在の広報担当者の業務量を勘案し、業務の整理と人員体制の検討をしましょう。
必要に応じて人事異動を行ったり、業務委託や派遣など外部リソースを活用したりするのも有効です。
リファラル採用に社内報の活用を検討しているなら人事・採用のメンバーを加えるなど、目的に応じて広報担当にこだわらないチーム編成を意識しましょう。
ステップ①で立てたゴールに応じて記事の企画・立案を行いましょう。定期的に運用し続けられるように、連載できる企画案があると良いです。紙媒体ではページの構成も同時に検討します。
先ほどご紹介した4つの目的に応じて、企画例をご紹介します。
特に初回の公開は、社内報に取り組む理由や今後の展望などを経営層や制作メンバーから言語化する企画があるといいでしょう。目的をより明確に打ち出せるはずです。
企画案に沿って、記事の取材依頼・取材・執筆等を行います。定期的な運用を行うためには取材や記事執筆の予定も計画立ててコントロールしましょう。
多くのコンテンツを作るため、取材工数を減らす工夫もしていきます。
これらはほんの一例です。具体的には現場に任せるとして、月に必要な記事数から逆算して計画的に制作しましょう。
紙媒体であればページ数によっても異なりますし、Web媒体であれば月に公開したい記事数から週別の公開記事数や公開日を決定していきます。
社内報が完成したら、発行(Webの場合は記事公開)し、周知します。もし社内SNS・イントラネットやメーリングリストなどの仕組みがあるようなら、積極的にPRしていきましょう。
発行初回はあえて経営層から全社員宛に社内報への思いをメールで発信すると、社内報施策への本気度を社内に発信できるのでおすすめです。
目的が達成しているか、どの記事の反応が良かったか、測定と分析を行い、次の企画に活かしましょう。
反応の良かった記事は連載化を検討し、悪かった記事はどこが悪かったのか振り返り改善を行います。客観的に改善点を分析するため、制作メンバー以外の社員に改善点をインタビューしてもいいでしょう。
半期または四半期に一度程度、社内でアンケートを実施するのもおすすめです。そこで出た意見を社内報に反映すれば、制作メンバー以外の社員も「社内報に参加している」と実感できます。
筆者が携わったWeb社内報では、四半期に一度、五段階評価と自由回答を組み合わせたアンケートを実施していました。以下がアンケート項目の一例です。
アンケート項目一例 |
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・社内報の閲覧頻度(毎日/週2~3回/月数回/数か月に1回/全く見ない) ・社内報を見て、会社への理解は深まったか?(そう思う~そう思わないまでの5段階) ・社内報を見て、社員間のコミュニケーションを持ったか?(そう思う~そう思わないまでの5段階) ・今後社内報でやってほしい企画(自由回答) ・その他社内報サイトへの意見(自由回答) |
回答数や平均スコアを四半期毎に収集、分析します。五段階評価の項目があると、定量的に効果を判断しやすくなります。
最後に、社内報の成功事例を2つご紹介していきます。アクション例として参考にしてください。
筆者が携わった案件である、ある派遣会社での事例です。派遣先で常駐している社員の多い環境で、社内の出来事を発信するためWebサイトで社内報をスタートしました。
サイトを立ち上げ、記事の企画・取材に記事をアップしていきます。平行してサイト内に分析ツールを導入し、閲覧数やサイトを訪問してくれているユーザー数を計測しました。
制作チームは、閲覧数と閲覧ユーザーの向上を数値化し、ゴールに設定します。記事公開日には必ず社内SNSで拡散し、毎週月曜に社内報記事を紹介するメールを発行するなど地道に活動しました。
アンケートでもらった企画の記事化にも積極的に取り組んだ結果、筆者が携わった2年間で半数以上の社員が閲覧している状態になりました。
これは筆者の知人が広報担当を務める、あるIT企業の事例です。その企業では採用広報活動の一貫として、noteでのオープン社内報を運用していました。
コロナ禍で出社できなくなったのでオンライン社内イベントを企画・実施した知人は、その内容と広報として工夫した点をnoteに発信し注目を集めたといいます。
「オンラインでも積極的に社内コミュニケーションにも取り組む企業」とのイメージに繋がり、採用にも効果があったそうです。
筆者は、社内報の成功には「経営層の意思」が何よりも大切だと感じています。
自社が何を目指しているのか、どんなゴールを社員と共有したいのか。ここが明確であれば、社内報の立ち上げはスムーズですし、迷うことなく運用できます。
社内報はあくまでもツールです。社内報を通じてどんな景色が見たいのか。ぜひ経営層の方々が具体化し、制作メンバーにその思いを伝えていただきたいです。
制作メンバーはその意思を受け取り、記事制作や取材、社内コミュニケーションを行っていきます。経営層の意思を制作メンバーが社員に伝えていければ、社内報を応援する社員がどんどん増え、エンゲージメントも深まるでしょう。
貴社らしい社内報の姿を、ぜひイメージしてみてください。
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