なぜサブスクは失敗するのか?500人の事業経験から見えた7つの特徴
サブスクとは、商品やサービスを一定期間、一定額で利用できる方式のことです。デジタル書籍や音楽だけでなく、自動車、服、電動工具などサービスの対象が広がる一方、会員数が伸び悩むサービスも少なくありません。失敗するサブスクにはどんな共通点があるのでしょうか?コンサルティングファームでNTTデータグループのクニエの調査レポートをもとに紹介します。
サブスクとは、商品やサービスを一定期間、一定額で利用できる方式のことです。デジタル書籍や音楽だけでなく、自動車、服、電動工具などサービスの対象が広がる一方、会員数が伸び悩むサービスも少なくありません。失敗するサブスクにはどんな共通点があるのでしょうか?コンサルティングファームでNTTデータグループのクニエの調査レポートをもとに紹介します。
目次
サブスクとは「サブスクリプション」の略で、主に一定期間、決まった料金を継続して支払い、モノやサービスを利用するビジネスを指します。身近なものでいうと、音楽や動画の配信サービスがあります。毎月、定額の料金を払うとスマートフォンなどで聴き放題、見放題になります。
スマホの普及とともにここ数年で格段に知られるようになり、サービスの種類も増えました。
サブスクが増える一方で、事業の休止や撤退に至る事例も増えています。理由は様々ですが、次のような休止・撤退が知られています。
会員数の伸び悩みが原因によるサブスクの撤退も少なくありませんが、実態が公に語られることはあまりありません。そこでコンサルティングファームでNTTデータグループの「クニエ」がサブスク事業経験者に調査し、サブスク事業の実態と成否を分ける要因を分析しました。調査概要は以下の通りです。
契約者数、利益率、継続率などの最重要KPIの達成率が100%に満たない場合は計画未達であるため、クニエの調査では、最重要KPI達成率が100%以上を成功、100%未満を失敗と定義しました。
その結果、失敗のケースは91%に上りました。別の新規事業に関する実態調査では、KPI達成率100%未満は79%だったため「サブスク事業は通常の新規事業よりも失敗する比率が高いといえる」と説明しています。ただし、業種による成否の差はあまり見られませんでした。そこで、業種にかかわらず失敗する7つの特徴を紹介します。
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顧客への提供価値について、失敗層は成功層よりも「個別に提供していたモノ・サービスの一括提供」「平均的な利用期間よりも短期間に限った利用ができる」という回答項目を選ぶ回答する割合が10ポイント以上高く、手軽さを重視する傾向にありました。
一方、「取得データを活用した新規サービスの提供」「取得データを活用した新たなモノ・サービスとの出会い提供」といった、データ活用に関する項目の割合が10ポイント近く低いという結果でした。
サービスリリース後にどのような活動を行っているかについて、失敗層は成功層より「顧客満足状況の確認」「サービス内容のアップデート(コンテンツやプラン追加など)」の割合が9~10ポイント高く、その一方で「サービス改善(課題分析、対策検討、ABテストなど)」「解約抑止策の検討・実施」をしている割合は5~13ポイント低い傾向にありました。
こうしたことから、サービスリリース時点で複数プランを用意できず、リリース後に後手に回った対応をしている事例が多いとみられます。
サブスク事業の企画時におけるターゲットや課題・ニーズの具体化について、調査ではたとえば「30代女性、大都市の大企業のよう抽象的な定義ではなく、解決したい課題やニーズとの因果関係が想像できる特徴が捉えられ、その人や企業が実在するものとして想像できるレベルまで具体的になっている」かを尋ねました。
すると、失敗層は成功層よりも「非常に具体的だった」と回答した割合が、ターゲットの具体化で13.2ポイント、課題・ニーズの具体化で7.9ポイント低い結果となりました。
失敗層は成功層よりも「顧客サポートのプロセス・役割分担の整備」で28.5ポイント、「メンテナンス・アフターサービスの仕組み作り」で18.1ポイント低く、提供準備が十分だったとはいえない状況でした。
事業化承認時に設定されていた最も重要なKPIについて、失敗層は成功層よりも「継続率」「顧客満足度」を設定している割合が8~13ポイント高い一方、 「利益額」「LTV(顧客生涯価値)」「ARR/MRR(年次/月次の定期収益)」など、利益や収益に関する項目を設定している割合は数ポイント低い結果でした。
サブスク事業に関わる業務において行った調査や情報活用をみると、失敗層は成功層よりも「インターネットリサーチ情報」を行っていました。一方で、「既存の調査データや文献」「社内保有データ」の調査を行っていた割合は低いため、表面的な調査に留まっていた可能性があります。
サブスク事業を推進する際の状況について、失敗層は成功層より「上司などからの指摘で検討が加速された」「関連部門との調整は円滑に進められた」という割合が低く、周囲の支援や関連部署との調整がうまくいかなかった割合が高い傾向にありました。
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