5年前の2017年6月26日、東証1部上場の自動車部品大手・タカタ(東京都品川区)が民事再生法の適用を申請し、経営破綻しました。

エアバッグの欠陥への対応が後手に回り、実質的な負債総額は1兆円超と製造業で戦後最大の大型倒産となりました。

タカタが民事再生法の適用を申請したことを報じる2017年6月26日付朝日新聞夕刊(東京本社版)

タカタは1933年創業。

国内の自動車シートベルトの草分けで、エアバッグでも独自技術により世界的なメーカーに躍り出ました。

代々、創業家出身者が社長を務めてきました。 

 

問題となったのは、車が衝突してエアバッグが膨らむ際に金属部品が飛び散る不具合です。

ホンダなど自動車各社は2008年ごろから、無償で回収・修理を行うリコールを繰り返してきました。 

 

潮目が変わったのが、2014年秋ごろです。

2014年10月23日付朝日新聞夕刊(東京本社版)によると、タカタがエアバッグの安全性について虚偽の文書を作成した疑いがあるとしてアメリカの検察当局が捜査していることや、エアバッグで死亡事故が起きていることなどが現地で報じられました。

タカタは当初、エアバッグの欠陥を認めませんでしたが、2015年5月に一転してリコールに合意。

全米を走る車の7台に1台にあたる3400万台が対象という大規模リコールに発展しました。 

タカタ製エアバッグの破裂事故で胸を負傷した女性(左から2人目)。アメリカ議会での公聴会を前に問題の早期改善を訴えた=2015年、ワシントン、朝日新聞社

2017年1月には、アメリカの司法省がタカタの元幹部3人を詐欺罪などで起訴したと発表。

起訴内容は、エアバッグの欠陥を知りながら捏造(ねつぞう)した報告書を自動車各社に示し、製品を購入させたというものです。

法人としてのタカタも詐欺罪に問われ、罰金など約1150億円を払うことで合意しました。

リコールに伴う巨額の費用にこうした罰金が加わり、タカタの経営は行き詰まりました。 

タカタの債権者説明会会場に向かう債権者ら=2017年、朝日新聞社

倒産を受け、タカタはほぼ全ての資産と事業を中国資本傘下の米自動車部品メーカーに譲渡。

タカタの社名は消え、ジョイソン・セイフティ・システムズ・ジャパン(東京都品川区)としてシートベルトやエアバッグの製造を続けることになりました。

ジョイソン社では2020年10月、シートベルトなどの検査データ改ざんが発覚。

2021年6月18日に社内調査の結果を発表し、2000年から約20年にわたり、不正なデータの書き換えが計1千件確認されたと明らかにしました。

 

(朝日新聞社の経済メディア「bizble」で2021年6月26日に公開した記事を転載しました)