ブレインストーミングとは?四原則や効果を高める具体例・コツを紹介
ブレインストーミング(ブレスト)という討議手法をなんとなく知っている人も多いでしょう。実は、その進め方には基本原則やさまざまな手法が存在しているのです。この記事では、ブレインストーミングの四原則とその効果を高める手法やコツまで詳しく解説します。
ブレインストーミング(ブレスト)という討議手法をなんとなく知っている人も多いでしょう。実は、その進め方には基本原則やさまざまな手法が存在しているのです。この記事では、ブレインストーミングの四原則とその効果を高める手法やコツまで詳しく解説します。
目次
ブレインストーミング(ブレスト)とは、参加した人たちが自由な発想で意見を出し合うことで、一種の「集団発想法」です。多様なアイデアを生み出し、問題解決や新しい企画の立案に役立てることを目的としています。基本的にブレインストーミングには複数人で取り組みますが、1人でおこなうのも効果的です。
ブレインストーミングには、以下の効果があります。
ブレインストーミングに取り組むことは、多様なアイデアの創造だけでなく、チームワークの向上にも役立ちます。
ブレインストーミングに取り組む人数や使用する手法はさまざまですが、いずれの場合でも基本の四原則を意識することが大切です。四原則を意識することで、ブレインストーミングの効果を最大限引き出せます。
出てきたアイデアの批判は禁止です。参加者が自由にアイデアを出し合える雰囲気を醸成するために、ほかのメンバーが提案したアイデアに対して否定的な意見や批判を避けます。この段階ではアイデアの量産が重要であり、批判が入ると創造性が抑制される可能性があるためです。
参加者はどんなに奇抜なアイデアでも自由に出せるという原則です。クリエイティブな解決策や異なるアプローチを見つけるためには、従来の発想の枠を超えて考えることが必要です。自由な発想は異なる視点から新しいアイデアを引き出す手助けになります。
質の高さを求めるよりも、アイデアの量を優先することが大切です。初めに多くのアイデアを出すことで、新しいアプローチや面白い発想が浮かび上がる可能性が高まるためです。アイデアの評価や絞り込みは後の段階でおこないます。
ブレインストーミングでは、ほかのメンバーのアイデアを組み合わせたり、既存のアイデアを改良したりすることが推奨されています。異なるアイデアを組み合わせることで新しい発見が生まれ、また既存のアイデアを改善することで、より実現可能で効果的なアイデアが浮かび上がることがあるためです。
ブレインストーミングを効果的に実施していくためには、進め方の手順を知っておくことが大切です。ここでは、ブレインストーミングの基本的な手順を紹介します。
ブレインストーミングは自由度が高い発想法です。そのため、討議の目的やゴールが不明確だと議論が脱線して時間を浪費してしまいがちです。何のアイデアを求めているのか、どのような課題解決を目指しているのかを示し、参加者全員が理解しておく必要があります。また、議論が白熱してくるとそもそもの目的を忘れやすくなるため、ホワイトボードなどに書いておくと効果的です。
参加人数にルールはありませんが、少なすぎてもアイデアは広がりにくく、人数が多くなると発言できない人が出てきたり、誰かが発言してくれるだろうと当事者意識が希薄になったりしがちです。よって、参加者は3~10人程度に絞りましょう。万が一参加者が増える場合は、4〜5人程度の小グループを作成して議論を進めてから、その成果を共有するとよいでしょう。
自由に議論することは大切ですが、制限時間がないとダラダラと考えてしまう可能性があります。時間を意識し、心地よい緊張感のなかでアイデアを出し切ることを意識させたほうが、多くのアイデアを生み出せるでしょう。
ブレインストーミングを効果的におこなうために進行役を決めて、議論をサポートしてもらうとよいでしょう。進行役は、ブレインストーミングの四原則が守られているかをチェックしたり、消極的な参加者の発言を促したりする役割を担います。また、進行役がいることで時間管理なども徹底できるため、ブレインストーミングがより効率化します。
ブレインストーミングの手法はさまざまあり、状況に応じてそれらを使い分けることが大切です。ここでは、シーン別にブレインストーミングの手法を紹介します。
1人で取り組む場合に使いやすい手法を二つ紹介します。
マインドマップとは、考えている内容を視覚的に表現するための手法です。初めにマインドマップの中央にブレインストーミングの中心テーマや問題点を書き込みます。次に中央テーマから放射状に線を引き、関連する主要なキーワードやアイデアを記入しましょう。各主要なキーワードからさらに分岐を伸ばし、詳細なアイデアやサブアイデアを追加します。これにより、関連する概念を視覚的かつ構造的に整理できます。
また、マインドマップに色や形、アイコンなどを活用して視覚的に強調させると、重要なポイントを素早く識別しやすくなります。
マンダラチャートは、ブレインストーミングやアイデアの整理に役立つツールの一つです。
マンダラチャートの中央に書き込むのは、ブレインストーミングの中心テーマや問題です。中央のテーマから放射状に八つのテーマを作成します。これらのセクションは、大まかなカテゴリーや関連するトピックを表します。その後、それぞれのセクションに関連するサブセクションを作り、さらに八つに分解してアイデアを加えていきます。
テーマと分解する数に限りがあるからこそ、多くのアイデアを出せるのがメリットです。また、マンダラチャートを使えばトピックごとに内容を深掘りできます。
次に、グループで取り組む際に使いやすいツールを二つ紹介します。
ブレインライティングとは、アイデアを効率よく拡張・派生させられるだけでなく、全員が討議に参画し、意見を出し合える手法です。
ブレインライティングでは、まず制限時間を設けたうえで1行目にアイデアを書き出します。制限時間を設けることで、じっくり考えるのではなく素早くアイデアを出すことに慣れていきます。次に、前の人のアイデアを参考にして、自分のアイデアを下に書きます。この手順を、最終的にマス目が埋まるまで繰り返します。最後に発表時間を設け、どのようなアイデアが出たかを俯瞰しましょう。
ブレインストーミングは、声の大きい人や発言が多い人に引きずられる傾向があります。そこでブレインライティングを活用すれば、発言の少ない人やおとなしい人からも平等にアイデアを引き出せます。
SCAMPER(スキャンパー)法はアイデアを量産するフレームワークです。既存のアイデアをさまざまな角度から見直したり、検討したりすることで、アイデアを広げていきます。このフレームワークでは、七つの質問に答えながら網羅的に新しいアイデアを創出します。この七つの質問の頭文字がSCAMPER法の由来です。
七つの質問 | 具体的な質問例 |
---|---|
1.Substitute(置換) | 何かで代用できないか? 何かを代用できないか? |
2.Combine(統合・結合) | 一緒にできないか? 何かと組み合わせられないか? |
3.Adapt(適応) | ほかの何かを応用できないか? ほかの事例に適応できないか? |
4.Modify(修正) | ほかの手段に変更できないか? やり方や道具を変えられないか? |
5.Put to other uses(転用) | 何かに転用できないか? ほかの作業に活用できないか? |
6.Eliminate(削除・簡素化) | 手順や書式を短縮できないか? 作業を自動化できないか? |
7.Reverse or Rearrange(入れ替え) | 順番を入れ替えられないか? 手順を前後させられないか? |
どのアイデアがどの質問に当てはまるのかは深く考えすぎずに、アイデアを広げるために七つの質問があると理解して進めることが大切です。業務の改善や新商品の開発など、さまざまなシーンで活用できます。
意見をまとめる手法として代表的なものがKJ法です。KJ法とは、ブレインストーミングで出したアイデアをカードや付箋(ふせん)に書き出した後、グループごとに情報を分類することで、多様な情報を整理・分析する手法です。文化人類学者の川喜田二郎氏が考案した手法で、考案者のイニシャルが名前の由来となっています。
KJ法では、付箋に書いた意見をグループごとに整理していきます。突飛な意見から新たなものが見えてくる可能性もあるため、無理にグループを作るのではなく、似ているもののみ集め、共通している付箋に見出しを付けていきます。さらに、関連があるもの同士を近づけて配置したり、関係性を矢印などで結び付けたりして、全体の構成を可視化していきます。
ここでは、ブレインストーミングの効果をより高めるためのコツを紹介します。前述した四原則や手順と合わせて覚えておきましょう。
議論の時間が長くなると、間延びしたり、アイデアが行き詰まったりしがちです。時間設定を短めにしておいたほうが、限られた時間のなかでたくさん出そうという意識が働きやすくなります。また、あまり意見が出ていない場合に「制限時間のなかで〇個の意見を出しましょう」と促すと、心地よい緊張感が生まれ、議論が活発化します。
進行役を決めるのは、参加者にできるだけ多くの意見を出してもらうためです。また、書記役は出されたアイデアを可視化し、さらなるアイデアや意見につなげる役割を担います。人数が限られる場合は、進行役が書記役を兼ねてもよいでしょう。
変化が激しい時代では、提供サービスや製品だけでなく、組織そのものにも時代に合わせた変化が求められます。ブレインストーミングで生まれた社員の発想やアイデアは、組織の活性化にも貢献するでしょう。今回紹介した手法を活用し、多くの組織に活気と新たな変革が生まれることを祈っています。
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