目次

  1. 祖業をやめてマッチ型のお香に
  2. 継ぐつもりはなかったが…
  3. 「マッチでは食えんようになる」
  4. 需要が急減した二つの原因
  5. レトロなマッチ箱がヒントに
  6. マッチ以外を作る覚悟
  7. 「酒席の冗談」を本気で実現
  8. 20~30代女性の心をつかむ
  9. 東京に開いた初の直営店
  10. しみ込んでいたマッチ屋の魂

 「もしhibiを生まなければ、すでに倒産していたかもしれません。まさに救世主でした」。嵯峨山さんはそう振り返ります。

 hibiはマッチと同様、先端の頭薬を箱で擦って火をつけ、専用マットに置くと約10分間、香りを楽しめる仕組みです。マッチと一体化したお香で、香りはレモングラス、ラベンダーなど16種類にのぼります。レギュラーサイズ(8本入り、専用マット付き)の価格は770円(税込み)です。

 2015年に発売を始めると、月産90万箱の大ヒット商品になりました。画期的な仕様とデザインが評価され、2019年のグッドデザイン賞でグッドフォーカス賞に輝きました。

hibiはマッチのように擦って火をつけます(同社提供)

 オンラインショップや国内の小売店で販売するほか、30カ国以上に輸出しています。売り先は国内が7割、海外が3割です。

 hibiが自社生産品の9割を占めるまでになりました。その一方、同社は16年、旧来のマッチ棒の製造を終え、機械を売却。マッチの一貫生産に終止符を打ちました。今は国内の他社工場からマッチの供給を受け、社内で印刷したパッケージに詰めて製品化しています。

 「マッチ製造部門は2008年から赤字が深刻になり、古い機械の維持すら限界でした」。嵯峨山さんは頭薬をペースト状に練って混ぜるノウハウを守りつつ、hibiを生み出す工場として再起動しました。「昔ながらのマッチを作る会社には戻れない」という不退転の覚悟でした。

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