目次

  1. 前掛けをパリの展示会に
  2. ブースに足を留めてもらうには
  3. ニューヨークで飛び込み営業
  4. 「メイド・イン・ジャパン」で失敗
  5. ロンドンでの出展が転機に
  6. 「007」に前掛けが登場
  7. 自社工場で伝えたコンセプト
  8. 新宿に直営店をオープン
  9. 「実るまで10年」の覚悟を

 エニシングは2025年1月、パリで開かれたインテリアとデザインの大型展示会「メゾン・エ・オブジェ」に出展。横6メートル・奥行き2メートルのブースに、藍色の前掛けや派生商品を並べました。

 前掛けは愛知県豊橋市にある自社工場で製造しています。前掛けを作るシャトル織機はどれも古く、1917年製のものもあります。古い機械を使うと生地の風合いが柔らかくなるそうです。西村さんは「100年以上前の機械を使っていると知ったバイヤーからは、『なんてサステイナブルな会社なんだ』と驚かれます」と言います。

2025年1月の「メゾン・エ・オブジェ」に出展。前掛けがバイヤーの人気を集めました(エニシング提供)
2025年1月の「メゾン・エ・オブジェ」に出展。前掛けがバイヤーの人気を集めました(エニシング提供)

 会場を訪れるバイヤーは、雑貨などを扱うセレクトショップと取引しています。「そうした店は地球環境への影響を重んじるので、伝統の前掛けがぴったりはまります」

 前掛けは腰への負担を軽くする目的で使われ、日本では酒蔵や酒屋の従業員が締めるイメージです。一方、海外は家庭用のエプロンとしてのニーズがあり、ギフト需要も高いといいます。「欧州では歴史を感じさせるシンプルなものが好まれます。キッチン用なのでパイが大きいのも魅力です」

 出展は9回目ですが、コロナ禍直後に次ぐ2番目の売り上げを記録し、「5日間で1千万円弱の注文を受けました」。

 約2千ブースが並ぶ「メゾン・エ・オブジェ」で、参加者の足を留めるのは容易ではありません。そのコツは何でしょうか。

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