すき家、2025年3月31日~4月4日に全店を一時閉店 異物混入対策
杉本崇
(最終更新:)
ねずみ及び昆虫対策が明記されているHACCPの前提条件となる「一般衛生管理」(厚生労働省の公式サイトから https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/haccp/index.html)
牛丼チェーン店のすき家は公式サイトで、ショッピングセンター内などの一部店舗を除く全店を、2025年3月31日9時から4月4日9時までの間、一時閉店することを公表しました。提供した食事に異物(害虫)混入が相次いでいることから、害虫・害獣の外部侵入、および内部生息発生撲滅のための対策に取り組むためと説明しています。厚生労働省によると、事業規模によらず、ネズミ・昆虫の混入対策も含め、すべての食品等事業者はHACCPに沿った衛生管理に取り組む必要があります。
すき家とは
すき家を運営するゼンショーホールディングスによると、すき家は全国1971店舗と日本一の店舗数を持つ牛丼チェーン店です。
すき家の異物混入経緯
すき家が3月29日に公表したお知らせによると、3月28日に昭島駅南店の利用客から、商品に異物(害虫)が混入していたという趣旨の電話があったといいます。店舗責任者から直接謝罪をし、商品代金の返金と商品現物を回収しました。店舗は28日17時ごろから自主的に営業を停止していました。
1月には「すき家 鳥取南吉方店」でも、みそ汁への異物(ネズミ)混入がありました。
このときは、ネズミが侵入した経路について、店舗の大型冷蔵庫の扉が店外に面しており、その下部に設置されたゴム製パッキンに生じていたひび割れから侵入した可能性が高く、お椀への混入は、みそ汁の具材を入れたお椀を大型冷蔵庫で一時保管していた間に混入した可能性が高いと結論づけていました。
店舗の建物構造と周辺環境が重なった特殊な事例であるとして、公式サイトでの公表を見合わせていましたが、インターネット上で騒ぎとなり、公表にいたりました。
すき家、全店閉店し異物混入対策 閉店一覧
相次ぐ異物混入を受けて、すき家はショッピングセンター内などの一部店舗を除く全店を、3月31日9時から4月4日9時までの間、害虫・害獣の外部侵入、内部生息発生撲滅対策のため、一時閉店することを決めました。
閉店する店舗は、すき家の店舗検索で表示されるショッピングセンター内にある店舗すべてとなります。
飲食事業者はHACCPに沿った衛生管理徹底を
厚労省の公式サイトによると、HACCPとは、食品等事業者自らが食中毒菌汚染や異物混入等の危害要因を把握した上で、原材料の入荷から製品の出荷に至る全工程の中で、それらの危害要因を除去又は低減させるために特に重要な工程を管理し、製品の安全性を確保しようとする衛生管理の手法です。
2021年6月1日から、原則として、すべての食品等事業者がHACCPに沿った衛生管理に取り組む必要があります。
ねずみ及び昆虫対策としては、次のような対応を検討し、異物混入防止を徹底する必要があります。
- 施設及びその周囲は、維持管理を適切に行うことができる状態を維持し、ねずみ及び昆虫の繁殖場所を排除するとともに、窓、ドア、吸排気口の網戸、トラップ及び排水溝の蓋等の設置により、ねずみ及び昆虫の施設内への侵入を防止すること
- 一年に二回以上、ねずみ及び昆虫の駆除作業を実施し、その実施記録を一年間保存すること。ただし、ねずみ及び昆虫の発生場所、生息場所及び侵入経路並びに被害の状況に関して、定期に、統一的に調査を実施し、当該調査の結果に基づき必要な措置を講ずる等により、その目的が達成できる方法であれば、当該施設の状況に応じた方法及び頻度で実施することができる。
- 殺そ剤又は殺虫剤を使用する場合には、食品又は添加物を汚染しないようその取扱いに十分注意すること。
- ねずみ及び昆虫による汚染防止のため、原材料、製品及び包装資材等は容器に入れ、床及び壁から離して保存すること。一度開封したものについては、蓋付きの容器に入れる等の汚染防止対策を講じて保存すること。
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この記事を書いた人
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杉本崇
ツギノジダイ編集長
1980年、大阪府東大阪市生まれ。2004年朝日新聞社に記者として入社。医療や災害、科学技術・AI、環境分野、エネルギーを中心に取材。町工場の工場長を父に持ち、ライフワークとして数々の中小企業も取材を続けてきた。
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