目次

  1. はじめに
  2. 関心が薄い「営業権の行方」
  3. 飲食店の「営業権」とは
  4. 飲食店営業許可の2要件
  5. 営業権の行方と後継ぎはセット
  6. 親族内承継に必要なこと
  7. 営業許可の行方を遺言書に明記
  8. 許可の引き継ぎで再検査が不要に
  9. 許可をめぐる相続争いの事例 
    1. 当事者の関係と店での役割
    2. 経営者が亡くなった時の状況
    3. 関係者の主張が対立
    4. 営業許可継続ができない事態に
  10. 欠かせない生前準備

 本シリーズでは、許認可等を保有している企業の経営者と後継ぎが抱えるリスクや事業継続への備えについてお伝えしています。4回目は前回取り上げた建設業者と同様にファミリービジネスが多い、飲食店経営者の許認可の承継準備をお伝えします。

 飲食店は、のれん、味、料理方法などのノウハウ、資金面だけではなく、「許認可権」を誰に引き継がせるのかについても、経営者が元気なうちに考えておかなければなりません。まずは飲食業に関する許認可権の基礎知識を解説します。

 筆者は飲食店経営者のクライアントを多く受け持っています。その中でも自分自身で事業を始め、いまだに事業承継を経験しておらず、家族だけで切り盛りしている飲食店経営者のうち何人かに、経営の上で重要視していることを尋ねてみました

 すると大きく分けて「資金繰り」「集客」「スタッフ」の三つに集約されました。

  1. 収入と支出、融資の返済状況と決算に問題がないか
  2. 世間が求める味や、広報やマーケティング、お店の雰囲気がかみ合っているか
  3. 正社員やアルバイトなどスタッフの勤怠と賃金(労働問題)に問題がないか

 これを見ると、現状を考えるだけで精いっぱいといえます。家族の未来に関わる「営業権の行方」と「後継ぎを誰にするのか」について、明快に答えられた経営者はいませんでした。ほとんどの経営者が「まだまだ元気だから大丈夫」と思っているようですが、将来のことを考えないと、店自体が立ち行かなくなる事態に陥りかねません。

 飲食店経営者にとっての「営業権」とはどのようなものでしょうか。

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