社員の能力を引き出す対話とは 新日本プロレス・棚橋弘至社長が語る
ツギノジダイが2024年7月17日~19日に開いたオンラインイベント「第4回 日本を変える中小企業リーダーズサミット」(ツギノジダイ、Eight主催)には、中小企業のリーダー層をはじめ、約5千人が参加登録し、各界を代表する方々が講演しました。その中から、新日本プロレス社長で人気レスラーでもある棚橋弘至さんによる「働きやすい職場を全力で」と題した講演の模様をお伝えします。
ツギノジダイが2024年7月17日~19日に開いたオンラインイベント「第4回 日本を変える中小企業リーダーズサミット」(ツギノジダイ、Eight主催)には、中小企業のリーダー層をはじめ、約5千人が参加登録し、各界を代表する方々が講演しました。その中から、新日本プロレス社長で人気レスラーでもある棚橋弘至さんによる「働きやすい職場を全力で」と題した講演の模様をお伝えします。
アントニオ猪木さんが創設した新日本プロレスは現在、大手カードゲーム会社ブシロードのグループ企業で、社員約80人、所属レスラー約50人を抱える国内最大規模のプロレス団体です。2019年には売上54億円を記録。コロナ禍で業績が落ちましたが、2023年には52億円まで回復しました。
棚橋さんは1999年、新日本プロレスに入門し、華麗な技と巧みなマイクパフォーマンスで団体を引っ張りました。その実績が買われ、2023年末から、レスラー兼任で新社長に就任しました。
社長就任後、現役プロレスラーとして試合や練習をこなしながら、平日は午前10時から午後6時まで、オフィスなどで社長業を務めています。「朝礼を行い、取締役や各部署の会議に出席し、承認作業も行っています。オフィスの各部署を渡り鳥のように歩いて、社員とコミュニケーションを取っています」
社長になって特に重視しているのが、毎日の朝礼です。
「朝礼で、新日本プロレスという会社の大きな目的や、社員のやる気を爆上げするパワーある言葉を発することができたら、その日の仕事の効率が上がると思うんです。会社に着くまでの間に、朝礼で話す言葉を考えるようにしています。ダジャレを言って滑ってしまい、練習と違う汗が出たのですが、オフィス内の雰囲気は結果的に明るくなりました(笑)。これからも朝礼に力を入れたいし、そこにフォーカスできるのは1年目の社長だからだと思います」
各部署の社員とコミュニケーションを取りながら、レスラーと社員との橋渡し役も務めています。
↓ここから続き
「レスラーは会社に、巡業の日程が厳しい、移動時間が長いなど意見を言うこともあります。しかし、今は社長としてオフィスにもいるので、会社側は売り上げや経費面を考慮して、(巡業の)コースを組んでいるという事情も分かります。今まではレスラー側の視点でしか見ていませんでしたが、社内の数字を見ながら調整できる。これが社長兼レスラーのメリットです」
今は活況を帯びる新日本プロレスですが。棚橋さんが若手だった2000年代前半は、総合格闘技ブームなどに押され、冬の時代を迎えました。
「1999年に入門したときは、リングから体育館の壁まで、いすがぎっしり詰まるくらい人気でした。しかし、2000年代に入ると、目に見えて分かるように会場の席が減っていきました」
棚橋さんは2006年、団体最高峰のIWGPヘビー級王座を始めて獲得し、団体の顔になります。
「売り上げが一番厳しかった時に王者になり、もう一度プロレスを皆さんに楽しんでいただけるジャンルにすると燃えていましたが、思うだけでは何ともなりません。(見た目が)チャラかったので、会場のファンからずっとブーイングを浴びました」
棚橋さんは「逆境だからこそ、社員とのつながりを強化しました」と振り返ります。
「色々な営業とタッグを組んで、『必ずプロモーションに行きたいので声をかけてください』とお願いしました。事前に大会が行われる土地に足を運んで、新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、タウン誌を回り、直接宣伝しました。『棚橋だったらどんだけ仕事入れてもいいだろう』と(笑)」
「最初は出られる媒体が無かったのですが、プロレスファンが隠れていて、テレビのニュース番組の情報コーナーなどに、少しずつ出られるようになり、プロレスを好きな方が会場に来てくれる流れができました」
棚橋さんはレスラーとしての経験から、社員の能力を引き出すためのポイントについて、次のように語りました。
「人間は期待されることで、能力が引き出されると思っています。自分もファンからの棚橋コール、頑張れという願いや祈りがエネルギーになりました。だからこそ、僕はベテラン社長のように各部署を回り、社員の肩をたたきながら『期待しているからね』と伝えることを繰り返そうと思っています」
「王者の時に、営業の社員とあちこち回って観客動員を増やす経験をしました。小さい成功体験の積み重ねが、大きなプロジェクトにつながります。特に若い社員には、仕事のやりがいや充実感というのを感じてほしいと思っています」
講演の最後には、同じような立場の経営層に向けて、次のようなエールを送りました。
「経営者の方は大きなビジョンを見せて、ゴールに向けて進む姿勢を言葉や行動で見せなければいけません。僕も社長やレスラーとして、そういう人間でいれるように、頑張っていきたいです」
(続きは会員登録で読めます)
ツギノジダイに会員登録をすると、記事全文をお読みいただけます。
おすすめ記事をまとめたメールマガジンも受信できます。
おすすめのニュース、取材余話、イベントの優先案内など「ツギノジダイ」を一層お楽しみいただける情報を定期的に配信しています。メルマガを購読したい方は、会員登録をお願いいたします。
朝日インタラクティブが運営する「ツギノジダイ」は、中小企業の経営者や後継者、後を継ごうか迷っている人たちに寄り添うメディアです。さまざまな事業承継の選択肢や必要な基礎知識を紹介します。
さらに会社を継いだ経営者のインタビューや売り上げアップ、経営改革に役立つ事例など、次の時代を勝ち抜くヒントをお届けします。企業が今ある理由は、顧客に選ばれて続けてきたからです。刻々と変化する経営環境に柔軟に対応し、それぞれの強みを生かせば、さらに成長できます。
ツギノジダイは後継者不足という社会課題の解決に向けて、みなさまと一緒に考えていきます。