目次

  1. アリシアクリニックとは 旧じぶんクリニックも名称変更
  2. 破産手続開始決定とは
  3. 破産管財人が回答 配当見込み・債権者集会は?
  4. 「施術は不可」「未施術分の返金難しい」破産管財人が回答
  5. 脱毛サロンなどエステ業の倒産が過去最多

 帝国データバンクのプレスリリースによると、美実会は、2010年1月創業。自由診療の全身医療脱毛・医療レーザー脱毛などを行う「アリシアクリニック」を全国で運営し、テレビCMなどで知名度を高めてピークとなる2021年4月期には年収入高約163億1500万円を計上していました。

 一方、八桜会は、2021年7月に設立され、医療脱毛クリニック「じぶんクリニック」を運営していましたが、2024年7月に施設名を「アリシアクリニック」に変更しました。

 2法人は、美容脱毛サロン「銀座カラー」を運営していたエム・シーネットワークスジャパンのグループ法人として事業展開していましたが、2023年11月ごろにグループを離脱。

 エム・シーネットワークスジャパンが破産手続き開始決定を受けた後、その影響を受けて経営が悪化していましたが、資金調達を行い資金繰りは一旦改善。

 さらなる資金繰り改善を目指し広告宣伝費の削減のために、八桜会で運営していた「じぶんクリニック」の屋号を「アリシアクリニック」へ変更しました。

 しかし、施設名の統一により新規顧客が減少し、収入がダウンしていたといいます。こうしたなか、美実会と八桜会が2024年12月10日、東京地裁から自己破産手続きの開始決定を受けました。

 破産管財人によると、破産手続開始決定とは、破産手続開始の申立てがなされた場合に、破産手続開始の原因となる事実(支払不能または債務超過)であると認められるときになされる決定です。

 同時に、裁判所から選任され、破産手続において破産財団に属する財産の管理及び処分をする権利を有する破産管財人が選任されます。

 破産管財人は、破産者らが破産手続開始に至った事情や負債の状況、並びに破産者らの役員責任の有無等に関する調査します。また、一般的には、破産者らの資産を、換価(現金化)し、債権者への弁済または配当ができる場合は、破産法にもとづいて、弁済または配当をします。

 破産管財人は今回のアリシアクリニックの配当見込みについて「現時点では、配当の見込みはありませんが、今後、破産者らの破産財団の調査を進め、債権者に対する配当の可否に関する見通しが付いた場合には、改めてご連絡いたします」と回答しています。

 また、債権者集会についても「債権者数が極めて多数になると見込まれること及びその他諸般の事情を考慮して、財産状況報告集会(いわゆる債権者集会)の期日は定められていません」と回答。

 その代わり、裁判所は、破産管財人に対し、2025年4月24日までに財産状況報告書の提出を求めているため、破産管財人はホームページに報告書を掲載すると案内しています。

 債権者からの質問は「お問合せ」フォームで受け付けています。

 破産管財人は債権者から多く寄せられている質問についてQ&A形式で回答しています。

 たとえば、今後は施術を受けることはできないのかという質問に対しては、「破産者らは、破産により事業を停止していますので、予約の有無にかかわらず、今後、お客様が施術を受けることはできません」と回答。

 施術の前払い金についても「現在の破産財団の状況に照らすと、現時点では配当の見込みはないため、未施術分の施術代を返金することは、極めて難しい状況です」とコメントしています。

 一方で、カード会社とのクレジット契約や、信販会社との間のローン契約については、債権者がそれぞれ自身の契約しているカード会社や信販会社に問い合わせてほしいとしています。

 東京商工リサーチによると、脱毛サロンなど、エステ業界の倒産がは2024年1~11月までに99件に達し、過去最多だった2023年の年間88件を上回ったと発表しました。

 倒産が増えている原因として「若者の興味を引き付ける広告などで契約し、多額の前払金を集めて運転資金に充てる手法で事業を拡大してきた脱毛サロンも多い。ただ、いったん契約数が鈍化すると、出店費用や広告費などが負担になり、前払金を返金できないケースも出てくる」と指摘しています。