目次

  1. 未払賃金立替払とは
  2. 企業倒産、2024年は11年ぶりに1万件超えか
  3. 厚労省、2024年度補正予算に24億円を計上

 厚労省の公式サイトによると、未払賃金立替払とは、企業倒産により賃金未払のまま退職した労働者に対して、未払賃金の一部を立替払する制度のことです。労働者健康安全機構が支払等の業務を実施します。

 労災保険の適用事業の事業主、かつ、1年以上事業を実施している場合に以下のケースに当てはまることが要件となります。

  • 法律上の倒産…破産手続開始の決定(破産法)、特別清算手続開始の命令(会社法)、再生手続開始の決定(民事再生法)、更生手続開始の決定(会社更生法)
  • 事実上の倒産(中小企業事業主のみ)…事業活動停止、再開見込みなし、賃金支払能力なし(労働基準監督署長の認定)

 立替払の対象となるのは、退職日の6ヵ月前から立替払請求日の前日までに支払期日が到来している未払賃金です。

 立替払の額は、未払賃金総額の8割ですが、以下の通り限度があります。

退職日における年齢 未払賃金総額の限度額 立替払の上限額
45歳以上 370万円 296万円(370×0.8)
30歳以上45歳未満 220万円 176万円(220×0.8)
30歳未満 110万円 88万円(110×0.8)

 帝国データバンクの全国企業倒産集計によると、2024年1~10月の倒産件数の合計は8219件で、このペースで推移すれば、2024年は2013年以来11年ぶりの1万件を超える可能性も出てきました。

 倒産原因は販売不振だけでなく、人手不足倒産や後継者難倒産、物価高倒産がいずれも過去最悪のペースで推移しています。

 厚労省によると、2023年度は、2万4300人の企業倒産に伴い賃金が支払われないまま退職した労働者に対して、86.2億円の未払賃金の立替払を実施しました。

 2024年度は当初予算で98億円の立替払額を見込んでいましたが、倒産の増加により、政府の2024年度補正予算案に原資を積み増すための24億円を計上することにしました。