目次

  1. 労務管理システムとは
  2. 労務管理システムでできることとメリット
    1. 入社時・退職時の手続き
    2. 勤怠管理
    3. 給与計算
    4. 社会保険・労働保険の手続き
    5. マイナンバー管理
  3. 労務管理システムを選ぶときのポイント
    1. ポイント:どの業務をシステム化(効率化)したいか
    2. ポイント:他のシステムと連携は可能か
    3. ポイント:特徴は何か
  4. 労務管理システムおすすめ6選
    1. SmartHR
    2. ジョブカン労務HR
    3. 人事労務freee
    4. オフィスステーション労務
    5. フリーウェイ給与計算
    6. IEYASU勤怠管理
  5. 必要な機能を組み合わせて利用しよう

 労務管理システムとは、労務管理業務を支援するために開発されたITツールです。

 デロイト トーマツ ミック経済研究所によれば、労務管理システムを含むHRTechクラウド市場は2020(令和2)年度で426億円であり、今後も市場は拡大を続けると見られています(参考:日本経済新聞│ミック経済研究所、「HRTechクラウド市場の実態と展望 2020年度版」を発刊)。

 労務管理システムで注意したいのは、1つのシステムで全ての労務管理業務をカバーすることはできないということです。

 全てをシステムで行おうとすると、2つ以上のシステムを連携して利用することになります。

 そのため、労務管理システムを導入する際には予算のほか「どの業務を効率化したいか」「他のシステムと連携は可能か」が重要です。

 労務管理システムのできることと、それによって得られるメリットは、以下のとおりです。

労務管理システムでできること(機能) 得られるメリット こんな会社に便利
入社時・退職時の手続き ・期限のある届出が管理しやすい
・採用時からフルリモートが実現可能
・記入箇所の多い離職票が容易に作成できる
通年採用している
勤怠管理 うっかりの義務違反を防ぐ ・シフト制で勤務する人が多い
・雇用形態が複数ある
給与計算 ・各種保険料率・所得税を自動的に改訂してくれる
・間違えやすい計算について誤りを防ぐ
給与計算を兼務で行っている
社会保険・労働保険の手続き 担当者に依存することなく行える ・育児休業を取得する方が多い
・60歳以降の雇用継続制度がある
マイナンバー管理 ・物理的に保管する手間が省略される
・閲覧履歴記録が自動的に行える
専用の取扱・保管スペースが用意しづらい

 順に詳しくご紹介しましょう。

 労務管理システムは、従業員の入社時や退職時の手続きを支援してくれます。たとえば、雇用契約書の作成、雇用保険資格取得届作成などです。

 雇用保険の資格取得は取得日が同日であれば連記式が利用できますが、通常は都度作成しハローワークへ提出します。

 通年採用を実施している会社だと、不定期にある雇用契約書や雇用保険資格取得届の作成がグッと楽になります。

【できること一覧】

  • 雇用契約書の作成・メール送付
  • 雇用保険資格取得届作成
  • 社会保険資格取得届作成
  • 扶養控除等申告書作成
  • 雇用保険資格喪失届作成
  • 離職票作成
  • 社会保険資格喪失届作成

【メリット】

  • 期限のある雇用保険・社会保険の届出が管理しやすい
  • 雇用契約書の取り交わしをWEB上で完結できるため、採用時からフルリモートが実現可能
  • 記入箇所の多い離職票が容易に作成できる

 勤怠管理は給与計算や法定3帳簿の1つである出勤簿の作成・保存の基礎となる重要な労務管理業務です。

 シフト制で勤務する人が多い会社や雇用形態が複数ある会社は、シフト作成・締め日以降の出勤簿作成の時間が大幅に削減できることでしょう。

【できること一覧】

  • シフト管理・作成
  • 出退勤打刻
  • 有給休暇管理
  • 出勤簿作成

【メリット】

  • 労働時間に関するアラートがあるのでうっかりの義務違反を防ぐ
  • 2019(平成31)年に義務化された有給休暇の取得を管理できる

 給与計算においてありがちなミスは毎月変動する時間外手当であったり、毎年一度は確認が必要な雇用保険料率・社会保険料率・所得税の誤りです。

 給与計算を兼務で行っている会社で特に起こりやすいミスなので、そういった会社は給与計算のシステム化を検討してみると良いと思います。

 給与計算は労務管理のなかでシステム化が進んでいる業務なので、コスト・機能共に幅広い選択肢があります。

【できること一覧】

  • 給与計算
  • 給与明細のオンライン配布
  • 賃金台帳作成
  • 所得税徴収高計算書作成

【メリット】

  • 給与計算に必要な各種保険料率・所得税を自動的に改訂してくれる
  • 時間外手当・社会保険料・所得税といった手動だと間違えやすい計算について誤りが少なくなる

 労務管理システムを使えば、社会保険や労働保険の手続きもスムーズになります。

 年に数回しか無い・該当者が少ない書類作成の手順は忘れがちです。

 社内マニュアルがあったとしても内容が現行のものと異なっていたり、管轄行政が作成したマニュアルを見ても理解して記載するのに時間がかかったりします。

 育児休業を取得する方が多かったりや60歳以降の雇用継続制度を設けたりしている会社は、この部分をシステム化すると各給付金の申請が楽になります。

【できること一覧】

  • 氏名変更した際の社会保険氏名変更届作成
  • 産休・育休を取得する際の手続き書類作成
  • 介護休業を取得する際の手続き書類作成
  • 算定基礎届・報酬月額変更届作成
  • 労働保険の年度更新書類作成
  • 高年齢雇用継続給付金書類作成

【メリット】

  • 年に一度しか無いような手続き(算定基礎届・労働保険の年度更新)についても担当者に依存することなく行える

 マイナンバーは会社において従業員の雇用保険・社会保険関係の届出や、税務署へ提出する源泉徴収票に利用されます。

 システム化する場合でも、社内・担当者研修のような人的組織的安全管理措置を行う必要はありますが、物理的に保管するコストを考えると専用の取扱・保管スペースを用意しづらい会社はメリットの方が大きいでしょう。

【できること一覧】

  • マイナンバーの収集・保管
  • マイナンバー閲覧の履歴記録

【メリット】

  • 収集時の本人確認書類のやりとりがクラウド上で可能
  • 物理的に保管する手間(施錠保管・復元不可の廃棄)が省略され、閲覧履歴記録も自動的に行える

 機能も費用も様々な労務管理システムですが、導入する場合に必ずチェックしていただきたいポイントを次に挙げます。

  1. どの業務をシステム化(効率化)したいか
  2. 他のシステムと連携は可能か
  3. 特徴は何か

 これまでに述べてきたように、労務管理業務は多く、全てをシステム化するのは費用も導入期間も多くかかります。

 まずはどの業務に時間と人的コストがかかっているかを把握し、その業務を代行できるシステムを選択しましょう。

 2つめのポイントの連携については2つあります。

  • 労務管理システムを既に導入している/導入予定がある
  • 会計やWEB会議・コミュニケーションツールのシステムを既に導入している/導入予定がある

 給与計算用の労務管理システムを既に導入しているが、入社・退職時手続き、社会保険関係書類作成のシステムを新たに導入しようとした場合、連携されていないシステムを利用すると同じ情報の再入力やCSVのやりとりなど、逆に手間が増える可能性があります。

 労務管理システムを機能毎に別シリーズのものを導入する場合は、連携しているかどうかを確認しましょう。

 また、会計系システムと給与計算システムが連携すると、給与伝票を自動作成したり、法定調書作成の手間を削減したりできます。

 SlackなどのWEB会議やコミュニケーションツールを利用している場合は、それらのツールから出退勤打刻ができるものもあります。

 労務管理システム以外でも、既に社内で利用しているシステムと組み合わせて、より便利になるかもチェックしてみてください。

 各労務管理システムには強みとする特徴があります。

 作成した書類を電子申請するところまで行える、ヘルプセンターやフォローが充実している、連携システムが多い、費用が安い、などです。

 担当者を少数にしたい場合は、ヘルプセンターやフォローが充実していた方が望ましいでしょう。

 管轄の労働基準監督署やハローワークまで距離がある場合は、電子申請ができると時間と交通費が削減できます。

 次に6つの労務管理システムの機能と特徴を紹介しますので、自社に適している労務管理システムのご参考にしてみてください。

  1. SmartHR
  2. ジョブカン労務HR
  3. 人事労務freee
  4. オフィスステーション労務
  5. フリーウェイ給与計算
  6. IEYASU勤怠管理
サービス名 SmartHR
提供会社 SmartHR
機能 入社時・退職時の手続き、給与計算(※)、社会保険・労働保険の手続き、マイナンバー管
特徴 ・年末調整情報の収集がペーパーレスで可能
・ヘルプセンター等のサポートが充実
・連携サービス40以上
・電子申請可能
おすすめできる会社 ・導入後も手厚いフォローが欲しい
・既に他社の労務管理系システムを導入している
月額料金 従業員を100人と仮定した場合
要問合せ
試用 従業員数30人以下0円プランあり
15日試用可能
公式URL https://smarthr.jp/

※給与・賞与のCSV読み込み、明細発行・配布可

 登録社数40000社以上の労務管理システム最大手です。

 利用企業の従業員数規模も幅広く、多くの事例があるためか、ヘルプセンターや専任担当者などフォローがしっかりと成されている印象があります。

サービス名 ジョブカン労務HR
提供会社 DONUTS
機能 入社時・退職時の手続き、社会保険・労働保険の手続き
特徴 ・同シリーズで勤怠管理・採用管理・給与計算があるので連携すると労務管理業務のほぼ全てをカバー可能
・年末調整情報の収集がペーパーレスで可能
・ストレスチェックが可能
・電子申請可能
おすすめできる会社 ・従業員数が多い(300人以上~)
・採用業務もシステム化する予定がある
月額料金 従業員を100人とした場合
税抜40000円
試用 従業員数5人以下0円プランあり
30日間試用可能
公式URL https://lms.jobcan.ne.jp/

 ジョブカンシリーズで有名な労務管理システムです。

 シリーズ内にジョブカンAppsという、アプリを作成できるサービスもあり、システムと併用すると社内の独自様式への入出力作業が自動化できます。

サービス名 人事労務freee
提供会社 freee
機能 入社時・退職時の手続き、勤怠管理、給与計算、社会保険・労働保険の手続き(※)、マイナンバー管理
特徴 ・勤怠管理と給与計算が1つのサービス内で可能
・2021(令和3)年7月よりfreeeアプリストア(拡張機能ストア)がオープン
・年末調整情報の収集がペーパーレスで可能
おすすめできる会社 ・freee会計を既に利用している
・労務管理システムを初めて導入する
月額料金 従業員を100人と仮定した場合
要問合せ
試用 1カ月間試用可能
公式URL https://www.freee.co.jp/hr/

※算定基礎届・労働保険の年度更新・月額変更届が作成可能

 会計システムが有名なfreeeの労務管理システムです。

 勤怠管理と給与計算が一括して行えるシステムは意外と少ないので、初めて労務管理システムを導入する会社に向いています。

サービス名 オフィスステーション労務
提供会社 エフアンドエム
機能 入社時・退職時の手続き、給与計算(※)社会保険・労働保険の手続き
特徴 ・機能が細かくシリーズ化されており、必要な業務についてシステム化できる
・対応帳票数が116種類と労務管理システム最多クラス
・年末調整情報の収集がペーパーレスで可能
・電子申請可能
おすすめできる会社 ・従業員数が多い(300人以上~)
・社会保険関係の届出が多い
月額料金 従業員を100人と仮定した場合
18,333円~
試用 30日間試用可能
公式URL https://www.officestation.jp/roumu/

※給与・賞与のCSV読み込み、明細発行・賃金台帳作成が可能

 対応帳票数が最大の強みです。機能も細かくシリーズ化されているので、既に労務管理システムを導入している会社でも、必要な部分に絞って利用できます。

サービス名 フリーウェイ給与計算
提供会社 フリーウェイジャパン
機能 給与計算
特徴 ・従業員5人以下なら利用料金無料
・従業員6人以上であっても月額1980円
おすすめできる会社 ・給与計算の担当者がいない
・勤怠管理を紙で行っている
月額料金 従業員を100人と仮定した場合
1980円
試用 なし
公式URL https://freeway-kyuuyo.net/

 給与計算に特化したシステムです。各保険料率や所得税ももちろん自動的に改訂され、年末調整も行えます。6名以上でも料金は一律1980円です。

サービス名 IEYASU勤怠管理
提供会社 IEYASU
機能 勤怠管理、給与計算(※)
特徴 打刻方法が豊富
おすすめできる会社 ・スマホ利用者が多いベンチャー
・紙のタイムカードを使用している
月額料金 従業員を100人と仮定した場合3800円
試用 利用期間に制限の無い無料プランあり
公式URL https://www.ieyasu.co/

※給与・賞与のCSV読み込み、明細発行・明細確認可

 ベンチャー企業向けに作成された勤怠管理システムです。打刻方法が豊富で、CSVを読み込めば明細の確認がスマホからできます。

 連携している給与計算システムも多く、連携していないものでもCSVでの出力や提供されているエクセルツールを利用すれば、連動が可能です。

 冒頭の「1つの労務管理システムで全ての労務管理業務をカバーすることはできない」に肩を落とした方もいるかもしれません。

 ですが労務管理システム導入で最も避けたいのは、労務管理システムであればなんでもできると思ったが必要な業務の機能が無かった、という事態です。

 必要な機能をまず考え、労務管理システムを選択し活用していきましょう。