目次

  1. 見た目も味もこだわった創業210周年の記念菓子
  2. 「美味しくて見た目にも美しい羊羹」の伝え方とは?
  3. 安定しないという開発過程の課題
  4. 他にはない見た目が変化する羊羹
  5. 物理的特徴を店舗の伝統や歴史と重ね合わせて意味付け
  6. 新たな客層の獲得
  7. 課題も捉え方と伝え方次第で魅力に

 杵屋本店の創業は1811年(文化8年)。初代庄六が山形県南陽市宮内にある熊野大社への参拝客のために饅頭を販売したのが始まりだそうです。

山形県南陽市にあった宮内本店の大正10年(1921年)の様子

 南陽市で150年、その後上山市に本店と工場を移転し60年、厳選した素材と地産地消を大切に菓子を作り続け、現在では和菓子と洋菓子の両方を製造・販売しています。

 この杵屋本店の後継者である菅野裕太さんと弟の洸人さんが、山形市売上増進支援センターY-bizに訪れたのは2021年7月。新たな客層の取り込みと秋に向けて発売予定の210周年記念商品についての相談でした。

 具体的には、創業210周年の記念に販売しようと企画している新商品についてはその打ち出し方を相談したいということでした。

左:移ろいを楽しむ羊羹kaju-カジュ- 右:金色の箔押しのある宝石箱のような印象の白いパッケージは牛乳パックを再利用した素材で作られた

 その商品は、錦玉羹(きんぎょくかん:寒天と水を煮溶かした後に砂糖を加えて冷やし固めた和菓子のこと)に砕いた琥珀糖を美しく配置した羊羹でした。

 中に配置されているのは、山形で取れる果物を使い山形の自然の美しさを表現したという、丸い形が可愛らしい色鮮やかな琥珀糖でした。この琥珀糖“kaju”は20代から30代の女性をターゲットに開発したそうですが、10代からの人気もあるそうです。

(続きは会員登録で読めます)

ツギノジダイに会員登録をすると、記事全文をお読みいただけます。
おすすめ記事をまとめたメールマガジンも受信できます。