目次

  1. ビジネスカードは入会手続きが簡単
  2. 「コバルト」は質実剛健タイプの社長さん向け
  3. 伸び盛りの事業者なら「プラチナ」を選ぼう

「法人カード」とは、企業や個人事業主向けに発行されるクレジットカードです。

法人カードは一般的に、大企業向けの「コーポレートカード」と、中小企業や個人事業主向けの「ビジネスカード」に分けられます。

法人カードと聞くと、大企業中心でお堅いイメージがあるかもしれませんが、最近は個人事業主向けのビジネスカードが増えてきました。

 

ビジネスカードの特典や機能はコーポレートカードとほぼ同じですが、簡単な手続きで入会できるので人気です。

コーポレートカードの審査では、登記簿謄本や決算書といった正式な書類を提出しなければなりませんが、ビジネスカードでは多くの場合、その必要はありません。

審査は個人の資格で十分なので、手軽にカードを作れます。

最短1週間〜10日でカードが手元に届きます。

 

しかも、引き落とし口座は用途に応じて個人口座と法人口座を選んで登録できます。

プライベートとビジネスの支出をそれぞれ記録し、決算書類の作成に備えることも可能です。

 

「働き方改革」の影響もあってか、会社を辞めてフリーランスの道を選んだり、定年後に個人事業主として独立したりする人が増えています。

副業を奨励する会社も出てきました。

 

こうしたトレンドは続きそうなので、ビジネスカードの需要はさらに拡大するでしょう。

いずれ個人の多くが事業主の顔も持つようになり、ビジネスカードと個人用カードを持つのが当たり前の世の中になるかもしれません。

この流れを踏まえ、大手のカード会社はビジネスカードを盛んに発行しています。

代表的な会社を挙げると、三井住友カード、JCB、アメックス、三菱UFJニコス、ライフカードなどがあります。

その中で新しい動きを見せているのがクレディセゾンです。

 

2019年に「セゾンコバルト・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード」の発行を始めました。

既存の「セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード」と合わせ、2種類のビジネスカードを展開しています。

「コバルト・ビジネス」の方が年会費の安い一般カードなのに対し、「プラチナ・ビジネス」は年会費が少々高いプレミアムカードと言えます。

セゾンコバルト・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード=筆者提供

「コバルト・ビジネス」は、クレディセゾンが約10年ぶりに取り組んだ本格的なビジネスカードです。

久々のビジネスカードなので、全く新しいコンセプトで取り組んだといいます。

具体的には、法人カードに必ず求められるサービスの1つであるT&E(トラベル&エンターテイメント)機能をあえて外したことが挙げられます。

 

T&Eとは、旅行と飲食、接待を指します。

ビジネスカードには海外、国内を問わず出張がつきものです。

そのため必ずと言っていいほど、旅行傷害保険やホテル、レンタカーの割引など、いわゆるT&Eサービスが付くのです。

 

しかし「コバルト・ビジネス」は旅行傷害保険、プライオリティーパス、コンシェルジュサービスなどの機能をあえて付けず、厳選したビジネスニーズに応えるサービスのみ付帯させることで、年会費を抑えています。

新しいビジネスカードのあり方と言えます。

 

その結果、年会費は他社よりも安くなりました。

他社の一般ビジネスカードが1300円(税込み)以上するところ、1100円(税込み)で済むようになりました。

出費を少しでも抑えたい経営者には朗報です。

 

ポイント還元率も高くなりました。

一般店0.5%に対し、特約店はポイントが4倍(2%)になります。

「プラチナ・ビジネス」でさえ1%ですから、ずいぶん有利です。

特約店とは、ヤフービジネスサービスやクラウドワークス、アマゾンウェブサービス、モノタロウなど、ビジネスシーンで利用する機会の多い10のサービスを指します。

 

「コバルト・ビジネス」はどんな経営者に向くのでしょうか。

海外出張のない事業者にとって旅行保険は不要ですし、カードの年会費も安いほどいい。

こう考えるのは、「無駄なものはいらない」という質実剛健タイプの社長さんでしょう。

特に1人勤務でコツコツ仕事をする、職人気質の経営者が向いているように思います。

クレディセゾンがアメックスと提携し、豊富なラインナップのアメリカン・エキスプレス・カードを発行し始めたのが1997年。

それから20年以上かけ、規模を拡大してきました。

最上位に位置するのが「セゾンプラチナ・アメリカン・エキスプレス・カード」で、そのビジネスカード版が「プラチナ・ビジネス」です。

セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード=筆者提供

プラチナカードの年会費の相場は3万~5万円ですが、「プラチナ・ビジネス」は2万2000円(税込み)と、ややリーズナブルな設定です。

一方、iDとQUICPayという2つの電子マネーに対応していて、多くの店で利用することができます。

還元されるポイントは「永久不滅ポイント」のため、期限を気にせず貯(た)めることができます。

マイルに関しても、JAL(日本航空)のマイルなら他のマイルよりお得に貯まる仕組みになっています。

 

付帯サービスを見ると、「コバルト・ビジネス」とは大きな違いがあります。

顕著なのが、海外出張や国内旅行で適用される旅行傷害保険です。

「プラチナ・ビジネス」の場合、海外旅行で最大1億円、国内旅行で最大5000万円の補償がつきます。

しかも国内旅行は自動付帯なので安心です。

また、ホテル宿泊料が優待される特典もあります。

 

「プラチナ・ビジネス」はどんな経営者に向くのでしょうか。

プラチナとはいえ、審査は会社ではなく個人資格でやってくれるので、やや楽です。

海外出張にも十分対応できます。

コンシェルジュやダイニングのテーブル確保の特典もあるため、接待の多い会社でも大丈夫です。

伸び盛りの事業者なら「コバルト・ビジネス」より「プラチナ・ビジネス」がオススメです。

 

(朝日新聞社の経済メディア「bizble」で2022年1月11日に公開した記事を転載しました)